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妻とコンスル



妻とコンスル


 他人は変えられない。

 8年の結婚生活で、筆者が最も学んだ教訓である。
 生まれも育ちも違う人間なのだから、価値観の相違は至極当然といえる。しかし、一緒に暮らしていれば、どうしても我慢できないことはある。そして、つい互いに口を出してしまう。出してしまうが、それで相手の価値観や思想が変わることはない。これに関しては、唾を飛ばさせていただく。決してない!!
 くどい様だが、他人の価値観、思考を変えようとすることは、「子供1人につき1億円を支給します」という異次元な少子化対策が行われないのと同様に、現実的ではない。自分と異なる考えを指摘したところで口論になり、暴力沙汰になり、最終的には夫が血祭りに挙げられるだけである。

 キリスト教式の結婚式では、大勢の知人の前で新郎が新婦の頬にキッスする、いわゆる「誓いのキッス」という儀式が往々にして行われている。私もこれまで何度も誓いのキッスを目の当たりにしてきた。
 結婚生活を経験している者(&誓いのキッス経験済み)からゆわせてみれば、あんなことするぐらいなら代わりに大口を開け、「他人ひとは変えられない!」と声を揃えて合唱し(無論、列席者と神父含めた全員で)、その後「価値冠」という冠を新郎新婦が互いに被せた方が、その場にいる全員が抱腹絶倒して幸せに包まれるはずである。

 話が少し横道に逸れてしまった。
 この辺りで、そろそろ古代ローマの話を絡めたいところではある。が、「夫婦間における価値観の違い」とそれによって生じる「悲劇」について、もう少し理解を深めていただいてからの方がローマの話にすんなり入ることができ、腹落ちできるだろう。

 では、私たち夫婦を例に挙げ、「リアルな夫婦の価値観」をみていこう。これから結婚生活を控えている方は、是非参考にしていただければと思う。

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