【ぶんぶくちゃいな】国慶節ゴールデンウィーク:自国民にウラをかかれた中国当局、日本メディアに八つ当たり

中国に暮らす人たちにとって、きっと1年で最も楽しみではないかと思われる連休「国慶節ゴールデンウィーク」が一応、6日に終了した。今年は9月29日の金曜日が中秋節(旧暦の「中秋の節句」)だったのでこの日から休みに入り、10月1日の国慶節を経て6日までの8連休となった。

ただ、「一応終了」というのは、国慶節の祭日は正式には5日間とされていて、中秋節を足して今回は6日のところを土日を跨いだ長期連休となった結果、その後の土日が「振替出勤」となるからだ。なので、しがない(?)労働者は7、8日の週末は出勤することになる。その一方で、有給休暇の余裕があったり、自営業者などは多くの人が日曜日までの10連休にして休みをたっぷり味わうのが常だからだ。

中国ではいわゆる「ゴールデンウィーク」と呼ばれる、祭日にちなんだ連休は春節、メーデー、そして国慶節と3回あるが、数年前にメーデー休暇は「解体」されて公休日は3日のみになった(その前後に土日が連なれば5連休にはできるが)。

旧暦の正月である春節は昔から「里帰り」の時期とされている。このため、都会で生まれ育って日頃から親戚たちと身近な付き合いをしている人たちを除き、里帰りの縛りから逃れるのは難しい。このため、春節を一般的な意味のゴールデンウィークと捉えている人は少ない。

このため、毎年の国慶節連休は観光や小売、娯楽業界にとって最大のかきいれ時であり、その成果はここ10年ほど中国の経済事情を示すバロメータとなってきた。

中国政府の文化旅游部データセンターが6日、一部予測を含めてまとめた、今回の中秋・国慶節8連休の観光関連数値によると、中国国内に旅行にでかけた人はのべ8.26億人で、昨年同期比71.3%増、またコロナ前の2019年同期比で4.1%増となった。そして、関連売上額は7534.3億元(約15兆6000億円)で、昨年同期比129.5%増、2019年同期比で1.5%増だった。

どちらの数字も昨年同期比数が驚愕的に伸びているが、昨年の国慶節はまだ中国ではコロナゼロ政策が行われていた時期だ。なのでやはり2019年のそれとの比較を参考にしてほしいが、人数の伸びに比べて消費が伸びていないことに留意したい。楽しみに出かけたものの、財布の紐は固くなっていることがわかる。

この傾向は、同期間における香港でも証明されている。

香港入境事務管理処によると、9月29日から10月5日までの7日間に中国からやってきた観光客は約100万人だった。今年は中秋節と連なった祭日ゆえ、単純に連休期間の数値を過去のそれと比較できないため、たとえばいつも香港入りする中国客が最も多い10月1日の入境者数はのべ17.8万人と、2018年(コロナ及びデモ前)の同日比で30%減だった。

だが、連休期間中に約100万人が香港入りしたにもかかわらず、香港の小売業者の売り上げは2018年に比べて大きく見劣りし、香港「明報」は「いつもに比べてちょっといいくらいの売り上げ」「ないよりはマシ」だったとその声を伝えている。また、香港市内のホテルの予約状況も、コロナ及びデモ前の国慶節連休なら予約でいっぱいだったが、今年は「平常より3、4割多め」で終わったという。

香港の場合、2019年デモを受けて中国政府が国内に向けて展開したアンチ香港デモキャンペーンによってもたらされたイメージが、まだ回復していないことが大きい。さらには、今年に入って進んだ人民元安のお陰で、米ドルにペッグした香港ドルが割高になったことも影響しているはずだ。

だが、国内旅行も含めて人々の財布の紐が固いのは、やはり中国の経済状況を反映したものだといえるだろう。

以上は、予想された範囲内であり、それほど目新しいことではない。だが、ここに来て、中国国内でなかなか興味深い「騒ぎ」が巻き起こった。


ここから先は

4,115字 / 1画像

¥ 500

このアカウントは、完全フリーランスのライターが運営しています。もし記事が少しでも参考になった、あるいは気に入っていただけたら、下の「サポートをする」から少しだけでもサポートをいただけますと励みになります。サポートはできなくてもSNSでシェアしていただけると嬉しいです。