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ワンオペ事務員⑥

仕事ができない人が仕事ができるように見せるにはどうしたらいいのか。
その答えの一つが「素早く他人に仕事を振る」ということだろう。
仕事を他人に振ってしまえば、そこから先は「仕事を振られた人間の問題」となるからだ。

前回も書いた通り、副社長はブラックボックス人間だ。
そのブラックボックス人間から「一つながりの仕事」としてモノを教わる時間もなく、ただ「言われたこと」を「素早く仕上げる」ことで対応するしかなかった。

ただ、わたしの処理速度が速いことで問題も起きてきていた。

コロコロと指示の変更が発生する

例:
AをBのやり方で処理して欲しい
→すぐに処理する
あ、やっぱり、Cのやり方にして
→すぐに処理する
あ、やっぱり元の方で
→・・・。

頭の中でやって欲しいことをまとめてから指示しろ

と思うのだが、副社長は「仕事ができる人間に見られたい」ので、とにかく「早口でまくし立てたい」ようで、出先からであろうと電話口でわーわーとわめきたてて仕事の指示を出してきた。

その電話がようやく切れたので処理をしているとその最中にまた電話がかかってきて指示の修正をまたわーわーとわめく。トイレに行っていて電話が取れなかった時には「なぜ電話に出なかったのか」ということも含めて3割増しでわめく。トイレくらい行くだろうに。人間だもの。※これについてもいつか書き足したい。

正直、電話口でわめく人間が苦手で転職してきたのに結局社内でまでもこうなのかとゲッソリした。

何事もそうなのだが、急いで「良い事」はひとつもない。
「急がば回れ」というのは本当にその通りで、急いでいる時こそ「丁寧に」仕事の指示を出すべきである。

・・・特に、入ってまだ1か月程度の新人には。

指示の裏に潜む仕事

指示の裏に、指示されていないがやっておかねばならない仕事が潜んでいることがある。
皆さんも経験がないだろうか。
書類の中の「納品日の日付の修正」をしておいてと言われて修正して持っていったら、「納品日の修正をしたんだから、”発送予定日”の日付も修正するだろう、普通!」と言われたようなことが。

普通とはなんだ、普通とは!とぷんぷんしてしまったことはないだろうか。
仕事に慣れてくれば「この仕事をしたら関連した仕事もしておいた方が良い」ということに気付けるようになってくるが、全く初期の頃に「指示なく」そういったことに気付けというのは指示側のミスや怠慢ではないかと思う。

だが、しかし。

言ったじゃないか

と堂々と言われてもいないことを「言った」と主張されてしまうと新人は(言われた・・・か?)と内心疑問に思いつつも「すみません」と口に出してしまう。そうすると、益々「言ったよな、指示したよな?なのに何でやってないんだ!!」となってしまうことが往々にしてある。

こういった場合の正解は、こちら側も新人だなんだということを考えずに「本当にそのように仰いましたか?そういった指示を受けた記憶がないのですが」と言い切ることだ。

どうしても下手に出る癖が抜けない人は「お言葉ですが」と上記のセリフの前につけてもいい。とにかく「自分が受けた指示内容」と「その指示を自分はどのように解釈して作業したか」をきちんと説明できればいい。

わたしも最初のうちは言い返すことが出来ずにきつかったが、徐々に「言い返さねばやられっぱなし」で「自分が悪いことにされてしまう」と気付いてからはきちんと言い返すようになった。

そうして、隙を見てチクチクと「新人のうちは堂々と『言った』と言われると本当は聞いてないことでも委縮しちゃって『聞いてない』だなんて反論できないんですよね~」と何度も言っておいた。

・・・が、その心境にたどり着くまでにはまだまだ厚い高い壁をいくつも乗り越える必要があった。


・・・つづく。


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