【体験レポ】超騙されやすい人間がTwitter(X)運用コンサルのセミナーを受けてみた話
怪しいセミナーに参加してみたい。TwitterのDMで来る「副業で月50万円!」みたいなやつを見るたびに思う。詐欺だとはわかっているのだが、ああいうのに一度関わってみたい。どこかそういう欲がある。
返信したらどこへ連れて行かれるのだろう。なにを求められて、なにを奪われるのだろう。気になる。
かといって、犯罪の片棒を担ぐのは嫌だ。マルチも怖い。私は騙されやすいので、変な宗教にのめり込んでしまうかもしれない。すでに高額情報商材に結構な額を溶かしたこともあるし、ここは慎重にならなければならない。
そこで目をつけたのが、Twitter(現X)運用コンサルだ。Twitterといえば、私の主戦場である。
私が人生で一番頑張ったこと、それはTwitterだ。自慢ではないが、Twitterのコンテンツ力を競うコンテストで入賞したこともあるくらいだ。
Twitterでなら、セミナーに参加しても情報商材屋さんを出し抜けるかもしれない。もうすでに何敗かしているので、今度こそ負けられない。
私はTwitter運用コンサルのセミナーに参加してみることにした。
それで結局どうだったのか
結論から言おう。結構楽しかったし勉強になった。
おいおいこいつもう騙されているよ。そう思われた方はちょっと待ってほしい。
悪くない体験をするまでに、紆余曲折があったことを話しておかなければならない。
事前の調査や準備から、実際にセミナーを受けるまでの流れを書いていく。
受講前に予想していたこと
私が抱いている「Twitter運用コンサル」のイメージはこうだ。
出身は有名私立大学の文系。髪型はツーブロックで20~30代くらい。ベンチャーの社員みたいなネイビーのジャケットを着ているのが望ましい。
意識が限りなく高い。信者がいっぱいいて、フォロワーがよくコンサルの名言をまとめたものをツイートしている。
Twitterは顔出しアイコンでリプライの最初が「〇〇さん」。セミナーではインプレゾンビのやり方や、フォロワーの買い方を教えてくれる。
そして、最後にもっと高額なプランに勧誘される。
これらの項目のうち、なるべく多くを満たしてくれそうな人を探そうと思った。
事前調査でわかったこと
セミナー系サイトで、「Twitter」と検索してみる。「X」ではなく「Twitter(X)」という表記のセミナーが多いのは、検索性を意識してだろうか。
Twitter運用系のセミナーは数こそ多いのだが、今実際に動いているものはそれほど多くないようだ。企業向けのものが多く、個人向けに対応しているものは全体の2割程度。
また、純粋なSNS運用コンサルは少ないのか、「スピリチュアル系」「自己啓発系」「情報商材屋」「ライター」のセミナーを中心に活動している講師が、片手間にやっている印象を受ける。
数あるセミナーの中で、私はA先生とB先生に目をつけた。
A先生は、私の探していた条件にぴったりの人だった。有名私大文系卒、ツーブロック、イケイケのネイビージャケット、30代くらい。プロフに載っていたTwitterアカウントは消えていたが、IDで検索すると「A先生の○○という言葉に人生観が変わった! 意識の高い仲間たちに感謝!」みたいなのが出てくる。
本業は情報商材屋さんで、「高額な商材の作り方」みたいな商材を高額で売っている。
ここまで胡散臭い人はなかなかいない。私は早速A先生のセミナー(3000円)に申し込んだ。
B先生は、条件に完全にマッチしていたわけではないが、なかなか面白そうな感じのセミナーをしていた。とにかくTwitterで「万垢(1万フォロワー)を目指す」ことに特化していて、実際に自分でも万垢を運用しているようである。
学歴不明、ツーブロックではない。年齢は50代くらいか。本業は自己啓発系がメインに見える。
B先生のアカウントは、フォローも1万くらいあったので、フォロバでFFを増やしたのではないかと疑った。ツイート内容も自己啓発系が主で、なんとどのツイートにも500いいね・50RT・50コメントくらいついている。こういう系のツイートは伸びないものだと思っていたので驚いた。
ツイ廃は、フォロワー数でマウントを取り合う生き物。若干負けた気にはなったが、どういうからくりでこれを達成しているのか気になって、B先生のセミナー(2000円)にも申し込むことにした。
セミナー前に起きたこと
期待度の高かったA先生のセミナーだったが、なんと先生の側から一方的にキャンセルされてしまった。申し込みしてから2時間後くらいのことである。
支払いは問題なくできていたはずだし、なぜだろうと思いサイト運営に問い合わせてみると、生徒の了承なしに勝手にキャンセルするのは禁止行為なので厳重注意しておくとのこと。
A先生とB先生のセミナーはほとんど同時に予約したので、サイトの「初回おまとめ割引き」みたいなのが適用されるはずだったのだが、A先生の方がキャンセルされたために適用されず、なんだか損した気分になった。
どうも釈然としない。何かしらのスキームに引っかかったのだろうか。それとも、単に先生の予定が合わなかっただけだろうか。あるいは、冷やかしであることがバレてしまったのだろうか。よくわからないが、ちゃんと返金もされたのでここは諦めることにする。
一方で、B先生のセミナーの準備は着々と進んでいた。
私が事前にメッセージで送った質問(○○については相談できるのか、NG質問はないか、等)には、かなりの長文でちゃんとした内容が返ってくる。ここで一抹の不安がよぎる。
B先生、なんかまともな人かもしれない。いや、まともであることに越したことはないのだが、私の頭の中では「最後に高額商材に誘導されかけた! 詐欺だった!」みたいなシナリオが綺麗に描かれていたので、ちょっと困る。
ここで方針転換を余儀なくされた。
最初は使っていない小さいXアカウントで改善方法を冷やかしで相談するつもりだったが、それに対するアドバイスを「参考にならなかった」と喧伝するなどB先生に対して不誠実ではないか。正々堂々本垢で行こうと決める。
相談内容は、「3000フォロワーいる今のアカウントを1万フォロワーにする方法」「私が書いているnoteやカクヨム(小説投稿サイト)などの作品を効果的にXで宣伝する方法」の2つ。
これらを本気で相談してみることにする。
B先生のセミナー当日
送られてきたZoomの部屋に入ると、定刻通りに始まった。
セミナーとは書いたがマンツーマンの形式で、レッスンと言った方が近いかもしれない。
まず、私のTwitterアカウントを褒めてもらった。先日バズった私のツイートを画面に表示させ、B先生に「逆に伸ばし方を教えてほしい」と言われてちょっといい気になる。
逆に問題点も指摘された。主に以下の3つだ。
①インプレッションが高いわりにフォロワーが増えにくいのは、ツイートをどんな人が見るか(ターゲット)の設定が明確でないからではないか
②プロフィールや固定ツイートから、何をしている人なのかよくわからない
③noteや小説に誘導したいのに、どこから作品へ飛べるのかわからない
言われてみればたしかにそうだ。ふよふよした気持ちが一気に「ビジネス」とか「マーケティング」みたいな言葉へと引き戻される。
問題点①ターゲットの設定
ビジネスでの企画書などでターゲティングは当たり前にやることだが、私のアカウントではいまいちできていなかった点だと思う。
言い訳させてほしいのだが、私はインフルエンサーでもなくましてやビジネスアカウントでもなく、交流目的でやってる個人の一般アカウントだ。リア垢に近い位置づけともいえる。
そう言ってマーケティング的な視点から逃げて来たのだが、人生をかけてTwitterをするのであればもう少しターゲットについて考えてみてもよいのではないかと思った(Twitterがサービス終了してしまったら私はどうなってしまうのだろう)。
問題点②何をしている人なのかよくわからない
私のTwitterアカウントを今一度見ていただきたい。
アイコンはイラストレーターさんに有償依頼しためちゃくちゃかわいいやつ。ヘッダー(カバー画像)は友達に作ってもらった猫ちゃんの画像で、プロフの文面は初期のころ適当に設定したら愛着が湧いて変えられなくなってしまったものだ。
アドバイスを受けたのは、ヘッダーと文面を変えるべき、ということだ。たしかにそう思う。noteなり小説なりを見てもらいたいならそう書くべきだし、インフルエンサーではないのだから適当な文面で面白い人間だと思ってもらおうなどという考えは捨てたほうがいい。
逆にアイコンとハンドルネームは変えない方がいいらしい。変えてしまうと、フォロワーから見て私が誰だかわからなくなってしまうからだ。
問題点③どこから作品へ飛べるのかわからない
これは本当にその通りである。よくDMやマシュマロで「どこで作品を読めますか?」という質問をいただいて、毎回なんとなく恥ずかしがって個別にこそこそと案内しているのだが、わけのわからない羞恥心なんて屁の役にも立たない。しっかり作品へ誘導すべきだし、作品のクオリティが低くて恥ずかしいのならおもしろい作品にする努力を惜しむべきではない。
今はプロフ画面のリンクのところにnoteを貼っているが、これはそのうちお仕事をいただくための個人ページのリンクに変えたいと思っているので、固定ツイートにnoteなどを置くことを検討中だ。
B先生が万垢になった方法
フォロワーを買ってるとか、何かでかさ増ししているとかだったら面白かったのだが、B先生は順当に投稿とフォローでフォロワーを伸ばしていったようだ。
聞けば、フォロワーを増やすための効果的なルーティンがあるという。(これはnote記事にしてもよいと許諾を得ている。ありがとうございます)
・朝5:30頃 投稿をする。ネガティブな人をターゲットに、ポジティブになれるような言葉を。
・昼12時頃 フォローしてくれた人をフォローバック。RTしてくれた人の投稿をお返しRT。最後に自分のツイートをRT。
・夜18時前 フォローしてくれた人をフォローバック。RTしてくれた人の投稿をお返しRT。最後に自分のツイートをRT。(昼と同じ)
有名な話だが、Twitterが伸びる時間帯は6時・12時・18時頃と言われている。6時に投稿するのがよいのではなく、「6時になった時点でタイムラインにある程度いいねがついた状態で表示される」のが重要らしい。
朝に投稿するのは、意外と朝活勢が多く伸びやすいからと聞いた。若年層はともかく、先生のフォロワーは中高年が多いのかもしれない。
昼と夜のお返しRTは、質を無視して実績(フォロワー数)をまず伸ばすためにやっているという。ただ、自分のタイムラインで自分のツイートが上位に表示されるように、最後に自分のツイートをRTする。
一見すると簡単そうだ。が、この話を聞いているとき、私の頭の中には数年前の、カクヨム(小説投稿サイト)で活動していた頃の悪夢がよみがえってきた。
小説投稿サイトは基本的に、「読まれている人が読まれる」システムだ。私のような弱小作家はほとんど読んでもらえない。そこでおこなうのが、宣伝活動である。この場合、普通の人に向けて宣伝しても読まれないので、「あなたの作品を読むのでお返しに私の作品を読んでくださいね」とするわけだ。
0評価0いいねの作品は一般読者の目にすらとまらないので、そうやって弱小作家同士で手を組み、少しでもPVやいいねをかさ増しすることで、一般読者にちょっとでも読んでもらえる可能性を増やすのである。
そんなことをしているのか、と驚かれる方も多いかもしれないが、Twitterで「#RTした人の小説を読みに行く」「読み合い」のように検索すればそういう人たちは無限に出てくる。
しかし、仮にそれができたとしてうまくいく人はほぼいない。続けられる人も一握り。上澄みというわけだ。
B先生の手法も、私が過去にカクヨムでやっていたことに近い。常に数字をにらみ続け、善人のふりをしてお返しいいねやRTをする生活は、常人であれば心が先に壊れてしまうだろう。私のように。
つまり、B先生のやり方はかなりの猛者でしか実現できないのだ。
まとめ
長くなったが、結局どういうことだったのかというと、Twitter(X)運用コンサルにアドバイスを求めたら最大限有用な指摘をもらえた、ということになる。
あと、Twitterへの課金も勧められた。B先生はもともと平均いいね数が2000くらいだったらしいが、イーロンによる課金青バッジ制度が始まってからインプレッションが格段に落ちたらしい(B先生のアカウントは無課金)。
ただ、近年は青バッジに対する世間の印象がすこぶる悪い。
青バッジを隠せるならやってもいいかもしれないが、非表示機能が廃止されるという話もあり、課金はしないことにした。
本当はもっと怪しいセミナーを受けてみたかったのだが、割といい体験ができたという結論だ。
私は騙されているのだろうか。わからない。わからないが、満足できたのでよかったと思う。ディズニーランドだって、あんなの子供だましだといってしまえばそれだけだが、結局は体験を買っているのだから。
この記事を公開してしまえば、警戒されて本当に怪しいセミナーは受けられなくなるだろう。他のセミナーを受けてから本記事とまとめて出すこともできるし、記事がもっと刺激的になり、伸びやすくなるかもしれない。でも、早く人に読んでもらいたかったのでもう公開してしまうことにする。
私が万垢になる秘訣は、この承認欲求を捨てることにあるのかもしれない。
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