書評を書いてみる

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日頃からお世話になっている、若松先生の新著

『子どもが育つ学級をつくる「仕掛け」の技術』をようやく読めた。胸を借りて書評を書く。このアウトプットも自己の成長へと繋げる。

 さて、ここで言われている「仕掛け」とは大きく分けて①環境設定②教師の関わり方の2つであり後者についてが紙幅の多くを占めている。これは、著者が方策よりもそのあり方を大切にしているからに違いない。

 これまでの『教師のいらない授業のつくり方』や『教師のいらない学級のつくり方』で書かれていたことへ、さらに一歩詰め寄る形となっているため、若い先生方の参考になるだろう。

 また、著者は「子どもたちを価値づけることで、行動選択の幅が広がる」と書いている。
 本書によって、読者自身もまた、自己の言動を価値づけられ、これからの一手を生むことのできる一冊である。

 一方で、大切にされている「問いかけ」については言語においての優位性も感じる。問いをトリガーとして子どもの内省を促すには、相応の発達段階が必要である。

 低学年や支援を要する児童に対しては、より視覚的・感覚的に分かりやすい準備も必要であると感じた。

 くわえて、授業づくり・学級づくり・振り返り・家庭学習と多岐に渡るテーマは著者の一貫した指導への姿勢を示すものである。読者は全てを追うのでなく、「何を重要視するか」という選択も迫られるのではないだろうか。

 こうした具体と抽象を織り交ぜた構成は全て、あとがきへと集約されていく。

 「読者のみなさまとも、よりよい教育を共に追究していければいいなと思います。」

 この一冊で上位下達に教えを説いたわけでも、答えを示したわけでもない。著者自身も、同じように悩み続けている。

 読者と対等な教師として、10年後も共に考えていきたい。あり方を大切にする教師がそれでも具体を示した温かさ、そんな心に触れることのできる一冊であった。

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