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昼の月が夜の月より好きなワケ

「月が綺麗ですね。」
夏目漱石がこの言葉を生んだという証拠はないらしいのだけど、都市伝説として受け継がれる程に日本人の感性に刺さったというのは間違いないと思う。

どういう意味だったのか?
数ある解説の中で私が好きなのは、

【並んだ2人が『美しい対象物』を眺め、共にそれを美しいと感じるならばそこに愛を伝える言葉は不要】

表現の奥ゆかしさに感動するよね。

さて、
ここまでで皆様がイメージした月は、きっと眩く光輝き、暗い夜を照らしてくれる夜の月だよね?
確かに夜の月は美しいのだけれど、私はそんな美しい夜の月よりも、青空に薄らと浮かぶ昼の月が好きなんです。なんでか説明していきますね。


昼の月の何処が好きと感じるのか。

それは【昼の月は雄大さを感じさせてくれる。】からなんです。昼の月から感じる雄大さを例えると、都会の喧騒を抜け出してゆっくりとハイキングをしている時に感じる空間の広さへの感動とそのときの心の開放感です。

この感覚に陥る理由は『宇宙』に答えがあります。

宇宙のことを知ったり考えたりすると、日々の悩みがちっぽけに感じてしまうことがありますよね?それが私が感じる雄大さの正体です。

私たちは直接的に、その宇宙の圧倒的な存在感を直接感じ取っているわけではないのだけれど、昼の月を通すとそれを感じ取れる。それが昼の月の凄さです。

宇宙の雄大さはわかったけれど、何故昼の月から感じとれるかがよくわかりませんよね?

一度、薄らと浮かぶ昼の月と風で流れる白い雲を想像してみて下さい。

これらは同じ空に浮かぶものですが、雲は大きく、形があやふやで、纏ったり、解けたりして、風に乗って流れていく。ここからは時の進みの早さを感じることができます。一方、昼の月は今にも青空に飲み込まれそうなほど微かな色味をしているが、そこには確かに月の骨格が露わになっています。そしてそれは微動だにせず空に鎮座しており、時の進みの遅さと変化ない絶対さを感じるのです。(正確には動いているとかは抜きにして)

この雲と月の対比によって、更に月の絶対さが強調され、それを構成した宇宙の凄さが月を経由して感じ取れるというのが私の答えです!


夜の月も宇宙を感じるだろ!

確かにそうかもしれません。けれども、夜の月は「私達の日常に溶け込み過ぎた」が故に雄大さを感じるものでは無くなったと思うんです。例えば、富士山は圧倒的な雄大さを感じますが、近隣の人にとっては日常過ぎて雄大さを感じる機会は減ると思います。

そうおもうと、夜の月は私達にとってとても身近です。自然に光る(※太陽の反射ですが)というのは人間の目には美しく映るものですから、中秋の名月、スーパームーン、ストロベリームーン等々、沢山呼び名がありますよね。また、夜は月の独壇場です。明るい月は周囲の星たちを見え辛くし、宇宙を感じる要素を潰すヴィランとも言えるかもしれません。

確かに、夜の月は美しい、けれどもそこからは宇宙を感じるほどの雄大さを感じることができない。というのが私なりの感じ方です。


だから私は雄大さを感じる昼の月が好きなのです。

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