中国を笑えない日本の現実

■アメリカに押される中国
 中国は一帯一路構想を実現するために海外に人民解放軍の基地建設を進めた。南シナ海に人工島を作り強引に基地に変えた。さらにインド洋に基地建設を進めるとアメリカの対応が厳しくなった。次第に人民解放軍の軍事演習とアメリカ軍の軍事演習が外交で使われるようになる。

 中国が南シナ海と太平洋に覇権を伸ばすには台湾と沖縄の獲得が必要。沖縄には在日米軍基地が置かれているので中国は太平洋の出入り口を奪われている。台湾は南シナ海への出入り口なのだが、中国は何方も獲得していない。これでは一帯一路構想を進めても覇権を拡大することはできない。

 アメリカが台湾を軍事支援して中国に対応させると中国とアメリカの対立関係は悪化。中国がアメリカに政治家を台湾に行かせることに反発するが、アメリカは無視して政治家を台湾に行かせている。これで中国は人民解放軍の軍事演習で脅すがアメリカは無視。それどころかアメリカは、逆に中国に対して軍事行動で脅し返している。

米加艦艇、台湾海峡を航行

 だが日本国内では中国とアメリカの対立を対岸の火事と見ている。しかも中国は日本の尖閣諸島に覇権を拡大しているが反応が鈍い。日本は国際社会で何を意味するか判らないまま時が過ぎている。

■国際社会の基本
 国際社会の基本は軍事を背景にした外交。だから必ず軍隊を見せつけて外交を行う。法律は国内限定なので国外では使えない。このため国外では国際条約が存在するが、法律の様に拘束力は無い。しかも国際条約は口約束の世界だから軍事を背景にしなければ相手にされない。

国外・軍隊 :秩序をもたらす

国内・警察 :秩序を守る
国内・犯罪者:秩序を破る

国内:秩序の中の無秩序を警察が担当する。 →治安維持(善悪論)→ハッピーバランス
国外:無秩序の世界に軍隊が秩序をもたらす。→勝利(強弱論)  →パワーバランス

 仮に自国の法律を外国に適用すると、これは相手国の国家主権を間接的に否定する行為。だから基本的に自国の法律を国外に使わない。だが相手国から戦争を始めさせる時に使われる。

 国際社会では今の平和は強国に都合が良いルールだから、軍隊を用いて先に開戦した国が悪にされる。これは今の平和を否定する行為だから悪と見なされる。これが国際社会だから、法律は時として相手を怒らせて開戦させる時に使う。

 これには実例が有る。戦前の日本は白人世界と対立し、この時アメリカ主導のABCD包囲網が形成され日本を追い詰めた。そして、ハル・ノートで日本を怒らせて日本から開戦させることに成功した。当時の日本は宣戦布告してから正々堂々と開戦すれば良いと見ていたが、これは国際社会を知らないから出た考え方。国際社会では宣戦布告は飾りで、先に開戦した国が悪にされる。

■アメリカの対応
 中国は歴代王朝を否定して共産党による独裁を選んだ。だが共産党になっても中華思想は捨てていない。今の中国を建国しても現実は後進国。中国は理想と現実に苦しみ、強引に人民解放軍を使い覇権拡大と国力向上に邁進した。

 20世紀末にインターネットが普及し、アメリカ主導のグローバルスタンダードが世界に押し付けられた。皮肉なことにグローバルスタンダードの恩恵を一番得たのは中国で、安い人件費を武器に世界の工場は中国に集まった。これで中国は世界の工場と呼ばれ経済は急速に成長。
 
 中国は豊かになり人民解放軍も急速に近代化される。これで中国は理想を現実に変えることが可能になり、潤沢な資金を武器に外交でも覇権拡大を進めた。中国は今の強国アメリカを打倒して中国が強国になることを夢見ている。これに気付いたアメリカは中国を警戒し対中国包囲網を形成した。

 日本付近にはイギリス・ドイツ・フランス・カナダの軍隊が来るようになり、定期的に中国への脅しを行うまで発展した。国家間の対立は単独ではなく連合して行うのが基本だから、アメリカは基本に従い連合したまで。しかも時の強国はアメリカだから、要請に応じて集まることは平和維持活動になる。つまり中国は今の平和を脅かす仮想敵国になったのだ。

■国際社会を見ない日本
 日本を見ると中国とアメリカの対立に関して無関心。結論から言えば日本の外交は14世紀以前の世界。ヨーロッパでは15世紀から帆船技術の向上で帆船を用いた海外貿易が成長した。これで国家間の対立は隣接国限定から海を隔てた遠方の国も巻き込まれる様になる。

 理由は簡単だ。帆船を用いた貿易が世界各地の市場を一つにしたので、遠方の戦争でも自国の国益に関与する様になった。これで遠方の戦争でも無視できず、外交と軍事で参加するのが基本となった。

 だが日本は朝鮮半島の問題も台湾問題も距離を置いているのが現実。日本から見れば朝鮮半島と台湾は隣国。そうなれば日本が直接関与すべきことなのだが関与していない。これでは日本の外交は14世紀にも対応できない幼稚なレベルと言える。

 それに国際社会は既成事実の積み重ねが現実。簡単に言えば、軍隊を常駐させて実効支配することが前提。軍隊を用いて実効支配が長くなると、国際社会ではその国の領土と見なす。これは暗黙の了解だから法律論では理解できない世界。

 だからアメリカ海軍は定期的に台湾海峡を航行する。定期的に航行することで人民解放軍の実効支配を否定し、台湾海峡は中国のモノではなく国際海峡だと示している。同じことを中国は日本に対して実行している。それが尖閣諸島で中国の船舶を定期的に航行させていることだ。

 中国は既成事実の積み重ねを行うことで、「尖閣諸島を実効支配していのは中国で、尖閣諸島は中国の領土」だと認めさせることをしている。だが日本は中国への対応が緩く、海上保安庁の対応で終らせている。これは悪手で、年数経過で尖閣諸島の領有権が中国に移る可能性が有る。

 これは竹島も同じ。日本が「竹島は日本の領土だ!証拠も有る!」と発言しても国際社会は認めない。何故なら「軍隊で実効支配している国は何処か?」と問われたら?「日本の領土なら何故自衛隊で実効支配しない?」と問われたら?

 実効支配で領土にするのが国際社会だから日本独自の解釈は通用しない。自国の法律など国外では通用しない。日本の領土である証拠が有るなら自衛隊を使い実効支配すれば済む話。国際社会の現実を無視して論じるから竹島・尖閣諸島は韓国・中国に狙われる。

■日本は現実を見て行動すべきだ
 竹島と尖閣諸島が日本の領土である証拠が有るなら自衛隊を用いて実効支配できる。自衛隊で実効支配し世界に正当性を主張すれば良い。これは過激なことではなく国際社会の現実を使うだけ。だが日本では自衛隊を使った外交を回避する傾向に有る。これでは国際社会の現実に対応できない。

 自衛隊を竹島と尖閣諸島に常駐させるべき。日本単独で行うのが嫌ならアメリカと連合すれば良い。何故なら今の強国はアメリカ。強国を仲間にして外交を行うのが基本だから、竹島・尖閣諸島で対立する韓国と中国は今の平和を否定する悪の国に変えられる。

 尹大統領はアメリカを批判する暴言で騒ぎになっている。このタイミングは日本の好機。アメリカと連合して竹島に自衛隊を常駐させることが容易になる。尖閣諸島でアメリカと連合することはアメリカにも好都合。こんなに好条件が有るのだから、日本は恐れず行動すべきだ。

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