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【ぶんぶくちゃいな】中国ネット社会で語られる「ウクライナ侵攻」の現実

一部で「来るぞ来るぞ」という声は上がっていたものの、それでも皆が半信半疑で見守っているうちに始まってしまったロシアによるウクライナ侵攻。かつてのどんな戦争よりもメディアツールが発達した状況下での、戦争「同時体験」は衝撃であり、我われは本当に観ているしかないのだろうか、という不安にも襲われる。

明らかに戦争が起こっているのに、自分たちは日常生活を続けている不思議。もちろん、これまで日本以外の地域で起きている戦争でもそうだったけれども、現地の戦況がその日のうち、いや起きた瞬間に我われに伝えられることは今までなかった。SNSが日常の重要なツールとなってしまった今、誰かが踊る動画に続いてどこかで砲弾が破裂したり、ケガをした人が運ばれる様子が流れてくるのだ。それをスマホで眺めている自分と現地のどっちが非日常なのか、疑ってしまう。

この戦争が始まったとき、わたしは香港にいた。巨大な面積とパワーを持つ国がもう一方の自主権を認めずに攻め入るという図式は、香港市民を刺激した。当時新型コロナ感染者数がぐんぐん増え続けているというのに、SNS上での香港人の話題はウクライナ情勢でもちきりになった。加えて、全人口750万人しかいない香港人の中から、何人もウクライナに乗り込んで現地から報道しようとするフリーのジャーナリストたちが現れ、自分が目にした現地の様子を流し始めている。

とはいえ、香港の事情はご存知の通り、複雑な話が絡んでいるため、また別稿でまとめてご報告するが、この戦争の結果如何は、よくニュースでも取り上げられている中国と台湾の関係に影響するだけではなく、香港事情にも大きな影響を与えることになるはずだ。

つまり、当初一方的にロシア支持の姿勢を打ち出していたように見える中国政府の態度が次第に曖昧になってきた裏には、こうしたさまざまな国内要因があることも忘れてはならない。

●始まりは政府メディアの宣伝合戦


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