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映画『夢みる小学校』対談ダイジェスト採録② あらゆる学校があって、その中から選べる自由があったら。

先日配信された、映画「夢みる小学校」の劇場対談ダイジェスト映像の採録②です。

わたし自身は何より、最後の「こういう学校があってもいいんじゃない?」という問いかけに、共感しています。
学びの場に関する多様な選択肢があって
そこから自由に選ぶことができ
また、「自分に合わないみたい」「別の場所に行ってみたい」と感じたら、軽やかに身を移せる。
そんな時代がきたらいいなあ…と思っています。

①と併せてお読みいただけると、嬉しいです!
(長いので、2回に分けています。)

なお、「夢みる小学校」に登場したのは
・きのくに子どもの村学園
・伊那市立伊奈小学校
・世田谷区立桜丘中学校
の3校です。

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〇尾木直樹さん(法政大学名誉教授)

『社会をよりよくする』ための教育へ
「現状の教育では、『今の社会にマッチする子』を育てる。
『社会に出てから困らないように』という思いからだ。
特に学校の先生たちは『競争社会を生き抜くために、(子どものうちに)鍛えてあげなければならない』という〝善意〟を動機にしていると思う。こういう考えを、適応主義という。
しかし、それでは(本来の教育の趣旨が)ひっくり返っている。
今の社会に合わせた子どもを育てていては、(社会の体制に)従順な子が育つだけ。
そうではなく、『今の社会をよりよくする』子どもを育てるのが本来の教育の目的の1つであるはず。
適応主義から〝変革主義〟に立った教育に変換しなければ、この国の未来はない」

〇西郷孝彦さん(世田谷区立桜丘中学校前校長)

いじめは大人が教えている
≪いじめ問題について≫
「いじめは、大人が教えている。
大人による大人へのいじめを見たことがない子どもは、(皆と同じことなどが)できない子がいたとしても、その子に優しくできるはず」

教育費が掛かかり過ぎる日本
「『公立か私立か』という考え方は、おかしいと思う。海外では私立学校であっても(学費が)無料の場合が多く、公立でも私立でも、一般的に高校に上がるまで学費は掛からない。
高校受験のために勉強するのも、私立学校でお金が掛かるのも日本だけだ」

〇堀真一郎さん(きのくに子どもの村学園 学園長)

〝普通の学校の1つ〟とみなされる時代に
「『特別な子のための特別な学校』ではなく、これ(=きのくに子どもの村学園)が普通の学校の1つの例としてみなされるような時代がきてほしい、と思って学校づくりを始めた。
最近は「(きのくに子どもの村学園を)もう1校つくってほしい」、「学校をつくりたい」といった相談が、随分たくさん寄せられるようになった。『夢みる小学校』の上映によって、(そうした相談が)もっと増えるのではないかと思う」

〇公立小学校の現役・元教師の方々

『学校を変える』よりも大事なこと
「『自分が自分でいられること』。結局、(大切なのは)そこに尽きると思う。
『教育を変える』とか、大きなことをつい口にしがちだけれど、まずは『自分を変えてみる』ことを心掛けている。
大人が自分を好きになり、大人が学びを楽しむことから始めたい」

幼稚園、保育園は多様化しているのに…
「幼稚園や保育園は(森ようちえんや自然保育園など)多様化しているのに、子どもの99%が公立小学校に行く。
画一的な環境の中で、子どもも保護者も先生も、皆が我慢している。何かしら不満をもちながらそのままの状態で、『やってもらって当たり前』の感覚が定着して、(学校教育が)行政サービス化している。この状況は、内側からは打開しづらい」

〇オオタヴィン監督

「こういう学校があってもいいんじゃない?」
≪きのくに子どもの村学園などの学校の趣旨に、共感した上で≫
「学校の様子を映像にして、人々におすそわけしたい」と思ったのが映画製作のきっかけ。
僕は「『きのくに最高!』とか、『日本中の学校がきのくに学園のようになればいい』と思っているのではない。
あまりに画一的な現状の学校教育に対して、『こういう学校があってもいいんじゃない?』と問いかけたい。こうした学校の様子を映像でリアルに見てもらい、その後で対話してみよう、と提案したいと思う」

学校を選べる自由
「とにかく、日本の学校には多様性がなさすぎる。
あらゆる学校があって、その中から選べる自由があるべきだと思う」

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