見出し画像

『アドレリアンⅢ』:アドレリアンの分類

前回からの続きです。

アドレリアンⅢ

以下が特徴とされます。

  • アドレリアンと自認している

  • アドラー心理学が理論として通用し、臨床的に有用であり続けるためには発展、進化させる必要があると考える

アドレリアンⅡでは『拡張』(extend)が重視され、アドレリアンⅢでは『発展』(development)が重視されます。

アドラー自身は、下記のように理論を発展させました。

アドラーの理論的変遷

第1段階:器官劣等性が精神病理学の基礎であると仮定
第2段階:権力への意思が人間の基本的な動機づけの原因
第3段階:人間の平等に基づいた共同体感覚と社会生活の論理を強調

アドレリアンⅢの人々は、次の第4、第5段階を開拓していくことになるし、既に第4段階に入っているとされます。すなわち、今後は概念や技法を他のアプローチと統合したり、基本的な信条の一部を修正することになるかもしれません。

この発展とこれに対する抵抗について、Len Sperryは『世代サイクル理論』を引用しています。これは、約20年毎に世代が循環し、各世代間で進化しつつ4世代でサイクルが完成し、また再び循環が始まるという仮説です。

世代サイクル理論の概要

第一世代:カリスマ的な指導者・創始者(アドラー)が登場。一般的な世界観を反映しながら、発展・前進する。
第二世代:創始者を個人的に知っている弟子が、創始者の洞察と革新性を保ちつつ強化しようとする。応用分野を拡張することはあっても(ドライカース)、基本的な理論を改変しようとしない。
第三世代:創始者が亡くなり、直接は知らない人が、その頃に広まった世界観からさらなる疑問を投げかけ、理論的限界を越えていこうとする。
第四世代:第二世代と同様、発展よりも強化が特徴となる。

この分類できっぱりと分けられるものではなく、例えば「初期段階に回帰すべき」といったグループや、第二世代でも修正や改定を主張する人々もいます。これらは、例えば精神分析や行動療法でも同じような段階に分けて説明することが可能です。

このような視点から自分の立ち位置を考えていくと、保守したり、発展したりする動きはごく自然な流れであるし、今後どうなっていきそうかという見通しの一助にもなりそうです。少なくとも、他派を消滅させる動きには意味がないと言えるかもしれません。

次回以降、残りの分類をまとめていきます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?