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中国の農業問題

■遅れる農業の近代化
 中国は20世紀末から急速な近代化に成功したが、政治システムそのものは近代化に対応することができていない。農業から重工業に移行すると、農業生産者の数が減少する。農業生産者の不足を機械化で補わない限り、中国の政治システムは完全な近代化にはならない。

■食料輸入と外国の生産に依存する中国
 中国の国土であれば食料生産の大半を自国で得られる。本来の中国は食糧を外国から輸入する必要性は低い。輸入する食料は外国でしか生産できないものに限定できる。だが今の中国は農業の近代化が遅れており、自国生産だけでは国民の食糧が不足する。その結果、中国は食糧輸入に依存する国になっている。

 中国は外国から食料を輸入するだけではなく、外国の土地を買い自国向けの食糧生産まで行っている。この場合は外国に土地を買われるので、土地の占領と言う認識になる。だから現地人から警戒され、本来は実行すべきではない策。

■日本の悪しき前例
 日本は1929年に発生した世界恐慌に巻き込まれた。当時の日本は世界に先駆けて世界恐慌から抜け出せた。この原因は、日本政府が農業を軽視した重工業へ移行したから。当時の日本政府府は農業を機械化することなく、生産者を重工業に移動させた。日本の生産力と競争力は見た目では上がったので、世界恐慌から抜け出せている。

しかし欧米各国が1930年代からブロック経済を採用すると、農業を軽視した見せかけの脱出から問題が噴出する。日本はブロック経済から締め出されると、海外貿易も食糧輸入も困難になった。当時の日本政府は国民を食わせることが困難になり、移民と称した棄民を行うまで落ちぶれた。

■中国の南シナ海とインド洋
 中国は海外貿易が遮断されると食糧輸入が途絶える。そうなれば国民を食わせることができないので、南シナ海とインド洋を確保して海外貿易を守ろうとしている。だが世界経済がブロック経済を採用すると、中国は食糧不足に陥ることになる。さらに世界規模で食糧不足に陥ると、中国が輸入する食料も減少する。

■産みの苦しみ
 イギリスは世界初の産業革命を成し遂げた。そして産業構造が農業から工業へ移行する産みの苦しみを世界に教えた。アメリカと日本も産業構造の変化で産みの苦しみを体験している。中国も産みの苦しみを体験することになる。これは避けられない。

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