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いしも・ともり
2024年7月6日 10:33
混み合う電車でまた一時間半。終着駅が近付くにつれ、乗客はどんどん減っていく。その間、侑はほとんど口を開くことはなく、終点『下河原駅』に着いた。 悠が二週間前に大泣きした公園。 12年前の数カ月間、二人が過ごした公園。 相変わらず、古びたベンチは同じ場所にあり、二人の他には、誰もいなかった。 駅の自動販売機で買ったホット缶コーヒーで手を温めながらベンチに並んで座る。無言の侑が口を開く