【ぶんぶくちゃいな】「抹消」される香港

香港特別行政区立法会議員に、「香港独立」主張を喧伝あるいは支持したり、香港に対する国家の主権の所有の承認ならびにその行使を拒絶したり、外国あるいは海外勢力による香港特別行政区事務への干渉を求めたり、あるいは国家の安全を損なうなどのその他行為があった場合は、中華人民共和国香港特別行政区基本法を擁護、また中華人民共和国香港特別行政区に忠誠を尽くすという法定要求と条件に符合せず、法に従ってそれが認められた場合は、即時に立法会議員の資格を喪失する。

11月11日、北京で開かれていた全国人民代表大会常務委員会(以下、全人代常務委)によるこの新たな決定をその根拠として、香港特別行政区政府(以下、香港政府)は、香港の最高議決機関である立法会の4議員の資格抹消を通告した。

これは、1997年に香港の主権が中国に返還されて以来、最も直接的で、また最も深刻な「一国二制度」下の香港行政への中国中央政府(以下、中国政府)による介入、干渉となった。

今回、議員資格を抹消されたのは、楊岳橋(公民党)、郭栄鏗(公民党)、郭家麒(公民党)の地区代表民選議員と、業界別代表選挙で選ばれた梁継昌(会計界出身)の4人(ここに「郭」姓が2人含まれているが、血縁などの関係はない)。前3人が所属する公民党は弁護士資格者が中心に設立した民主派政党で、残る梁氏は知名度は3人に比べて高くはないが、過去天安門事件発生当時、留学先のイギリスで中国大使館前で抗議活動を行った過去を持つ。前任の会計界選出議員だった陳茂波氏は香港政府の財政長官に任命されて転任している。つまり、会計界選出議員とはそんな「上り龍」の位置にあり、そこから梁氏のような民主派議員が選出されたことを記憶にとどめておいてほしい。

全人代常務委の決定では4人を名指ししていない。なのに、香港政府はなぜそれを受けてすぐさまこの4人の議員資格を剥奪したのかというと、もともと今年9月6日に行われる予定だった立法会議員選挙に起因する。

考えてみれば、昨年のデモの勢いを受けて今年の立法会選挙は民主派優勢と言われ続けていた。これまで何度か、選挙の延期によって起こった、香港社会のあれこれを記録しておきたいと思いつつ、どういう形で伝えれば日本にいる読者に届けることができるかが分からず、結局書かずに来た。今回の4議員罷免の衝撃について語る前に、そこから話を進めたい。

●「切り捨てられた」と感じる香港市民

ここから先は

7,387字
この記事のみ ¥ 300

このアカウントは、完全フリーランスのライターが運営しています。もし記事が少しでも参考になった、あるいは気に入っていただけたら、下の「サポートをする」から少しだけでもサポートをいただけますと励みになります。サポートはできなくてもSNSでシェアしていただけると嬉しいです。