見出し画像

聴覚障害がある私の工夫と、最近便利だと感じるもの

自己紹介の記事にも少し書いていますが、私は聴覚に障害があり、耳があまり聞こえません。音がしているのが、わかったりわからなかったりで、言葉としても聞き取れたり聞き取れなかったり。そういう感じの耳で暮らしています。

聞こえていた頃と同じようには、コミュニケーションが難しい場面もあり、自分なりにちょっとした工夫をしています。また、社会の方が変わってきたことによって、逆に便利になったこともあります。それについて少しまとめておこうと思います。



YY文字起こし

なんといってもこれです。話している内容を音声認識して文字として表示できるアプリです。これなしでは暮らせません。すでに別記事にまとめていますので、こちらもご覧ください。基本的に通常の会話などは、こちらのYY文字起こしというアプリを使っています。


自作の耳カード

ただ、日常生活で常にこの文字起こしアプリを使い続けるというのも、ちょっと負担があります。例えば、買い物するときなど、会話とまでは行かなくても、ちょっとしたやり取りが生じる場面です。こういう時にわざわざアプリを準備しておくのも、少し面倒だったりしますし、周りが賑やかでうまく認識できないこともあります。

勘で乗り切るパワープレイをする時もあるのですが、そういう場面では、こちらの耳カード(と自分で呼んでいます)を、事前に相手に見せるようにしています。

自作の耳カード

聞こえなくなって最初の頃は、口頭で「聞こえないので〜」と伝えたりしていたこともありましたが、うまく伝わってないなと感じることがありました。また、こちらが聞こえていないので「わかりました」などと返事をされても、よくわからなかったりします。こちらが喋れると普通に会話ができる、というような先入観が相手側にあるのかもしれません。

このカードであれば、間違いなく読んでもらえます。読んでいる様子がこちらからもわかります。ジェスチャーで「OKです」と答えてもらえたりするので、口頭よりは伝わりやすい感覚があります。わざわざ紙に筆談してくださった方もいらっしゃいました。感謝です。

ネット上で、聴覚障害の方が、同様のカードを使っているという話を知って、自分なりに使いやすい文言と、自分好みのデザインで自作しました。自作といってもWordで打ってスクショ撮っただけですが。もし必要な方がいれば、コピペで持っていってくださいどうぞどうぞ。

物理的なカードとして持ち歩いてもいいのですが、私はスマートに使いたかったので、iPhoneに画像として入れていて、ショートカットアプリを使ってワンタッチで表示できるようにしています。とても便利です。


耳マーク

一方、銀行や病院、公共施設などの窓口には、このようなマークが掲示されていることが増えました。耳マークと呼ばれています。筆談で対応しますなどと併記されていたりして、このマークがあると、こちらから筆談などの配慮をお願いしやすいと感じます。

耳マーク

「聞こえない・聞こえにくい」と、日常生活の上で人知れず苦労をします。

聴覚障害者は、障害そのものが分かりにくいために誤解をされたり、不利益なことになったり、危険にさらされたりするなど、社会生活の上で不安は数知れなくあります。「聞こえない」ことが相手に分かれば相手はそれなりに気遣ってくださいます。

目の不自由な人の「白い杖」や「車イスマーク」などと同様に「耳が不自由です」という自己表示が必要ということで、考案されたものが耳マークです。

耳に音が入ってくる様子を矢印で示し、一心に聞き取ろうとする姿を表したものです。

耳マークは「きこえない」ために様々な場で苦渋を味わった難聴者が考案したアイデアであり聞こえの向上、保障を求めていく積極的な生き方の象徴であります。

耳マーク

指差しシート

そして、コンビニのレジカウンターには、最近このようなシートが貼られているのにお気づきでしょうか。指差しシートと呼ばれています。

流通ニュース

聴覚障害をはじめ、発話が難しい人や言葉が通じにくい外国の人などへの配慮として、導入が進んでいます。コンビニ大手3社をはじめ、ドンキホーテやその他商業施設、交通機関などでも同様の取り組みが見られます。

また、このシートではないのですが、海外の観光客が多いであろう飲食店に、手書きで作られた同様のシートが準備されていたことがあって、便利に使わせてもらったこともあります。

このように、あらかじめ尋ねる内容と答える選択肢が、ある程度決まっている場面では、とても便利だと感じました。


セルフレジ

もう日常生活にすっかり定着しつつあるセルフレジ。

コンビニやスーパーで買い物一つするにも、店員さんから尋ねられる内容はたくさんあります。ポイントカードの有無に始まり、お弁当などを買っていれば、温めるか、箸はつけるか。支払い方法に、最近ではレジ袋の有無や、必要であれば、そのサイズを答えないといけない時があります。

先回りしてこちらから伝えてしまうという方法もあるのですが、伝えていても再度改めて尋ねられることもあり、そうなるともう何を答えたらいいのか、お手上げ状態になります。

前出の指差しシートなどがあれば、使ってもいいのですが、セルフレジであれば、店員さんとのやりとり自体がごっそりと省かれるので、聞こえないかもと、こちらも緊張することもなく、自分のペースで会計ができて、とても気楽です。

特に何も聞かれないであろうというお店であっても、駐車場の割引券は必要ですかなど、こちらの想定外の質問をされることもあり、何度聞き返してもわからなかったりします。なので、会計の際にセルフレジの機械を見つけると、ほっとします。

なお、視覚障害者からは不便だという意見を見かけることもありますので、有人レジ含めていろいろな手段が用意されていることが、理想ではあると思います。


モバイルオーダー(テーブルオーダー)

こちらは、カフェやファストフードに行くことが多い私は、毎日のようにお世話になっています。有名なところでは、マクドナルドのモバイルオーダーや、スターバックスのMOP(Mobile Order & Pay)です。利用されたことがある方も多いかもしれません。

セルフレジ同様、店員さんとのやりとりが発生しないので、気楽にじっくり選んで注文することができます。最近は他のファストフードや飲食店でも、同様のモバイルオーダーや、テーブルからタブレット注文できるシステムが広がっています。

私は、このシステムが導入されているかを、お店選びの基準にしてしまうほど、とても便利だと感じています。

ちなみにスターバックスといえば、少し話がそれるのですが、東京国立に聴覚障害者が中心となって働く店舗があります。サイニングストアと呼ばれています。海外でも同様の取り組みがされているようで、とても素晴らしいと思います。


置き配

置き配が積極的に推奨されるようになってきました。

聞こえないとインターホンを押されてもわかりません。配達に来られても気づかずに不在票が入ることもありました。そうすると以前は時間指定をしてその時間に配達されるのを、緊張して待機していました。

置き配をお願いする張り紙をしたこともありましたが、会社のルールで出来ないと断られることもありました。

最近では、通販サイトなど注文すると、最初から置き配の設定になっていることも多くなりました。インターホンも押さずに荷物は勝手に置いて帰ってくれます。とても便利になったと感じています。


以上、本当に些細なやりとりが発生したりする場面なのですが、そこがスムーズに行かないと、見えないところで少しずつ自信や肯定感のようなものが、削られていく感覚が、私にはあります。聞こえていれば、こんなことで引っかからないのにと、落ち込んでしまいます。

それが自分なりの工夫はもちろん、社会側の変化で、障害を感じにくく暮らすことができるようになってきていることは、とてもありがたいことであり、とても嬉しく思います。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?