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いしも・ともり
2024年7月15日 13:30
鈴木陽介と二人で食事に行った日、悠は陽介の裏表のない朗らかな性格にいつの間にか心を許し、自分が緊張感なく過ごせていることに気付いた。 悠は陽介に、男性と付き合った経験がない事、友だちがいなかった事、最近好きな人ができたこと、その人のために変わる努力をしていることなどを話した。話下手で詰まりながら一生懸命に話す悠を、陽介は急かすことなくゆったりと聞いた。 「へぇ、そうだったんだ。有田さんを
2024年6月29日 23:35
「侑くん? ……あの侑くんなの?」 低い声、高い身長、広い肩幅、骨ばった長い指。あのかわいい侑くんとは、似ても似つかない……。いや、よく見るとやはり目元はあの『侑くん』だった。幼稚園児だった男の子が急にカッコいい青年となって姿を現した。 オレンジ色の夕日が向かいの窓から差し込むのを、眩しそうに手で影を作りながら、目を細めて私だけに向ける笑顔。映画のワンシーンみたいだ。一瞬、少女漫画みたい