米中断行は中国共産党の終わり

■強気に出る中国共産党
 武漢ウイルス(COVID-19)の調査を求め、オーストラリアと中国共産党は対立。中国共産党はオーストラリアに報復し、オーストラリア食肉大手4社からの牛肉の輸入を停止。中国共産党は5月18日、オーストラリア産大麦に80.5%の追加関税を課すと発表した。中国共産党が武漢ウイルス(COVID-19)の調査を求める国には容赦しない姿勢を世界に示した。

■オーストラリアにはお得意様
 中国共産党はオーストラリアが輸出する大麦の50%以上を受け入れているので、オーストラリアにはお得意様。だから中国共産党から見れば、輸入停止・関税増加は懲罰になると考えた。オーストラリアが武漢ウイルス(COVID-19)の調査に同意するなら、懲罰を加えて教育すれば良い。これを世界に見せつけて、中国共産党に逆らうことが無意味だと思わせようとした。しかしオーストラリアは中国共産党に従わない。むしろ中国共産党への怒りを増幅するだけ。

 中国は数年前から厄災が続いている。ツマジロクサヨトウの食害、アフリカ豚コレラの蔓延。これだけでも中国の食糧生産を低下させた。さらに武漢ウイルス(COVID-19)パンデミックで生産低下、同時期に鳥インフルエンザまで発生。こうなると中国共産党は、海外からの食料輸入を拡大するしか人民を食わすことができない。

 人民が飢えれば反乱の種になり、悪ければ易姓革命に発展する。中国共産党は表向きは強気に出ても、本心は易姓革命を常に恐れている。この状況でオーストラリアに強気に出たのは、国内事情の裏返し。

■中国共産党の誤算
 中国共産党は困っていないように見せつけ、オーストラリア大麦からアメリカからの食料輸入増加で誤魔化そうとした。しかし中国共産党は、自らトランプ大統領に選択肢を与えてしまう。見た目ではアメリカからの輸入増加は、米中関係の軟化になる。アメリカは利益が増えるので、取引として歓迎する。しかし中国共産党は国際社会の現実を忘れている。

「金と寛容で相手国の敵意を消すことは出来ない」

 中国共産党はオーストラリア大麦からアメリカ産に切り替えた。これは米中貿易で、アメリカに対して「金と寛容」で挑んだ。現実は厳しく、トランプ大統領の怒りを消すことはできなかった。歴史が示す経験則に従い、一度生まれた不信感は容易には消えないのだ。

■米中断行の可能性
 さらに中国共産党は間違えた。食料輸入は複数の国から行うのが基本。仮に一つの国に依存度を強めれば、輸出国に内政干渉されやすくなる。何故なら食料は戦略兵器だから、輸出先の胃袋を握ることになる。これでは内政干渉されるので、複数の国から輸入している。

 だが中国共産党は、面子重視でアメリカへの依存度を高めた。上手く行けば一石二鳥だが、仮に米中断行になれば中国共産党は食料輸入の大半を失うことになる。実際にトランプ大統領は5月20日、自らのツイッターで「世界規模での大量殺りくを行ったのは、他でもない中国の無能さだ」と批判した。ツイッターは私的発言だが、大統領の立場であれば公式発言となる。

 同じ20日には、アメリカ製魚雷18発と関連装備を台湾に売却することを議会に通知した。金額では190億円前後だが、中国共産党を怒らせるには十分。台湾海軍で運用されたら、人民解放軍海軍の潜水艦を狩ることになる。そうなれば人民解放軍海軍の潜水艦を、南シナ海へ進出させないことを意味する。

 何故なら台湾海軍は人民解放軍の南シナ海進出を遮断できるが、太平洋進出を阻止するには戦力不足。台湾海軍の戦力に合わせた任務依頼であれば、アメリカ海軍の一翼を担っている。

 これを中国共産党が判らないはずがない。台湾海軍増強は、人民解放軍を南シナ海に進出させないため。これはインド洋に進出した人民解放軍の後方連絡線を遮断するので、安い費用で最大限の利益が得られる。だからアメリカには旨味が多い。

 明らかにトランプ大統領は中国共産党と取引する意志を感じられない。トランプ大統領は、「100%受け入れるか?それとも拒むか?」の二者択一を中国共産党に迫っている。トランプ大統領はこれまでの米中協議を損切りし、新たなビジネスを選んでいる。損切覚悟なら、中国共産党の要求は無意味。だから中国共産党の選択肢は、トランプ大統領に潰されている。

■中国共産党は損切ができない
 トランプ大統領は損切ができるが、中国共産党には損切ができない。トランプ大統領が米中関係を断行すれば、中国共産党は新たに食料を輸出する国を探さなければならない。だがオーストラリアを怒らせたので、他の国は中国共産党との取引を敬遠する。何故なら、自国も同じ扱いを受けるからだ。

 それにアメリカは食料を輸出する国は多い。イギリスはすでにアメリカに対して食料を求めているので、アメリカは素早く対応することができる。日本はオーストラリア・アメリカから輸入するなら、一国に依存することはない。だから日本・アメリカ・オーストラリアは、ウインウインの関係になる。

 だが中国共産党から米中関係を断行することは難しい。仮に中国共産党から断行すれば、習近平主席の能力を自ら否定することになる。これは中国共産党内部の権力闘争に使われ、習近平主席が追放される未来が明らかだ。それに中国国内の食糧不足を悪化させるので、中国共産党は習近平主席を生贄として処分することになる。だから中国共産党から断行することは無い。

■追い詰められた習近平主席
 習近平主席は強気に出ているが、全て失敗に終わっている。それどころかトランプ大統領を有利にしている。習近平主席は面子を重視して断行したい。だが実行すれば己の終わり。トランプ大統領の条件を飲めば延命できるが、習近平主席の威厳は低下。結果的に能力不足から追放される可能性が高い。

 これからトランプ大統領の損切は増えるだろう。そうなれば習近平主席は命を削られる思いになる。習近平主席が望む着地点を模索するが、トランプ大統領は見逃すこと無く王手をかけるだろう。

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