ひとりぼっちの新生活

「おはようございます。」
そんな些細な挨拶なのに、どうしてこんなにさびしくなるんだろう。
「おはよう」って言えば、「おはよう」って帰って来た日々を懐かしく感じる。
「さようなら」楽しみだったまた明日も、
「お先に失礼します」に変わって、明日が来なければいいと思う。
「ただいま」と家についても、そこはしんと静まり返っていて、
ここはあの頃とは別世界であると思い知らされる。
「いただきます」と一人で食べるご飯はいつもどこか虚しくて、
「ごちそうさま」と味気なさを噛み締めた。
「おやすみ」に返事をしてくれるのは、蛍光灯の明かりが消えることだけ。
冷え切った布団を一人で暖めながら、眠りにつく。
 
また明日が来た。
今日も私は改札を通り抜けていく。
死にかけの心で、似たり寄ったりの人たちと、電車にゆられていても、なにも見えやしない。
電車の窓に映る自分には、あの頃なりたくないと思っていた自分がいた。

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