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いしも ともり
2024年7月6日 10:33
混み合う電車でまた一時間半。終着駅が近付くにつれ、乗客はどんどん減っていく。その間、侑はほとんど口を開くことはなく、終点『下河原駅』に着いた。 悠が二週間前に大泣きした公園。 12年前の数カ月間、二人が過ごした公園。 相変わらず、古びたベンチは同じ場所にあり、二人の他には、誰もいなかった。 駅の自動販売機で買ったホット缶コーヒーで手を温めながらベンチに並んで座る。無言の侑が口を開く
2024年6月28日 13:04
12年前9月、2学期のはじまり——。 12年前、悠は終点『下河原駅』近くにある、河森中学校の3年生だった。人付き合いが苦手、いわゆる『コミュ症』の悠は、友人といえる友人もおらず『これが中学生最後!』と熱の入るイベントにも興味はなく、体育祭の準備に燃える同級生たちを横目に、ただひたすら邪魔にならないように影を潜め、小さくなって過ごしていた。 夢中になれるものもなく、かと言って学校が終わっ