いつもまちがえる宅急便屋さん
いつもまちがえる宅急便屋さんはいつも荷物をまちがえる
たまにまちがえるのでなくいつもまちがえる
なので荷物を送っても相手に絶対に届かない
相手から荷物が送られても絶対に受け取ることができない
わたしたちは送った荷物は必ず相手に届いてほしいと思うけれども
その思いは叶うことはない
大好きなあの子にプレゼントを送っても違う子に届いてしまう
お母さんやお父さんに旅行のおみやげをおくってあげても届くことがないので両親もわたしがどこに行ったのかわからない
服を頼んでも椅子が届くし
本を頼んでもお酒が届く
もうめちゃくちゃだ
そもそもお酒なんて飲めないのに
いつもまちがえる宅急便屋さんのおかげで世の中はいつも混乱している
みんなイライラしたり失望したり
みんな荷物が相手に届いてほしいと思っているのにいつも届かない
そして違ったものが返ってくる
少し違うこともあれば全然違うこともある
あっていることはない
いつもまちがえる宅急便屋さんだからだ
昨日も好きな漫画の7巻を頼んだのに6巻が届いた
6巻はもう読み終わっていて次の話が読みたかったのにまた6巻が届いた
もう持っているのに
仕方がないのでもう一回読んでみたら一回目に読んだときに気がつかなかったところに気がついた
ちょっとした発見
たまにこんなこともある
いつもまちがえる宅急便屋さんにまちがえないでくださいといってもかならず間違えるのでもうみんな諦めている
そしていつもまちがえたものが届くけど仕方なくそれを受け取っている
いつもちょっと違うのにという違和感をもちながら荷物を受け取っている
怒っていつもまちがえる宅急便屋さんの荷物を受け取らないこともできるけどそれだといつまでも何も受け取ることができないからみんな少し諦める
そして
いつもまちがえる宅急便屋さんの荷物を
ありがたく受け取ったり
いやいや受け取ったり
なにも考えずに受け取ったりしながら毎日生活をしている
そして今日もわたしたちは大切なあのひとのことを考えながら
絶対に届くことのない荷物を毎日送り出す
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