【ぶんぶくちゃいな】中米貿易戦争場外戦:女性ニュースアンカー編

5月30日、日本時間9時に始まるはずの米フォックステレビ局の経済ニュース番組「Trish Regan Primetime」(トリッシュ・リーガン・プライムタイム)は日本では視聴できないようなので、PC前に座って中国SNS「微信 WeChat」(以下、WeChat)に流れていたURLを開いた。

米フォックステレビは、トランプ大統領支持派のテレビ局として知られている。同番組は同テレビ局のビジネスチャンネルで毎晩、米東海岸時間帯の夜8時に放送されているニュース番組だ。間違いなく局にとっては目玉番組ということになる。

ここに来て初めてチャンネルを探すくらいだから、もちろんわたしはこれまでフォックステレビを数えるくらいしか見たことがなく、また見たことがあるといってもほとんどがオンライン上で共有されて流れる動画くらいだった。

その日、そんなフォックステレビのウェブサイトを朝から開いて待っていたのは、同番組で中国の全国テレビ放送中央電視台(CCTV)傘下の中国国際電視台(CGTN)の英語ニュースアンカー、劉欣さんが中米貿易戦争を巡って「ディベートする」ことになっていたからだ。触れ込みによると、米国の生ニュース放送に中国のテレビアンカーが出演するのは初めてだというという。

劉欣さんも、同番組ホストのトリッシュ・リーガンさんもどちらも女性であり、その二人がそれぞれ所属するテレビ局のゴールデンタイムに番組を持っているという点からしても、そのディベートには「見どころ」が期待されていた。日頃からフォックステレビにもCCTVにもCGTNにも(そしてリーガンさんにも劉さんにも)なんの関心も示したことがない、中国人ジャーナリストの友人たちが集まるWeChatは30日早朝、その話題でもちきりだった。

もちろん、中国国営放送のアンカーとトランプ大統領の賛同者という「ガチな二人」から、理想的な進展はありえないだろうと想像されていたのだが、「ガチな二人」であるからこそ、ディベートがいかなる化学反応を引き起こすのか、どんな「事件」が起こるのかに皆がワクワクしているのが伝わってきた。

●空中戦で始まった「激突」

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