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最近のFF14事情。何らかして、グローバル版で遊んでいた中国の人たちが規制されたりして、色々とごたごたしているらしい

■ 最近のFF14と中国事情

End Walker(最新の拡張)のリリース当たりから、盛んに言われるようになったMana DC(日本に設置されているデータセンターのひとつ。FFxivはDCの中にワールドと呼ばれるさらに細かい区分があり、大雑把に言うとこのワールドが一般にイメージされるサーバーに該当する)の中国人プレイヤー多すぎ問題。

ひところは、PF(パーティーファインダー)に「hxd」(好兄弟:Hao Xiong Diの略。意味は「good bro」的ななにかで、要するに中国語でコミュニケーションが取れる人を指す)を要件とする募集が乱立していたらしい。「らしい」というのは、自分は安定のGaia DCのとある田舎住まいなので、基本的に世間の事情にうといからだ。

それが最近では、中国から接続していると思われるプレイヤーがガンガンBANされるという事態に発展しているようだ。これを受けて、憤懣やるかたない中国ユーザーが、各webサービスで色々と自分らの主張を展開している。

しかし、なんでよりによって、都会(比較的人口が多い)であるManaに集まってしまったのか。その辺は定かではないが、Reddit民によると、Manaが一番人口が多くて、Raidグループを見つけやすいみたいな理由で、以前から少数のアンテナの高い中国人がプレイしていたから、とかそんな理由らしい。

ちなみに、AP(アジア・パシフィック)には、英語ユーザーも結構多いため、日本の3DCのうちElementalには、やたらと英語を操るユーザーが集まっているようだ。なんか楽しそうだし、おれもEleにしておけばよかった。中国の人達にとっても、その方がまだ良かったんじゃないかと思わなくもない。

さて、非常に基本的かつ大事な仕組みとして、FF14のグローバルでの開発・運営は言うまでもなくSQEXが行っているわけだが、中国国内では、「盛趣遊戯(Shengqu Games)」なる上海のネトゲ企業がローカルの運営を行っている。大雑把に言うと「中国版」という、グローバル版とは少々異なるバージョンで中国国内ではサービス運営が行われることになっている。これが、事の根本にある。

詳しい取り決めの内容は知らないが、当然中国国内から、VPN等を用いてグローバル版をプレイするのは色々あまりよろしくない、(というか、グレートファイヤーウォール的な面からもアウトな気がするが)という事になるだろう。従って、中国人ユーザーは中国版がリリースされるのを基本的には待たなければならないわけだが、どうやら、ローカライズは当然として、一部の装備デザインの変更やら何やらが国のcensorshipをクリアするために必要なので、そうそう簡単には中国バージョンはリリースされないらしい。(なお、この点に関しては、WoWはグローバルで同時リリースだ!やればできるはずだ!という引き合いがよく出されている。blizzと一緒にしてあげなさんな。)

そこで、待ちきれない中国ユーザーが、大挙して日本のDCに押し寄せることになった。それも、登録内容を適当に偽り、VPNを経由して、ということがいっぱい起こったようだ。SQEXとしては、たいへん頭が痛かろうが、ずいぶん人気のゲームになったものである。それが、なんやかんやと色々な問題を引き起こしていたようで、本当のところなにがクリティカルだったのかはよくわからないのだが、アカウント登録の内容が虚偽だったりするアカウントについて、ついに結構大量のBANが行われる、という状況に至ったようだ。

まあ、やりたい海外ゲームすら自由にできないというのは気の毒ではあるが、ビジネスや統治みたいな大人の事情も絡んでいる以上、大きなムーブメントになってしまうと、運営企業としては、規約に従って処理します、となるのはやむを得ないところだろう。こういうセンスは、Reddit民もやはり大体同じなようで、そもそも、海外ゲームを検閲なしでダイレクトに遊べないっていう体制が問題なんだからSQEXじゃなくてそっちに文句言えよ、という「ニシガワ」な意見が散見される。そういう意見と、我々にはゲームを自由に遊ぶことすら認められないのか差別だ!おかしい!的なお気持ちとの間で、一見する限り、議論は平行線である。(ちなみに、文句は政府に言え!という批判はほぼ100%スルーする。よく訓練されているようだ)

ことここに至っては、「良くも悪くも」となってしまうが、SQEXというかFFxivの運営は、基本的におおらかであると言ってよい。要するに、本質的に誰にも迷惑をかけないような事であれば、多少の規・・・これ以上は言わせないでくれ・・・そういったスタイルの運営である。個人的には、好感の持てるスタンスだと思う。悪く言えば、そういう甘い姿勢が良くなかったと言うことも可能だろうが、ある意味それは、プレイヤーのモラルとかそういうものを信頼しているという事でもあり、これまでSQEXとプレイヤーが良好な関係を保ってきた、ということでもあるだろう。

にしても、公式に凸している中国ネット民の論調として、今まで黙認して儲けておきながら、突然垢バンを食らわせてカネを奪い取るとは何事だ、的なものがあるのだが、これはFF14の運営を知っている者からすると、もの凄く的外れに感じる批判である。

そもそも、旧14の不手際から、プレイヤーの信頼を著しく損なった状態でスタートした新生14の運営。ファンコミュニティとの信頼関係を地道に築いていくことの重要性を誰よりもよく知っているはずの運営。そんな運営が、自ら好んで目先のカネ儲けに走ることなど、ほとんど考えられない。よっぽどやむを得ない事情があったんだろう、OK吉田、おれたちは信じてるぜ!そうなるのが自然なように思う。

もしかしたら、運営にとって最もつらいのは、そういう運営サイドが重視している価値みたいなものが、全然信じられていない、伝わっていないように感じられることかも知れない。

ともかく、そういった信頼を基礎として、一定のグレーをある程度許容するようなやりかたでは処理しきれない問題が出てくるのであれば、しかるべき対応を、となってしまうのはやむを得ないところ。この一連の事件によって、SQEXの運営がある部分硬直化していくような結果となれば、それは運営とプレイヤーを含むコミュニティ全体にとって、あまり良い方向ではないだろうなと思う。

さてここで、あいつらはそういう当たり前の事情も分からない変な国の連中なのだ、と話を終わらせてしまうのは簡単だが、そういう文化や価値観が、どういう社会的な背景から出てくるのだろう、という事は気になるところである。

我々は、本来規約上認められていないゾーンでの行為が、何らかの事情で明るみに出るところとなり、ペナルティが課されるような結果となった場合、一定程度、やむを得ないことだ、と受け止めるのが普通であるように思う。ある種、自己責任論的なものを当たり前とする価値観を持っていると言えるだろう。

しかし、Reddit等で盛んに活動しているようなあちらの人を見る限り、そのようなグレーな運営を行った事に責任がある、といったような受け止め方をする人が一定程度いるようだ。内心は別で、対外的にはそうやって強く主張しないといけないという文化なのかもしれない。まあ、もちろん、古今東西、ネットで激しくお気持ちを表明するような連中というのは、一部のラディカルなやつと相場は決まっているわけだから、そこは割引いてあげないとイケないとは思うが。

あくまでもゲームというサービスを利用するかどうかは、私的な契約関係である。従って、運営側には、あらゆる人にサービスを利用させる義理は無い。しかも、これはゲームというほぼ100%娯楽のためのサービスであって、社会インフラとしての義務的なものが全くないわけである。そういう企業を相手にして、おまえらの運営がどうのこうのと文句をつけたところで、じゃあプレイしてもらわなくていいです、となってそこで終了、という話だ。つまり、不当な文句は言えば言うほど、サービスから排除される不利な立場においやられるわけで、自分の利益を追求する姿勢としては、あまり合理的とは言えない。(もっとも、おとなしくしたところでそう簡単に解決しそうにもないが。)

ましてや、それがローカルの運営会社に波及したり、もっと言えば、ファイヤーウォールを超えて海外ネトゲで遊ぶとは何事だみたいな大きな話となり、SQEXは永久に中国から出禁だ、みたいな話になると、真剣に拡張を待っている熱心な中国人ファンにとって非常に不幸なことになると容易に想像できると思うんだが、熱心に活動している風の中国ネット民のような人達は、いったい、なにと戦っているつもりなんだろうか。不思議である。もしかしたら、実質よりもメンツがわりと大事な社会なのかもしれない。

色々な事情も分かったうえで、自分たちが感じている理不尽を、(持っていくところがないので)また他所へ理不尽な形でぶつけている、という想像もまあできなくはない。または、騒ぎを大きくして、国内でFF14サ終へ導こうという工作員の活動、つまり、ゲームは基本的にNGという方向だが、人気のゲームを問答無用で終わらせて面倒な事になっても困るから、なんかあいつらロクでもねえ運営しやがるぞ的な世論を作ったうえで終わらせよう、みたいな陰謀めいた妄想シナリオも思いつかないでもない。まあ、本当のところは全く分からない。

しかし、中国国内からバンバンRedditとかtwitterにアクセスして抗議のカキコするとかって、そんな気軽にやっていいことなんかね。postの内容もわりとテンプレめいた決まり文句で、なんか全体的に変な感じするんだけど、個々のTwitterアカウントを見てみると、なんだかんだいって、この人本当にファンなのかなって言う雰囲気が出てるのもわりとあるんだよなあ。

なんか、何事も極端になりやすいという話が、ドル活とか受験戦争とかについて色々あったわけだけど、扇動されやすいというか、個人が意見を持つというよりは、全体で足並みを揃えましょうみたいな傾向があって、世論が極端な方向にいきやすいみたいな、そういうことがあるのかなあ。などと。

特に、先に述べた、「運営はもっぱらカネ儲けのために、規約違反を黙認し、そしてBANした」みたいな考えを、みんなが一斉に信じるというのは、自分の感覚としてはほぼあり得ない、大変違和感を感じる事である。まあ、みんなテンプレをコピペして抗議しようぜといった、こちらでいう2ch的な悪ノリみたいなものも一定程度あるのだろう。ともかく、自己主張が激しいというイメージに反して、本当に自分の考えをもとに意見を言っている人は、あまりいないように見える、というのが今回面白かったところである。

まあ、どっちにしろ、国内産業が多少打撃を受けようとも全体的にゲームを規制しようという国であるから、少なくとも、もう外国企業がまともに戦えるマーケットではないのだろう。もはや、問題はどうやってスムーズに幕を引くのかというフェーズに移行しているようにも思う。実際にファンフェス等で現地のファンと交流した運営サイドとしては色々と心情的に受け入れがたい面もあろう。しかし、最終的に国家体制が絡んでくるようなことである以上は、遅かれ早かれ、如何ともし難い面が出てくるのはやむを得ないことだ。せめて、新生以降のストーリーは最後まで遊んでもらいたいと思っているだろうが。

中国の人々は色んなレベルで、グローバルな社会と自由に接続することが難しくなってきている。ネットやメディアの規制は、さらにその傾向を推し進めるだろう。今はまだ、何らかの方法で、日本のアニメやマンガといったものにアクセスをしているようだが、その道がいつまで保たれるかは大変あやしいところだ。そういう、大きな壁の中で暮らす人々は、我々にとってますます「話の通じない」人になっていくのかも知れない。よその国のことは知らんけど、急に色々変わり過ぎじゃない?大丈夫なの?


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