見出し画像

YY文字起こし

YY文字起こし」というアプリを紹介したい。文字起こしといえば、会議などの議事録を起こしたり、録音したインタビューなどを記事にしたりといった利用方法が、メジャーかと思う。

耳が聞こえないというと、手話や筆談といったコミュニケーション方法を思い浮かべる人もいるだろうが、後天的に聞こえなくなった私にとっては、口話(いわゆる普通の音声での会話)が主な方法である。

筆談も場合によっては使わないことはないが、相手にも結構な負担がかかるし、何よりスピードや情報量が圧倒的に劣る。このアプリを使えば、相手が話していることを、“文字として聴く”ことができる。今では日常生活のあらゆる場面においてこのアプリを利用していて、私にとっては希望といっても過言ではない程である。


このジャンルにカテゴライズされるアプリは色々と存在するが、その中でも、この「YY文字起こし」は、

  • 騒音や環境音に強く、静寂な環境でなくても、認識率が高い

  • 笑い声やオノマトペ(拍手やサイレン、電車の音など)といった非言語情報も認識できる

  • エンドユーザとの繋がりが強く、意欲的なアップデートがされている

という点で、他のアプリに対して、かなりの優位性があると感じている。

基本的には無料で使えるので、一度使ってもらえれば、その凄さを実感していただけると思う。

YY文字起こしのアプリ画面

話すとその内容が逐次文字にどんどん変換されて表示される。見ているだけでも飽きない。漢字への変換精度もかなり高いが、固有名詞などを辞書登録することもできる。

背景色や文字サイズも、変更可能だが、黒字に白文字が視認性は高いとは思う。画面を上下反転させたり(マイクを相手に向けられる)、表示を分割してお互いに画面を見ながら会話といったこともできる。

内容は音声とともに記録され、履歴から再度確認することができる。(録音に不都合がある場所での使用には、表示のみに特化した「YYレセプション」というシリーズアプリがある)

下部には入力音声のレベルが表示され、人の声が入ると赤色に変わり、画面の色を変化させることもできる。これにより、話しているのに認識されていない状態の判断や、入力音量が適切かどうかの判断ができる。

1日2時間まで無料。同エンジンを使用したシリーズアプリの「YYProbe」「YYレセプション」において、時間制限の緩和された有料プランも用意されていて、私はこちらを使っている。

設定で細かな調整ができる

笑い声の検出はこのアプリの1つの大きな特徴。(笑)と表示される。これについてはこちらが詳しい↓

iPad対応。大人数での会話など、場面によってはiPadを使うのも便利。ただし、内蔵のマイク性能がiPhoneより劣るので、外部マイクなどを利用するのがおすすめ。前述した「YYレセプション」を使えば、もっと大きな外部ディスプレイに出力することもできる。

最近はApple Watchにも対応した。これにより、認識結果をWatch上で見たり、Watchからコントロール、Watchについているマイクを使って認識させたりなどできるようになった。これにより電話などでの利用が、より便利になった(記事執筆中)

少し変わった特徴としては、歌詞の聞き取りにも強い。他のアプリでは歌声や後ろで楽曲が流れていると、認識できなかったりするのだが、このアプリは(完璧とまではいかないが)ある程度、認識してくれる。


ちなみに「YY文字起こし」を含めたシリーズアプリ群が、先日グッドデザイン賞、金賞に選ばれた。以前から利用していた1ユーザとして、とても驚きまた、大変嬉しい出来事であった。

聴覚障がい者が日常のさまざまな場面でコミュケーションをサポートするツールであり、実際に聴覚障がい者のユーザーにも評価され広く利用されている。オノマトペや周囲の状況をイラストやアイコンのアニメーションで表現することで、コミュケーションにおける繊細な機微が伝わるだけでなく、救急車の音などの大事な情報を伝達する手段にもなっている。また、当事者の声を積極的に開発に取り入れながら柔軟にかつ迅速にプロダクトに反映させる誠実なデザインプロセスはインクルーシブデザインのお手本のような事例である。

グッドデザイン賞 審査委員の評価コメント

私の利用方法の具体例についても、色々と書いていきたいが、まずは「疎外感」のお話から。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?