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占める割合は人類のたった1%にすぎないにもかかわらず、彼らが引き起こす混乱の影響は甚大で、実際、社会がつくり変えられる

たくさん練習を積んだ後の段階では、最終的に処理を意識にはのぼらずともこれらの知覚や行動が可能になる。これがまさに練習の目的(中略)このような無意識に働く感覚運動システムのことを、フランシス・クリックと私は「ゾンビ・システム」と名づけた(中略)意識を伴う複雑な行動と、決まりきった自動的な無意識のゾンビ行動は、見た目だけからは、それほど簡単に区別がつかない。

脳の発火パターンを変えるためには、不断の心的実践が必要(中略)投薬やプラシーボとは異なり、神経の可塑性を利用したテクニックは、ひとたび神経ネットワークが再配線されれば、徐々にその実践頻度を減らしていける。言い換えると、効果は持続する。

あるレベル以上の外野手は、打者がボールを打った音を聞くだけで、外野フライの落下点をおおまかに予測(中略)神秘的な「第六感」を利用しているわけではない。ただ、いつもは視覚システムと聴覚システムが冗長にピックアップしている情報の一方を利用しているだけだ。知覚システムが冗長に情報をピックアップできることが、一つの感覚器官が障害を受けても、私たちがこの環境で生き抜くことを可能にしている。

理解できるほど何かを極めたことがない。だからそのようなレベルに到達するのに何が必要か、どれほどの時間と質の高い練習が必要か、本当のところを理解できない。何らかの分野でトップレベルに到達するのに何が必要か身をもって体験すれば、他の分野でトップに立つのも同じような努力が必要なことが少なくとも頭でわかるはずだ。だからこそある分野のエキスパートは、たいてい他の分野のエキスパートを尊重する。専門的なことはわからなくても、優れた物理学者は優れたバイオリニストになるには何が必要かわかるだろうし、優れたバレリーナは優れた画家になるためにはどれだけの犠牲を払わなければならないかがわかるだろう(中略)天才やサバン症候群の分析についてはほかにもたくさん事例があるが、内容はここまで述べてきたこととほぼ変わらない。結論は、彼らをじっくり調べてみると、その並外れた能力が例外なく膨大な練習や訓練の産物であることがわかるというものだ(中略)IQが低いエリートプレーヤーのほうがたくさん練習する(中略)この説明がわれわれにとってきわめて重要なのは、それがチェスプレーヤーのみならず、あらゆる能力の発達に当てはまるからだ(中略)バレエダンサーが基礎的な動きであるターンアウト(足を股関節から開き、両足のかかとをつけたまま爪先は一八〇度横を向く姿勢)を習得するには、幼少期から訓練を始めなければならない。八〜一二歳ぐらいで股関節や膝の関節が固くなってから練習を始めると、完全なターンアウトを習得するのはおそらく不可能だろう。同じことがスポーツ選手の肩についても言える。たとえば野球の投手などは、頭上に手を振り上げてボールを投げるという動きが必要になる。大人になったときに必要な可動域を持ち、投球腕を肩よりはるか後ろに伸ばすワインドアップができるのは、子供時代にトレーニングを始めた者だけだ。子供時代にトレーニングを始めるプロテニスプレーヤーのサーブの動きも同じで、子供時代に始めた者だけがフルスイングでサーブを打てる(中略)とはいえ20代など遅めのスタートを切ったテニスプレーヤーでもこのような適応はある程度可能で、小さい頃に始めるほどではないというだけだ(中略)音楽家のほうが音楽家ではない人と比べて体性感覚領域(触覚など)、上頭頂小葉領域(手からの感覚入力)、前運動皮質(動作の計画、空間での動作誘導)など大脳皮質の各部における灰白質(ニューロンを含む神経組織)が多い(中略)ダイビング選手は一般人と比べて、身体の動きをイメージしたりコントロールしたりするのにかかわる三つの領域において、それが厚くなっている。細かなところは能力によって違うが、全体的なパターンは同じだ。頻繁に訓練することが、その訓練によって負荷のかかる脳の領域の変化に結びついていく(中略)大人のピアニストの脳は一般人と比べて、一部の領域で白質が多くなっている(中略)ピアノを始めた年齢が低いほど、大人になったときの白質は多くなる。このため大人になってからでもピアノを習うことはできるが、子供時代に始めた人のように白質の量が多くなることはない。

有用度が並外れて高いと、プログラムは最終的にDNAのレベルにまで刻み込まれる。たとえば本能は生まれながらに備わった行動であって、わざわざ学習する必要がない。これはきわめて長い時間軸での可塑性によって生じるもの(中略)脳内の地図が書き換えられたのは、生きていくうえでそれが切実な問題だったからである。目指すものがあるから、それに応じて脳がありようを変えた(中略)「一万時間の法則」というのを聞いたことがあるんじゃないかと思う。それくらい訓練しなければ、サーフィンであれ洞窟探検であれサックス演奏であれ一流にはなれないという理論である。実際に必要な時間を厳密に割り出すのは無理だとしても、大まかな考え方は正しい。膨大な数の反復がない限り、意識下に地図を刻みつけることはできない(中略)成人になってからでも体性感覚野や運動野にはかなりの柔軟性があり、ハンググライダーだってスノーボードだってマスターできる(中略)初めてローラーブレードを覚えるときには、手足の動きにいちいち注意を払いながらずいぶん頭で考えないといけない。だが、何日も練習を重ねるうちに動きが自動化され、頭を使わなくてもよくなる。なぜかといえば、運動学習に関与する領域(大脳基底核)から小脳などへ学習内容が移されたためだ。

頭骸骨のなかには、小脳以外にもゾンビがいる。 それが、基底核(中略)なぜ小脳や基底核の処理スピードがわれわれよりはるかに速いのかも説明がつく。これらの迅速で有益なゾンビにおいては、情報は統合されず、すべての神経的処理はばらばらのモジュール内にとどまるままである。まるで、専門家したオフィスがあって、どの手続きも、同僚や上司との話し合いを経ることなく、ただちに処理されるようなものだ

実は反射神経というものはなくてパターン認識がすべてなのだ(中略)神童は、非凡な遺伝子など持っていない。非凡な育ち方をしているのだ。彼らは誕生から青年期までの短い時期に数千時間の練習を詰め込んでいる(中略)複雑な課題では、傑出性を決めるのは知識だ(中略)傑出するためにはどれだけ練習すればいい? 広範な調査の結果、じつはこの質問に対してきわめて明確な答えが出ている。芸術から科学から、盤上の遊びからテニスまで、あらゆる複雑な作業において世界のトップに達するには、最低でも一〇年は必要(中略)ひらめきの瞬間は晴天の霹靂ではなく、専門分野に深く没頭したあとに湧きおこった高潮(中略)エキスパートのやり方がわかれば、それを素人に直接教えられるという発想は魅力的ではありますが、実際には無理です。専門技能は長期的に発達していくプロセス(中略)優れたコーチは訓練にフィードバックを組み込み、それが自動的修正につながり、その修正がフィードバックの質を向上させ、さらなる改良をもたらす(中略)画一的な集団は、みんな同じことしか考えず、同じ見落としをしてしまうし、別のフレームで物事を考えられなくなり、ときにそれが大失敗を引き起こす

例えば、孫氏の兵法の素晴らしさは、自分の経験があって初めて分かってくるのだと思います。何の経験もない大学生は、孫氏の兵法を読んでも、すぐにこれが世界で一番素晴らしい本の一つだなんて、誰も実感できないでしょう(中略)例えば絵画などの視覚情報は一目瞭然で明らかですが、その解読は思ったほどやさしくないですよね。絵を理解する能力は、それぞれの人の教養や人生といったものをバックにして、多義的に読み込むことができるようになって初めて、一つの絵が分かってくる(中略)本は読んで、そこから何を吸収できるかです。吸収できない人間に読ませても、あまり意味がない(中略)自分に情報を摂取する条件が整ったときに吸収できるのであって、ただ本を読んでも、そこから深い人生訓を得るというのは、たぶんとても難しいんじゃないでしょうか(中略)いろんな体験があり、修羅場を潜っているから、本を読んだときに何かが出てくるということ

超一流の人は成功までの最短ルートを見極め、短いスパンで結果を残す(中略)彼らは決して大量の情報に振り回さない。ジャンクだらけのデータの海の中から本当に必要なものを取捨選択するという「正しい情報収集力」がある。

本を読む人と書いて読書人と言うが、実際にはほとんどいない。日本人の人口の1%の120万人である。

別に協調性がないわけではないが、いつも颯爽と一人で歩いているような人。そういう人は、自分ひとりで何か一つのことに打ち込んでいる(中略)社会では真剣に遠回りしてきたことがエリートの証明になる(中略)自分で買って読んだ本の量と、その人の生涯賃金は比例する

(※オランダ人の)ゴッホの手紙がネイティブの手を借りる必要もないほど正確なフランス語で書かれたことは驚異的なことである。のみならず、忙しい制作の合間には、フランス、イギリスの近代文学も原語で幅広く読んでいた(中略)(※ゴッホから弟への手紙)解剖学に関するとても美しい本を買った。ジョン・マーシャルの『芸術家のための解剖学』という本だ。非常に高かったが、とても優れた本で、ぼくのこれからの人生にとって、大いに役に立つと思う。そのほか、エコール・デ・ボザールで使用している本を買った。多くのことを修得する鍵は、人体に関する基本的な知識だ。しかし、それを学ぶには、莫大な費用がかかる。※引用者加筆.

教育。教育を受けたほうが、後の頭の働きが活発になります。言い換えれば、より長く、より幸福に生きられます。ここで言う教育とは、ハーバード大学へ行くことではありません。生涯を通して、目的意識を持って学ぶこと、読書をたくさんすることです(中略)死ぬまでずっと、語彙力は落ちずに伸びていく(中略)晩年に恵まれる最大の強みは知恵であり、学習と思考から生み出す世界観によって、他者を豊かにできる

本は一字一句飛ばさずに読む。しかも早く読む。これが本当の速読術(中略)読書をしながら脳内でイメージをつくることですが、究極のイメージをもっとも高める方法があるのです。それは「その本の著者の人格になってしまう」ということです(中略)著者の人格をつくるための読書法について説明しましょう。「著者になりきって読む」 「最低3回は同じ本を読む」(中略)4回でも5回でも読めば読むほど著者の人格化は進みます。同じ本ばかりを4回も5回も読むのはイヤだというなら、同じ著者の違う本を読んでもいいでしょう。同じことをいっていても書き方が変わっていたり、細かく説明がなされていたりする可能性もあります。それによって理解度が深まることもあるでしょう。「あ、そういうことだったのか」とわかれば、さらに著者人格化に近づく(中略)著者に関する情報を多く仕入れて、著者が何を重視しているのかをさぐっていくことで、著者の人格へと近づいていくのです。そして、著者のバーチャルな人格化に成功したとき、あなたは「著者の視点で見た世界」を手に入れる。

読むべき本の量は、個人のゴールによっても異なりますが、私は一ヶ月に100冊以上の本を読むことをすすめています。そのくらいの知識の量を得てはじめて、現状のさらに外に向かって抽象的な思考を進めていくことができるようになります。

チェ・ゲバラはジャングルで革命闘争をしている間、奥さんに「本を送ってくれ」と頼みました。本人はジャングルでゲリラ活動をしている最中です。その本は教養書ばかりでした(中略)数学・自然科学・人文科学・社会科学など、オールジャンルです。

たしかに読書は楽しいが、やはりいちばん効果があるのは自分で体験することだ。本物の試行錯誤こそが、脳の働きをもっとも活発にしてくれる(中略)未来を予測できないことは、そのまま死に直結する(中略)誰も気づかないことに気づく「変わった人」がいるおかげで、種族全体が生き残る確率は高くなるのだ。私たちは、彼らのような「病的なタイプ」に感謝しなければならない。普通の人、平均から逸脱していない人から見れば彼らは変人だが、彼らのおかげで危険を回避したり、新しい生き残り術を発見したりできる(中略)ここで大切なのは、イノベーションは「間の空間」で起こるということだ。イノベーションは、動きの中に存在する。革新的であるとは、混沌の縁に生きることではなく、「平均して」混沌の縁にいることだ。具体的にはどういうことかというと、自分がどちらのフェーズにいるのかつねに意識しているという意味になる。

隣にいた研究者が、写真を撮り終わったことがどうしてわかったのか、と尋ねた。 ぼくの隣にいた彼にはシャッターの音も聞こえなければ、フラッシュの光も見えなかったからだ。 きみの脳って本当にそんなことまでわかってしまうのかい?(中略)そう、確かにわかった。でも、その研究者が想像したような理由からではなかった。シャッターが切られたとき、音はしなかったけれど、小さなぼんやりした赤い光が生じた。 ぼくの自閉症の脳 ───たいていの人たちが見逃すような些細なことに目がいくようになっている ───は、その変化をすぐに察知したのだ。そのことを説明すると、研究者はもう一枚撮ってほしいとカメラマンに言った。ぼくが教えた赤く光る場所をじっと見つめていたので、今度は彼もその赤い光を見ることができた。はっきり言って、ぼくはカメラとテレパシーで繋がっているわけでも、写真が撮られたか否かがわかるような超感覚を備えているわけでもない。その日ぼくがしたことは、ふだんみんながしていること───見ること───を細心の注意を払ってしていたにすぎない(中略)自閉症の研究を始めた先駆者ハンス・アスペルガーはこう書いている。「科学や芸術の分野で成功するには、多少の自閉症的要素はかかせないと思われる」(中略)サヴァンの人は正解にたどり着くために多くの可能性を同時に考えていて、それは意識の「量子レベル」で起きている

無意識は、意識の助けなしに信じがたいほど複雑な仕事をなすことができる。たとえば自動車の運転は、はじめのうち、習得するまでの間は自分の動きを意識する必要がある。ところが、いったん身につけてしまえば、運転のための知識は無意識に送られる。おかげでラジオを聴きながらでも、同乗者と話をしながらでもコーヒーを飲みながらでも運転ができる。意識して道路を見ている必要もない(中略)無意識は、知覚にも重要な役割を果たしている。無意識は、外界から情報を取り入れる際、同時にその情報を整理し、解釈も加えている(中略)養鶏場には、ほぼ必ず、ひよこのオス・メスを見分ける専門家がいる。 孵化したばかりのひよこのオス・メスを実に正確に見分けるのだ。素人の目には、どちらもまったく同じに見えて区別がつかない。ところが、彼らは一時間あたり八〇〇羽から一〇〇〇羽のひよこを見分け、九九パーセント間違えることがないという。なぜ、そんなことができるのか。それは本人にも説明できない。もちろんオスとメスには何か違いがあり、彼らは見て瞬時にそれがわかるのだ。

第二次世界大戦中、たえまない爆撃の脅威にさらされていたイギリス人は、襲来する飛行機を迅速かつ正確に見分ける必要に迫られていた。どれが帰還してくるイギリス機で、どれが爆撃しに来るドイツ機なのか? 数人の飛行機マニアが優れた「監視員」であることが判明したので、軍は躍起になって彼らの働きを利用した(中略)そういう人は希少で、なかなか見つからない。そこで政府は、監視員たちにほかの人を訓練する任務を与えた。これは厳しい試みだ。監視員たちは自分の戦略を説明しようとするのだがうまくいかない。誰にも、監視員本人たちさえ、わからなかったのだ。ヒヨコ雌雄鑑別師と同じように、監視員たちも自分がどういうふうにやっているかわかっていなかった───とにかく正しい答えが見えるのだ(中略)もしあなたが周囲のものをだいたい意識していると思っているのなら、考え直してほしい。新しい職場まで初めて車を走らせるとき、あなたは途中すべてのものに注意を払う。着くまでに時間がかかるように思える。しかし何度も運転すると、あまり意識しなくても職場に着けるようになる。これであなたはほかのことについて自由に考えられる。自宅を出て一瞬のうちに職場に着いたかのように思える。あなたのゾンビ・システムはふだんの生活に対処するエキスパートだ。道路にリスがいたり、一時停止の標識がなくなっていたり、路肩に車がひっくり返っていたりするのが見えたときだけ、あなたは周囲を意識するようになる(中略)世界で最も優秀なヒヨコ雌雄鑑別師(chicken sexer)は日本で訓練を受けている(中略)一九三〇年代から、世界中の養鶏業者がはるばる日本の全日本雛鑑別師養成所まで行き、その技術を学んだ。不思議なのは、どうやってやるかを正確に説明できる人がいないことだ。非常に微妙な視覚的手がかりをもとにしているのだが、プロの雌雄鑑別師はその手がかりが何なのかを伝えられない(中略)高度に自動化されたアルゴリズム(テニスボールのサーブ、ヒヨコの雌雄鑑別)はすべて、回路に焼きつけられるとアクセス不能のゾンビ・プログラムになる。プロ野球選手が速すぎて意識では追えない投球にバットを当てられるとき、彼は研ぎ澄まされたエイリアン・サブルーチーンを活用しているのだ(中略)(※小脳のゾンビ・システムは)次にお呼びがかかるまで───ときには何十年も───潜んでいる。※引用者加筆.

私たち(※副島隆彦氏と佐藤優氏)の、この国における生来のサヴァン症候群 savant syndrome の保有者としてのズバ抜けた頭脳が、ほかの、もっと若い知識人、有能の士、優れた読書家たちへの嚮導(きょうどう)となることを願っている ※引用者加筆.

自閉症は1943年にアメリカの小児精神科医、レオ・カナーによって初めて言及された疾患である(中略)カナーが自閉症についての初めての論文を書いてから1年後、オーストリアの小児科医ハンス・アスペルガーが、自閉症とよく似ているが高い言語能力をもち、知的障害が少ない若い患者についての論文を発表した。彼はその若い患者たちのことを、ごくごく専門的なテーマについて驚くほど豊富な知識があることから「小さな教授」と呼んだ(中略)(※19世紀の)当時は、サヴァンというのは学識のある者に与えられる最も栄誉ある呼び名だった(中略)サヴァンとは、いくつかの分野に精通し、抽象的な思想を扱うことができ、「真実の探究に精力を傾ける」人を指す言葉(中略)サヴァン症候群の専門家ダロルド・トレッファート博士(中略)トレッファートの定義では、キム・ピークのような途方もない能力をおそらく無意識に、自動的に発揮する者と、それと同じような能力を単調な体系的トレーニングを通じて獲得した者とを分けることができない。※引用者加筆.

神経学者のオリヴァー・サックスが、(※スティーヴン・)ウィルシャーをはじめとする自閉症サヴァンの人について指摘しているとおり、創造性とは、クリエイターが何かの素材を拝借してきて、「(それをどれだけ)自分自身に関連づけ、新しい自分自身の方法で表現するか」である(中略)「科学および芸術分野で成功するには、多少、自閉症の気がなければならない」と語るのはハンス・アスペルガー。アスペルガー症候群の名前の由来になった人物だ。※引用者加筆.

精神医学者ダロルド・トレファートは、彼自身が命名した「サヴァン症候群」の研究の世界的な第一人者(中略)彼の概算では、自閉症を抱える人のおよそ一〇人にひとりはサヴァンである。彼の説明によれば、左脳がひどい損傷を受けたとき、右脳(音楽や芸術などをつかさどる)がそれを必死に補おうとすることでサヴァン症候群があらわれるという。注意しなければいけないのは、損傷によって能力がつくられるのではなく、能力発達の機会がもたらされることだ。

サヴァン症候群の「サヴァン」はフランス語で学があるという意味だが、アスペルガー症候群のカタカナ部分は人名である。一九四四年、オーストリアの小児科医ハンス・アスペルガーは、対人関係に独特の難しさを抱える四人の子どもたちの事例に、「自閉症精神病質」という名前をつけて報告した。これがアスペルガー症候群のルーツ(中略)(※今では)自閉症もアスペルガー障害も自閉症スペクトラム障害の名の下にひとまとめ(中略)多少オタクっぽい人から、アスペルガー症候群、高機能自閉症( 『高機能』は知能に障害がないという意味)、知的障害をともなう重度の自閉症にいたる(中略)「サヴァン症候群」は、「DSM」をはじめとする精神科の診断マニュアルには載っていない。なぜなら、この名称は先に述べたとおり「非凡な才能と脳の発達障害をあわせ持つ人々」あるいはその状態を指す言葉であって、病名ではないからだ ※引用者加筆.

スチュアートは対処能力に秀でた問題解決型人間で、息子の病気をなんとか理解しようと独学の「自閉症研究者」となった。やがて、一つの手がかりを得た。

人は時間がないときにも一時的に自閉症になる

マインドフルネスを音楽にたとえれば、仏教の甘美な教えをベースラインに、認知心理学のアーカイブ(保管庫)のなかからクラシック音楽のリフを少しばかり重ねた一種の集中法だ(中略)認知の交通量を制限するシステムが最初から脳に組み込まれている───人間がいる。それがサイコパスだ!(中略)ただし、サイコパスとマインドフルネスの脳の状態には違いがあり、それは、私たちが経験している現在を〝どう扱う〟かにあるのではないかと彼(※マーク・ウィリアムズ教授)は示唆している。マインドフルネスでは、現在を〝味わう〟ように指導するのだが、サイコパスは、〝貪り食う〟傾向が強いというのだ。※引用者加筆.

〝貪り食う〟傾向

サイコパスが占める割合は人類のたった1%にすぎないにもかかわらず、彼らが引き起こす混乱の影響は甚大で、実際、社会がつくり変えられる

私自身、個別にお返事する時間がないのですが、「ギックリ腰チャンネル スペース 調べたいワード」でnote内検索していただければ、詳しく検証した記事が見つかると思います。



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