若林正恭『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』(読書感想)

オードリーのオールナイトニッポンを聞き始めたのは2020年に入ってからだったような気がする。このラジオは何かと話題になることが多かったので、何度か聞こうとしたものの何となくとっつきにくく、なかなか継続して聞くことはなかった。

しかし、ここ最近は完全にハマってしまい、欠かさず聞くようになった。その変化がなぜ起きたのかというと、特に若林正恭の日常に向ける執着的な違和感のセンサーとその解釈が面白かったからだ。その面白さに気づくまで少し時間がかかったのは、彼がゆったりと冷静に人間や出来事を分析しながら、実験的に人と関わっていく姿勢がちょっと聞いただけでは分からなかったからだろうと思う。

先日、下記の本が出版された。

早速読んでみたところ(通勤電車で読むのにちょうど良かった)、彼が持つ違和感の発端がどこにあるのかを垣間見ることができた。

心理臨床に関わる現場では、自分が感じる違和感に敏感であれという教育は大学院時代から何度も受ける。何気なく見過ごしてしまう相手の動作であったり、自分の心身の反応は、時にはカウンセリングを左右するくらいのとても重要な情報となりうる。

この本を読むと、彼が幼少期の頃から日常の中に違和感を持って生きており、またそれらを手放すことなく考え続けてきたことがよく分かる。その感覚をエンターテイメントの形にまで昇華させてしまうことが彼の優れた能力なのだが、それにしても傷つきや疑問を自分なりに解釈し、結論づけていく様は感動的だ。

体癖の視点から考えてみると、この執着性は9種体癖だろうか。そういえば小柄な体格で顔のパーツは中心に寄っているようだ。この本の中でも語られているように、自分の違和感を追求するために日本の歴史的背景に注意を広げて、家庭教師をつけてまで勉強するところも、「そもそも」に着目しやすい9種らしさではある。とすれば、やはり異様なこだわりもうなずける。

タモリの9種体癖性と、若林正恭の9種体癖性を比較してみても面白いかもしれない。

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