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アドラー派の事例検討会

先日、中島弘徳先生による事例検討会についての研修会が開催され、その内容が非常に面白かった。実は日本各地でアドレリアンによる事例検討会が複数開催されていますが、ほとんどが口コミで知るしかなく、表には出てきません。

というより、他の学派やグループでも事例検討会は開催されていますが、基本的には紹介や関係者間のつながりをきっかけに参加する場合がほとんどなので、アドラー心理学特有のものではありません。

一方で、アドラー心理学の事例検討会に参加するようになってから他との違いも色々と感じてきたので、ここで少し書いておこうと思います。
※筆者の所感です。本当は文献を引用するべきなのですが、横着します

よくある事例検討会の流れ

・事例発表者が検討したい1事例について資料を作成する
(主訴、来談経緯、臨床像、家族構成、診断・既往歴、生育歴、心理検査結果、相談の経過、見立てと対応、検討事項等をまとめる)
・発表者が参加人数分の資料を印刷する
・事例検討会開催
・終了後、発表者が資料回収
・次回の発表者を決める(年間を通して最初に決める場合もある)
・発表者が資料をシュレッダー等で廃棄

アドラー派の事例検討会の流れ

・事例検討会開催
・主催者やファシリテーターが当日に事例のある人(事例を検討してほしい人)がいるかをその場で募る
・事例を口頭で説明し、検討する
・終了

これまで参加したアドラー派の事例検討会では(おそらく伝統的に)資料はなく、口頭でのやりとりのみでした。場合によってはホワイトボードに記載する場合はありました。

そして、まだ心理士だけで構成された事例検討会が開催されているのは見たことがなく(アドラー派の心理士がどれくらいいるのかも不明ですが)、医師や保健師、看護師、福祉関連職、教員といった多職種での検討がなされます。

事例検討会の内容

上記の通り多職種のメンバーから出される事例は、当然心理カウンセリングや心理療法といった枠組での事例とは限らないため、多くの場合は事例のアドラー心理学的なアセスメントとその対応の検討という大枠がありながらも、それぞれの職場と立場で対応可能な助言が提案されていきます

アドレリアンはみなさん人間の可能性に目を向ける訓練をされているので、とてもあたたかな空気の中で検討が進んでいくことになります。比較的前向きかつ積極的な内容になると言えると思います(決して甘かったり、「なあなあ」になったりしているわけではありません)。

先日の研修会で教わったポイントは、事例検討会にその話題となる当事者が参加できるような内容にすることでした。当事者に聞いてもらっても構わない、むしろそれ自体が勇気づけにつながっていくという点が重要になりそうです。

私自身は「よくある事例検討会」の文化で育った経緯があるので、時々それが恋しくなるところはありますし、心理士ならではの検討も今後していくと面白そうなので、色々と画策しています。とはいえ、今以上にアドラー派の事例検討会がもっと広まっていけば、多様な視点がたくさん生まれてくるように思います。


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