見出し画像

カウンセリング中に笑いを3回取れ

先日、アドラー心理学の研修会に参加して、改めてアドラー心理学から見たアセスメントや事例の考え方について学んだ。

その内容についてもまとめていけたらと思っているが、懇親会で聴いた「カウンセリング中に3回は笑いを取らなければ不合格」という野田俊作先生の言葉について少し忘れないように書いておきたい。

この言葉についてはおそらくは本気半分・冗談半分なのだろうけれど、アドラー心理学の持つ大切な特徴はここに現れているようにも思う。

カウンセリングは深刻になると決まって失敗する。それは特にセラピスト側の視野が狭まっているからだろう。当然、話題が生命に関わったり、絶望の中で対話が進む時はあり、真剣に集中することも多々あるのだが、どこかにゆるみや遊びの余地がないと、本当に袋小路に入ったような感覚になり、セラピスト・クライエントの両者ががんじがらめになってしまう。

アドラー心理学は対人関係の中の”良い意図”を持った”仮想”を扱う(行動には目的があり、その目的にはその人なりの所属へ向かう意図が関係している)ので、肯定的な要素が否が応でも出てくる(と私は今のところ理解している)。だから、真剣な話をしていてもどこか前に進もうとする力が働いてくるし、セラピスト自身の失敗談も例として扱うので、ちょっと笑えてしまうのだ。

不思議とカウンセリングの中でも「絶対こうした方がいい」といった力の入った助言よりも、「まあこういうのもありかもね」といった提案の方が伝わることが多い。あくまでセラピスト側の感覚ではあるけれど。

そこで、冒頭の「3回笑いを取る」というのは非常に治療的に意味があるように感じる。相談する側は予約や料金といった様々なハードルを越えて来談するため、どうしたって深刻さは出てくる。そんな人から笑いを取るというのはなかなかできることではないし、それが目的でもない。しかし自然な流れの中で、結果として笑いが生まれる、そういう空気感を心がけたい。

(こう書くとかなり私のカウンセリングのハードルが上がってしまうのですが、たとえ笑いが生まれなかったとしても「失敗」だとは思わないでくださいね)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?