【ぶんぶくちゃいな】ポストロックダウンに舵を切った上海、そして中国

とうとう、上海がロックタウン解除へのスケジュールを発表した。それによると、「解放」は以下のように進められることになっている。

【第1段階:コロナゼロ化後略「十大行動」の成果固め段階】現時点(5月16日)より5月21日まで、警戒区とされる地区の秩序だった開放と条件付き人的移動を再開する。
【第2段階:常態化に向けた予防管理の転換段階】5月22日から31日まで、封鎖区及び管理区の開放を前提にその範囲を縮小させていく。公共交通を次第に通常運転化。
【第3段階:市内全域における全面的な経済活動及び生活秩序回復段階】6月1日から6月中下旬にかけて、市内全域における全面的な経済活動及び生活秩序を回復する。

もちろん、これらには「厳しく感染予防対策を敷き」「新規感染者数増大を抑え」「厳格な感染コントロールの常態化」といった条件がついているものの、最終的には6月末までに日常を回復することを謳っている。

その発表とともに、ネットには以下のようなタイトルの記事が並んだ。

「上海、明日からだ!」
「正式に操業再開!」
「秩序立てて操業再開!」
「操業、生産の再開、元気満々!」
「操業再開で出勤、やらねばならないことがたくさんある!」
「操業、生産再開の進軍ラッパが鳴る」
「すべて操業再開」
「操業、生産再開本格化、経済発展急発進」
「操業、生産再開、キャッチアップだ」
「全力“再開” 企業の操業、生産再開推進を急げ」

よく見ると、こうした号令式タイトル記事を流しているアカウントのほとんどが各地方政府か、それに連なる機関の公式アカウントで、上海市政府関係だけではないところを見ると、上海ロックダウンがどれほどの範囲で影響をもたらしたのかが分かる。

一方で、「在野」のコラムニストたちがロックダウン解除の情報に触れて書く記事にはこんなタイトルが並ぶ。

「生まれ変わった上海はもう“優等生”は止めるべき」
「まずは生きること。生きていれば希望はある」
「2022年の春を懐かしむことはしない」
「さよなら上海」
「上海を悼む」
「上海で今も操業再開を待ち続けている」
「操業再開はどうしてこんなに難しいのか?」
「”操業、生産再開”に関する本当の答え」
「上海の”パフォーマンス型解放”がまたけつまづいた」

…と、明らかに先に挙げた労働スローガンのような政府系アカウントとは180度違う悲観的な言葉が並ぶ。

これこそが公的機関と民間の「距離」といえるだろう。今回はこうした「距離」の中で、政府系メディアが触れないポスト上海ロックダウンについての民間の関心ポイントをご紹介する。

●「操業は再開」されたものの…

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