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「よくこれを考えたね」と感心する発想は、予算や時間がないところから生まれます

「アカデミック」という言葉は、講義や討論のために学者が私的に集まったオリーブの木立にちなむ、プラトンの「アカデメイア」に由来

情報分析官

あなたが生まれた日に、神様がコインを投げて賭けをしたとしよう。表が出たら、あなたは生涯究極の正直者を通すが、あらゆる人々からならず者だと思われる人になる。裏なら、常習的なうそつきなのに、模範的な人物と見なされる。さああなたは、どちらの人生を選ぶだろうか? 西洋哲学史で、人類にもっとも大きな影響を与えてきた書物の一つ、プラトンの『国家』は、表を選ぶべきだとする議論を長々と展開している。彼によれば、徳が高く見えるより、実際そうであるほうが重要なのだ。

将棋に「成る」というルールがあります。上級者は、あえて「成らず」という手も使います。成らないことで、香車や桂馬や銀は、金よりは、動きが制限されますが、その駒独自の動きを、生かすことができるのです。成金になれる時でも、あえて「成らず」を選べば、人生の有段者。

ネット上の縦社会では、貧しいほうの勝ちとなります。

予算がないからこそ、考えなければならないのです(中略)「よくこれを考えたね」と感心する発想は、予算や時間がないところから生まれます。

〈グーグル〉の初任給はSTEM学位(科学、技術、工学、数学)を取得した新卒学生を一流大学から採用することもあり、平均して約17万5000ドルに上る(※フェイスブックの2007年平均給与は24万ドル)。あなたの会社は、それと張り合えるだろうか?当然、無理だろう(中略)となれば、異なる戦略が必要だ。それには、メジャーリーグのオークランド・アスレチックスをまねて、マイケル・ルイスの「マネーボール」の理論を利用した戦略がお勧めだ。オークランド・アスレチックスの年棒は、野球界でも最低レベルである。だから一流の才能に恵まれた選手を雇おうにも、年棒の点でニューヨーク・ヤンキースやボストン・レッドソックス、さらにはサンフランシスコ・ジャイアンツにすら勝てない。そこでアスレチックスは、まだ認知もされていない才能を探す必要に迫られた。ここで雇い主のみなさんに謹んで提言したい───あなたたちもそうすべきである。※引用者加筆.

最下位から2番目の貧乏球団が成し遂げた快挙(中略)ビーンは高校2年生のとき、バスケットボールチームで得点王に輝き、フットボールチームでクォーターバックを務め、野球チームで最優秀打者に選ばれ米国有数の高校野球リーグで打率5割を記録した。

野球チームのマネージャーとして成功する前、ビリー・ビーンはメジャーリーグの期待に添えない野球選手だった(中略)映画化でビリー・ビーンを演じたのがジム・キャリーではなくブラッド・ピット(中略)選手としてのビリー・ビーンのキャリアは残念なものだった。いくつかのチームにトレードされ、ポテンシャルを生かせなかったビーンは、引退の決断を下した。退団を迫られたわけではなかった。自ら引退を決め、オークランド・アスレチックスの球団スタッフとなったのだ。この決断とその後に起きたことは、野球界のほとんどの人にとっては予想外の出来事だった。野球では見かけは成功を推測する良い指標にはならないという自らの経験に基づき、ビーンは、スカウトの際の採用決定プロセスに革命を起こしたのである(中略)ビーンが探していたのは「今までの野球人生で、注釈付きでしか理解してもらえなかった選手だ。注釈には “この人物はメジャーリーガーには見えないので、たいした活躍はできない”と書かれている」。だが、そうした選手は活躍して成功した。なぜならビーンは見かけを超えた真実を見抜くことができたからだ。彼は「ユニフォームが似合うかどうかという最初のテストに失敗した若者」、つまり過小評価されていた若者を探していた。これこそ、ビーンをゼネラル・マネージャーとして大成させた理由だった。ビーンは、裕福なチームよりずっと少ない予算で偉大なチームを作り上げることができたのだった。

裕福なチームは優秀な選手をかき集め、資金が乏しいチームは残った選手で我慢するしかなかった。ところが二〇〇二年、低予算チームのオークランド・アスレチックスのゼネラルマネージャー、ビリー・ビーンは、このような体制に一泡吹かせることにした。彼は経済学者やコンピューターマニアたちが開発した特殊なコンピューターアルゴリズムを使い、人間のスカウトが見過ごしたり過小評価したりしている選手を集めて、勝てるチームを作った。古顔たちは、ビーンのアルゴリズムが神聖な野球の世界を汚したとして、いきり立った。そして次のように断言した。選手を選ぶのは一つの技法であり、野球を知り尽くした経験豊富な人間にしかその技法は身につけられない、コンピュータープログラムには絶対にできない、なぜなら、野球の極意や精神をけっして読み解けないから、と(中略)彼らはいくらもしないうちに、その主張を撤回しなければならなくなった。ビーンの低予算(四四〇〇万ドル)のアルゴリズムチームは、ニューヨーク・ヤンキース(一億二五〇〇万ドル)のような有力チームに引けを取らなかったばかりか、アメリカンリーグ初の二〇連勝も記録した。

ユートピアという言葉は、プラトンの『国家』(岩波文庫)に想を得たトマス・モアの本のタイトルにちなんだものだ。ユートピアという言葉はギリシア語で、「どこでもない所」または「いい場所」などと訳される。

「自分はいつでも正しい」「自分は皆から敬意を払われて当然だ」と思い込み、意見が対立すればそれを個人的な侮辱ととらえやすい。自分以外の人間に感情や意志があるとは考えない。しかし、これも認知行動療法によって抑えることができる。「治す」ことはできないが、それが思い込みであることを認識し、薄めるように訓練することはできる。こうした肩で風を切って歩くような思考パターンは「名誉を重んじる文化」のなかで強化されたものだから、その考えをセラピーなどで崩していくことも可能だ

ランダム性には、社会のカードをシャッフルし直し、肩で風切る大物を叩き落とすという優れた効能がある

情報分析官

この手の現象の正式な研究は「カオス理論」と呼ばれている。カオス系では状態はまったくランダムに推移しているように見える───が、次の状態が予測できないという意味ではランダムなわけではない。連続する状態を結ぶ明示的かつ決定論的な式を与えられるからだ。これは開始点を厳密に知ることが決してかなわず、その開始点におけるわずかな違いがのちにきわめて大きな違いをもたらしうる、という話

アマゾンを舞う一匹の蝶の羽ばたきが、遠く離れたところで嵐を巻き起こすと言うバタフライ効果のような感じ。このようなメカニズムを「倶舎論」では「相続転変差別(そうぞくてんぺんしゃべつ)」と呼んでいます(中略)今で言うところの複雑性のカオス理論のようなこと

スポーツ界にはマネー・ボール理論が登場し、戦略も選手も勘と俗信ではなく統計分析で評価されるようになったことで、頭を使うチームが資金の豊富なチームに勝てるようになり、ファンも常に新しい話題で盛り上がれるようになってきた

過度の不正(度を超えた理不尽)に対処するには、超一流のセラピスト兼、超一流の脚本家としての対応が求められる。

関連リンク↓

https://note.com/wandering_1234/n/nb9c96ef61e72



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