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あしあと10日目~いざ~

※職場の方の個人名は出せないため、勝手に英名を付けています。

ついに明日は職場の大イベントだ。このイベントは、顧客獲得に繋がる、一年で一番大きいイベント。私が主担当をしている。6月と8月の2回開催で、6月の小規模なイベントのときは、わからないことだらけで、自信がないまま、当日を迎えた。おなかがいたくなって、全然眠れなかった。導線はうまくいかない、登壇者とは連携がとれておらず、うちの魅力を下げるような発言を壇上で繰り返されるなど、予想外のハプニングばかり。

8月は絶対に成功させたい。そう意気込んで、そこから、猛烈に戦う日々がはじまった。

自分とのたたかい。妥協しない。体力を付ける。生活習慣をちゃんとして、毎朝早めに出勤する。できないことの方が多くて、暗い気持になった。

人とのたたかい。同じ担当者のボブとの闘い。育ってきた環境や経験が全く違うからこそ、意見が違うことも多い。また彼は弱い立場の人に理不尽な言葉を投げかけたり、ぞんざいに扱うタイプだ。こういうよくわからない叱責の時間が無駄過ぎる。「やる気がないんじゃないの?」とくさい口臭をまき散らしながらまくし立てるボブと、正面衝突した。「私がやる気がなかったことなんて、一度だってありません!!」人生で初めて、正面切ってぶち切れた。そうやって、ぶつかったことで、今まで遠慮していて言えなかった意見だって、ちゃんと伝えられるようになった。上司にも相談し、間に入ってもらっててこ入れしてもらった。始め全くわかり合えず、苦手意識もあったボブとは良いコンビになりつつある。

管理職のキャサリンに見捨てられ、ジャンさんに怒られないかひやひやした。キャサリンは本当にきっちりしていて、この仕事が天職、みたいな人だ。自分にも人にも、ありえないくらい厳しい。いろいろ手を差し伸べてくれてはいるものの、全部にちゃんと乗り切れない。「今後あなたと業務で関わることはありません」との言葉を拝聴し、私はビルの裏で泣きじゃくり続けた。でもそんなキャサリンも結局は見捨てず、裏で手を回し続けてくれていたのを知っている。ジャンさんはゴッドファーザーなので、大して関わることはないが、存在だけで怖い。けど見守ってくださっていることはわかった。

一生懸命やればやるほど、そして仕事ができるようになればなるほど、人のしてくれていることのありがたみが分かる。たとえばボブはとても不器用だが、なんだかんだ私のことを絶対に見捨てない。それって本当に「有り難い」ことなのだ。私も後輩ができたら同じようにできるだろうか。したいな。

前日設営は本当にスムーズだった。きちんと大きいものから順番に、きっちり決めていければ、こんなに、綺麗な形で、姿が見えるんだ。人数はたくさん来るかどうかわからない。ただ、私達はすべきことをした。この経験はきっと代えがたいものになる。ボブがつぶやいた。
「明日うまく行くかなあ…でもこんだけやったら、大丈夫やろ。」私はただ笑顔で、大きくうなずいた。

仕事を始めて1年とちょっと。初めて、明日が来るのが楽しみだ。

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