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死と記憶。睡眠が怖い。

『AIの遺伝子』というSF漫画がある。AIやヒューマノイドが人と同じように生活する世界を描いたSF漫画だ。その話の中で、不具合が生じた機会型のお母さんに初期化する(記憶を消去する)ことでそれを防ごうと提案するシーンがある。短時間の記憶を消去するだけで助かるのだから客観的に見ればそうすればいいものの、そのヒューマノイド型お母さんは娘との(短時間ではあるが)思い出をなくすことは嫌だという理由で拒む。お母さんはその記憶(情報)を抱いたまま機能停止になる。

たった数分間、数秒間でも記憶を失うと、それは失う前の人間と(大袈裟にいうと)全く違う人間になるのではないのか。違う人間になるということは以前の人間は消失してしまったことになるのではないだろうか。

今の自分というのは生まれた瞬間から今に至るまでに受けてきたinputによって形成されてきたものである(これに関しては異論は認めないつもりだ)。その一部が変わるもしくは無くなるというのは現在における本体の消失を意味する。

ここまでは、ただそれだけ、私の意見・考え方ですというような主張なので見ている方は「へぇーそういう考え方もあるね」くらいで受け流しているはずだ。

では睡眠による意識の断然はどうだろうか。私は高校生の頃、睡眠が怖かった。寝て起きたら、布団について寝てから時間は(7時間ほど)経過しているのに意識はあたかも寝たら目が覚めていた、というように連続的だ。自分が知覚していない時間があることに気づいた。7時間の記憶がまるっきり抜けている感覚だった。睡眠をしたことで以前の自分が消失し新しい自分になった気分だった。寝る前までの自分は消失、死んでいたのだ。恐怖だった。

7時間の断絶の間に世界が変わり、全く別の世界になっているかもしれない。それに気づいていないだけとも考えられるのだ。恐怖だ。

誰か助けてください。


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