憲法は権利のはなし[その3]憲法があるから人権が守られる???
日本国憲法をざっと紹介するシリーズの3回目です。
前回までに
憲法の役割は、権力が暴走することを防ぎ、人びとの自由や権利を守る。
ということをお伝えしてきました。
では、その自由や権利って憲法さえあれば守られるものなのでしょうか?
■一番大事な国民の義務
憲法には基本的には権力者に守らせるものなのですが、一つだけ国民に向けられた条文があります。
それが第12条です。
この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
[その1]でも紹介した第97条にもあるように、人権は人類が多年にわたり一つひとつ獲得してきたものです。そしてそれは権力を縛る決まりさえあれば永遠に続くものではないと書いてあるのがこの12条です。
自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。
先人からの強いメッセージを感じませんか?
私たちの自由や権利は、憲法にも、声の大きなだれかにも任せていてはダメで、1人ひとりが気づいて守っていかないといけないというのです。
ところで不断の努力って何をしたらいいんだろう。
何か運動をする?戦う?発信する?
色々考えた結果私が行きついたのはこんなことでした。
今この瞬間も未来も幸せでいると決意すること。
つまりは13条です。
自分が幸せでいるためには社会の仕組み自体がみんなにとって生きやすいこと一番楽な方法で、何しろ平和じゃなかったら個人の尊厳が守られない。
私だけが幸せだったら幸せなんていうことはありえなくて、身近な人も、知らない誰かも幸せな方が私も幸せに決まってる。
じゃあどうしたらそんな風になるのかを考える。
私のことを考える。
社会の仕組みを考える。
政治を考える。
そんな風にぐるぐる循環するように思うのです。
とても単純な言葉になってしまうけれど、行きつくところはそういうことなのだと思っています。
■みんなの自由や権利はどこまでも自由なのか問題
さて、12条の条文の中に公共の福祉という言葉がありました。
この言葉は[その2]にも書いた第13条にも出てきます。
私は日本国憲法の中でこの言葉も最重要ではないかと思うのですが、どんなことかというと…。
人権と人権のバランスをとる、ということです。
私たちには1人ひとりに自由や権利があるけれど、それぞれが好き勝手にしてしまったら他の誰かの自由や権利が脅かされてしまう。
だからこの公共の福祉が大事なのです。
■日本国憲法をまとめあげる条文3つ
さてさて、ここまでで本当にざっくりと日本国憲法について書いてきましたが、最後に紹介するのが第10章の最高法規です。
第10章には3つの条文があって、まずは基本的人権について書かれた第97条。
第97条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
次に、憲法はすべての法律などの元になるものだと書いてある第98条。
第98条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。 2 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。
(あ、ちなみに 憲法>法律 で、憲法は権力者を縛るもの、法律は人権と人権のバランスを守るためにみんなが守るものです。)
そしてこの憲法を守るのは誰かということが書いてある第99条です。
第99条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
この順番もとても大事で、
人権を守るために(97条)法律などは憲法にのっとったもの(個人の尊厳をまもるもの)でないといけないし(98条)、公務につく者はこの憲法を守らなければいけない(99条)
ということなのだそうです。
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というようなわけで、日本国憲法のほんのさわりの部分ですが紹介してみました。
これは憲法の入り口に過ぎないので、ここからはご自身で色々な憲法に触れてみてもらえたら嬉しいです。
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