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笑得る古代ローマ珍史 vol.2 「ヌミトルがときめく片付けの魔法」

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本シリーズに登場する人物及び事象の一部は、フィクションである。ゆえに、古代ローマ史の正確な知識を得ることは期待できないこと、何卒ご了承いただければと思う。

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ローマ建国神話篇


 トロイア戦争の英雄アエネアスの息子アスカリウスは、ラティウム地方にアルバ・ロンガという1つの都市を建設した。紀元前12世紀頃のこととゆわれている。

 本稿では、それから数百年後の紀元前8世紀まで、時計の針を一気に進める。13代目アルバ・ロンガの王プロカが病気で死にかけているところだ。


プロカの悩み


「すまない、息子たちをここに連れてきてくれ...エゥッ...」

 死にかけのプロカは、2人の息子を寝室に呼んだ。ローマの建国者ロムルスの祖父にあたるヌミトルと、その弟アムリウスである(この2人は超重要キャラであるものの、この後繰り返し出てくるがゆえ、今ここで名前を暗記する必要はない)。
 そして、彼らに遺言を残したプロカは、そのまま安らかに息を引きとった。


 その約10分前。

 意識が朦朧とする中、プロカは悩んでいた。
 遺言の内容について、最後まで決めきれないでいたのである。

 長男のヌミトルに王位を継承してもらうことは決まっている。ヌミトルは少々気難しい性格ではあるが、「立場、環境が人を変える」とゆわれるように、王冠を被りさえすればきっとアルバを発展してくれるはずだ。
 それはいいとして...。問題は次男のアムリウスである。果たして、アムリウスには何も継承させなくていいのだろうか。彼ももう40過ぎのおっさんとはいえ、さすがに少し気の毒ではないか。それに彼は気性が荒い。すぐにブチギレる。息子たちに見守られながら老衰で逝くのが晩年の私の目標だ。ブチギレた息子に殺されるのだけは避けなければならぬ。

 プロカは悩みに悩んだ末、にわかには信じがたい〈ある物〉をアムリウスに継承することにした。

 その内容は後に述べるとして、いずれにせよ、プロカはアムリウスに殺されことなく無事に目標を達成した。だが、達成したはいいものの、この〈ある物〉が後にアルバ・ロンガを崩壊させるきっかけとなる事件を起こすとは、この時はまだ知る由もない。


悩みの変異株


「生まれてから死ぬまで、一生まとわりついてくるモノ、な〜んだ?☆」

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5,802字
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苦笑、失笑、嘲笑、爆笑必須の古代ローマ史。各回4000〜6000字程度。

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