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海外からフルリモートでの仕事は、こんなふうにやってる

世界的にリモートワーク普及が進んでいるので、海外(オーストラリア)からフルリモートでお仕事させてもらっている私の、「こんなふうにやってる」を書きます。

リモートワークという観点でいうと、今までこういう変遷を経てきました。

1. 毎日決まった時間にオフィスに通う会社員
 ↓
2. 東京を駆けずり回るフリーランス(固定オフィスなし)
 ↓
3. フレックス制/リモートOKのスタートアップ社員
 ↓
4. 海外を転々、東京と往来しながらフルリモート

元々はわりと大きいPR会社で、いわゆるレガシーなクライアント企業さんばかりを担当し、アナログな働き方をしていました。

固定デスクにWindowsのデスクトップPCを置き、コミュニケーションの中心は電話とメール。固定電話を1秒で取るスキルはやたらと磨かれ、紙資料をじゃんじゃん印刷して複合機の扱いがプロでした。テレビ局・新聞社と飲食店の間に入ることが多かったので、FAXも毎日使っていました。

基本的にクライアントさんは「訪問」して打合せをしていたし、PRイベントや食事会もよくありました。20時とかに打合せが終わってオフィスに戻ることも多く。。出社しないと、現場に行かないと、仕事ができなかった。。

しかしそれから紆余曲折5年ほどを経た今は、海外の小さな街に住み「フルリモート」でやらせてもらっています。全体の60〜70%くらいは、フリーランス的に日本の会社さん複数とのお仕事。ここ1年はそんな働き方です。


仕事内容は、PRをベースに、企業・団体のコミュニケーション活動全般をやっています。……と言うとちょっと一般的にイメージしづらいと思うのですが、具体的には、

PR・広報業務全般、コーポレートブランディング、企画、プロジェクトマネジメント/ディレクション、メディア運営、ライター、編集、翻訳、取材コーディネート、マーケティングリサーチ、Webサイト制作関連

みたいなことです。

コミュニケーション系のお仕事を海外からリモートでやっている人はあまり多くはないと思うので、身近な人々に私自身の働き方を知ってもらい、参考になるところはしてもらえれば嬉しいです。

なお「海外フルリモート」はちょっとキャッチーだから言ってみてしまっただけで、「リモートワーク最高だよ」「海外から働けて快適だよ」と言いたい記事ではないので、最後のリモートワークについて考えていることもぜひ読んでください〜。

毎日がスーパーフレキシブル

先にちょっとイメージしてもらいやすいように、日々をどんな感じで過ごしているかの話をすると、毎日がスーパーフレキシブルです。

各社さんとミーティングが入る時間帯はまあまあありますが、それ以外は基本的にフリーです。平日と土日、営業時間と営業時間外といった区切りはあまり意識していません。

現地で入る予定もありますが、だいたいは朝起きてその日のスケジュールを決めています。一応、平日はお仕事モードONになっていることが多く、突然タスクがすべて自分から離れて暇になるときがあるので、そういう日をいきなりOFFにするなどしています。まあONもOFFもやってることあまり変わらないけど。

小さなビーチタウンに住んでいて、移動は自転車かスケボーです。公共交通機関はあまり発達していないので使いません。家から徒歩圏内に、シェアオフィス、カフェ、スーパー、ビーチ、ジム、各種ショップなどが揃っている最強環境なので……。全然ここだけで生きていける……。

いつでも移動できる状態にはあるのですが、旅しながら仕事はもうお腹いっぱいなので、落ち着いて定住しながらのリモートワークです。

それでは、心がけや気をつけていることの話をします。

1. 物理環境には投資し、使い倒す

環境と機材はとても大事なので、ちゃんとお金をかけるようにしています。

オーストラリアで家を転々とすることが多かった昨年も、快適に作業できるデスクとチェアはマスト条件にしていました。

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今は落ち着ける自室に加え、家の近くに小さなシェアオフィスを借りています。近所にいくつかこういったスペースがあるのですが、公式な(?)ところではなく、個人で借りている人たちに混ぜてもらう感じになりました。それなりに月額を払い、好きなときに使えるようになっています。

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こっちのオフィスには犬がどこにでもいて、すごくかわいいんですよ。

とはいえ毎日同じオフィスに行くだけも飽きるので、カフェで仕事をすることもあります。

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お気に入りのカフェにGoogle Mapsで★をつけまくり、Wi-Fiのパスワードと速度をリスト化しています(たぶんこれ売れる)。あと地味に図書館もいい作業場なので、オールデイWi-Fiが使える有料会員になっていたりします。

・シェアオフィス→テレカンがあったり、しっかり仕事したい日
・カフェや図書館→そこまで重くない作業をサクッとしたい日
・自宅→企画を考える系や、じっくり書き物がしたい日

場所を使い分け、メリハリをつけるのは大事。

MacBook ProとiPhone XSを使い倒し、テレカン用に有線とワイヤレスのイヤホンを常に2個持ちしています。Macのスクリーンや取り付け式のスタンド、ケースなどもちゃんとしています。タブレット、Kindleも持ってるし、充電器とかもこだわってるかも。少ない仕事道具なので、惜しまず投資。

ハードはもちろん、ソフトも大事でしたね。最近はスマホからテレカンしたいことが多いので、SIMのプランはギガ多めにして、国際電話もつけています。東京帰ったとき用に日本のSIMもキープして、会計ソフトやAdobeなど、仕事を捗らせるためのアプリやサービスには課金します。

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このあたりは個人によって違うと思いますが、リモートワークになると「仕事環境を自分に最適化する」ことの柔軟性が増すので、いろいろ試してみるといいと思います。

他にも細かいことですが、マイボトルを愛用したり、好きなお菓子を見つけたり、かわいいドリンクでテンションを上げたり。日々工夫です。

2. 情報収集は東京在住者をライバルに

PR広報といった業務だと特に、情報量が足りないことは命取りです。トレンドや世の中の流れをキャッチすることが仕事の半分といっても過言ではない。。

「海外(や地方)にいるとトレンドがわからないんじゃないの?」と思うかもしれませんが、それは5年前までの話。テクノロジーが発達したので、今は平均的な東京在住者よりも日本の情報を取れていると思います。

Webのニュースやコラムを読むのは習慣化していて、Twitterはリスト10個くらい作っていろいろな情報を見ています。本はKindleで、雑誌はdマガジンをタブレット端末で。AbemaTVとかで日本のニュースも見れますし、テレビのドラマやバラエティもけっこう見れます。

テレビは大衆感覚とチューニングするのに必須と思っている派なので、お仕事に関わる内容やトレンドは、見るようにしています。あと、話題の会見は見ますね。余談ですが、中居くんの退所会見はコミュニケーション職の人なら必見の素晴らしい内容でした。

なかなか追いつけていないことも多いですが、海外にいる/リモートワークということ自体がハンデだと感じることは、そんなになくなってきました。これでイベントや飲み会・お茶もオンライン化する文化が浸透していけば、完璧です。

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最近は、ビーチで英語の意識高い本を読むという情報収集にチャレンジし、逆に日本のガラパゴスに染まりすぎないよう努力しています笑

3. コミュニケーションツールはすべて使う

テキストならSlack、ChatWork、Messenger、Twitter DM、Instagram DM、LINE、Email。会話ならZoom、Whereby、Meet、Skype、各メッセージツールのCall、電話。

ひと通りのツールを使っていて、あまり選ばないようにしています。

テレビ局や新聞記者さんと連絡とるなら電話は必須だし、知らない人にコンタクトすることも多いので、いきなり電話が鳴るのも大歓迎。相手によってコミュニケーションが取りやすいツールは違うので、こういう職種ならすべての手段を駆使するのも技のひとつです。

こっちのOptusというSIMを使えばオーストラリアナンバーからの国際電話がかけ放題だし、受信は050plusを使えばOK。実はこれで電話も普通にできてしまいます。ちなみにオーストラリアの人との連絡はText(SMS)とWhatsAppが主流なので、さらに散らかってメッセージがカオスという問題は常にあります。。

ツールが多すぎてたまにミスしますが、リモートワークが今までと同じ「電話とメール」だけで成り立つと思ったら大間違いなので、「会えない」ことを全力で埋めていかなければなりません。その意味では、Twitterやインスタで仕事と関係ない面を出していくのも本当は重要かも。

そして、かなり重要なのがSlackです。チャンネル名の付け方や名前のルール、スレッドの使い方、けっこうこだわりがあり、そこにこだわることがそのまま社内広報、インナーコミュニケーションに直結するケースも多いです。

私が関わらせてもらう企業さんは、基本的に私以外にもリモートメンバーがいます。リモートワークの場合、Slack=オフィスそのもの。オフィス環境を整えたり社内で人間関係を築いたりということがSlack内で行われます。社内広報や組織づくりの観点からSlackの使いこなしはかなり大事なので、上手な企業さんのSlackにはとりあえず入れてもらいたいくらいです。。

チャットのやりとりで地味に気をつけていることとしては、過剰に「!」をつけるとか、絵文字を使うとかです。😍😂😆😱をよく使います。わりと無表情・低抑揚なタイプなので、ちょっと気を抜くとすぐ怒っているor機嫌が悪いように見えるらしく。。笑 テキストではオーバーリアクション気味なくらいがちょうどいい。

4. ドキュメントベースの会話を心がける

Googleドライブを使わずにどうやって仕事するの?というくらい依存している。。

ドキュメントを見れば意図がわかる、目的やゴールがわかる、すべての情報がまとまっている、という状態を心がけています。コメントや変更履歴も残せるので、資料上でけっこう「会話」が成り立ちますよね。

テレカン(オンライン会議)のときは、同時進行でドキュメントに議事録を残し、資料はその場で編集していきます。

ちなみにテレカンの画面共有機能を使う人も多いと思うのですが、私はプレゼンなどを除き、普段のプロジェクト進行ではあまり使わないようにしています。

上記の理由で、各自の画面でドキュメントを見て進めたほうが、その場でアウトプットされていくので全員が同じ方向を見て話しやすいから。それに、画面共有していると重くなってしまうし、スマホから参加している人がついていけなかったりするとよくないです。(それを言い出せなかったりする)

共有している人の顔が見えない、画面共有オンにしている間ずっと会話の主導権がその人にスティックしまうなどの課題もあるので、コミュニケーションの均衡性が保ちづらく、一気に崩れてしまったりするのが「画面共有」なんですよね。気をつけないと。

「ファイル名会話」「フォルダ内会話」も心がけていたりもしていて、ここまで気をつけておけば無駄な説明テキストはいらなくなります。リモートだとますます共有フォルダの整え方って大事です。

5. 即レスは、しません。すみません。

リモートワークするなら即レス!とよく言われますが、私は即レスしません。ごめんなさい。

職種柄、集中して作業したい時間や、じっくりとアイデアを出したいことも多いためです。まとめてメールやSlackを返す時間と、外からの刺激をシャットアウトして自分に集中するときと、わけています。

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時差は+2時間なのであまり気になりませんが、それでもこっちの生活があり、稼働時間は不規則です。人と会っているときなどは、レスしないことも。通知はパソコンはすべてOFF、スマホではメッセージ系のみONにしています。

一定以上の数のメッセージをやりとりする人には、即レスは逆に効率を落としてしまうので、それよりも即レス必須な急ぎの連絡が来ないように調整をがんばります。

6. せっかく海外にいるのでその環境も楽しむ

ここまで読んで「海外にいるのに日本の仕事ばかりしてて、楽しいの?」と思った人もいるかもしれません。

私にとってはそこまで特別感はなく、ただ過ごしやすい土地にいる感覚なのですが、一応、日本の仕事ばかりになりすぎないようにはしています。

こっちでコミュニティに属したり、関わる人を増やしたりも大事です。イベントにも行ってみたりします。日々、新しいことの発見。まだまだ水面下で広げ中です。

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企画やアイデア出しをすることも多いので、いろいろなものを見て聞いて感性を磨くことも、仕事のうちだったりすると思っています。こっちでの経験もけっこう仕事に還元できていると思うので、その点ではリモートワークによる別の恩恵もあるのかな。

遊びも入れつつのオンオフごちゃまぜの調整も、リモートワークを3年くらいやって上手くなってきた気がします。

リモートワークについて考え抜いた昨年

具体的に気をつけていることとしては、こんな感じになります。

実は2019年は、ついに東京ベースをやめて海外に出てきたので、リモートワークについてめちゃくちゃ試行錯誤していました。

まだまだなところは多々ありますが、考え抜いた結果、今は自分なりに目指しているところがあります。

「チーム内のやりとりがリモートで完結する」という状態は、IT企業やスタートアップなら比較的すぐに作れると思っていて。クリエイティブワーク中心の個人ワーカー(ライター/デザイナー/エンジニア等)がフルリモートで生産性高く働けるのも、もはや当たり前で事例がたくさんあります。

私はそのどちらとも少し違う、外部とのやりとりが多いコミュニケーション職種におけるリモートワークの限界に挑戦したくて、頑張っています。

直接会わずにどれだけの人との関係を調整し、プロジェクトを推進していけるか?みたいなところが目下向き合っている課題です。職種柄、会えないことによるハンデはまだ感じることがありますが、テクノロジーを駆使して「無理」を潰すべく手段を考えてみています。

まあ、いつダメになるかわからないし、お仕事相手に迷惑をかけているかもしれません。だけど今は、自分を実験台にしてやってみたい気持ちもあり、一緒にこの実験を面白がっていただけるような方々とご一緒しております。

さいごに:海外フルリモート、という自由そうな響きだけど

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逆ポジショントークになりますが、私はいわゆる「海外からフルリモート」で働いているけど、リモートだけですべてOKとか会う必要がないとはまったく思っていません。

実際、先日東京に帰った際は、毎日5アポほど人に会い、毎晩誰かと飲んでいました。それくらい、人と会ってコミュニケーションを取ることは大切にしています。

それに、私のリモートワークはたくさんの人の協力で成り立っています。ポケットに入れられて取引先に連れて行ってもらえたり、全員会議室に集まっているところに1人だけリモート参加させてもらったり。現場で動いてくれる人たちのおかげです。

リモートワーク最高!オフィスいらない!ではなく、ひとつの新しい手段として「全員に関係のある話」と思われるようになったらいいな、って感じです。

リモートワークができる力を日常的に磨いておくと、ライフステージに合わせた選択肢も広がるし、有事の際にも生産性を落とさずに働くことができますよね。私にとっては、今のスタイルは「通過点」であり「手段」なので、この働き方だけが最強とも思っていません。

でも政府もテレワークを推進しているし、これから流れがくることは間違いない。その意味で、仕事を通じた課題解決はもちろん、リモートワークを広めることも私のミッションかもしれないと思っている最近です。自分の働き方を通しても、世の中を少しよいほうに向かわせられたら。

「フルリモートの組織」だったり「広報業務のフルリモート化」についてはもっと思っていることがたくさんあるので、今度また話します。

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こんな感じでやらせてもらっていますので、もし何かしら興味をもってくれる方がいれば、お気軽にご連絡ください。

知ってほしいけどあまり知られたくない、バイロンベイからお届けしました。おわり。

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