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春夏。

4月も半ばを過ぎた頃、桜を見に行った。
場所は都内の国営公園。

ギリギリ見頃くらいで、花見をしている人や、
原っぱでフリスビーやバドミントンをしている人、綺麗に咲いた花の写真を撮っている人たち、
「春の光景だ。」と思わせる景色がそこにあった。

けれど「春ってこんな感じだったっけ?」
と思わせるような雰囲気もそこにはあって。

「冷たい飲み物が欲しくなるような暖かさ」
「汗を流しながらボールを追いかける子どもたち」
「人が集まって生まれている活気」

少しずつだけれど、確かに季節が回っていて、
その移ろいが、人々の生活にも現れていて、
その瞬間を目の当たりにしたような気がして、
「今を生きている」という実感があった。

あと人生で何回訪れるかわからない桜の季節を、
あと何回大切な人と過ごすことができるのかなと
少し切なくもなったりしながら、次の季節を心待ちにしている自分も確かにいて、自分は幸せものだなと感じさせられる印象的な時間だった。

その日の帰り際に、彼女とレモネードを飲んだ。
少し苦くて爽やかなその味は、夏の始まりを確かに私の中に運んでくるものだった。

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