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#141 僕の生き方を変えた二人の恩師

最近、僕は自分自身に問いかけている。20歳の頃、大人の世界に足を踏み入れ、夢中で追い求めていた大人像に、今の自分はどれだけ近づけたのだろうかと。そして、その大人像に導いてくれたのは、間違いなく二人の恩師の影響だろう。

カルボナーラの魔法


大人になりたい、大人になりたいと願い続け、さまざまなチャレンジをしてきた僕が、飲食業界で今でもやってこれているのは、バーテンダーとしての道を歩み始めた中で出会った二人の恩師がいたからだ。カクテルと料理の基礎を教えてくれた彼らから受けた影響は、今でも僕の中で息づいている。

この出会いがなければ、おそらく僕は飲食業界に身を投じていなかっただろう。恩師たちは公私ともに面倒をみてくれ、社会人経験が皆無だった僕に飲食業の奥深い世界を教えてくれた。その恩師たちの一人、料理の達人である恩師は残念ながら10年前に他界した。その知らせは、僕がドイツにいた時に友人から届いたものだった。予期せぬ出来事に、僕は放心状態に陥り、電話が切れた瞬間、ドイツの路上で涙を流す有様となってしまった。仕事も手につかず、気がつくと涙で目に前がぐしゃぐしゃになってしまう。そんなありさまを見かねた友人たちが飲みに連れ出してくれ、一人でワイン4,5本を飲み干し、泥酔した僕をなんとか家に連れ帰ってくれたらしい。全く記憶にないが、そんな彼らの優しさがありがたかった。

恩師は地元で有名なイタリアンのシェフで、厳格な人だった。毎日怒られる日々が続いたが、その料理の腕前は確かだった。彼が作ってくれた、僕の人生で初めて食べるカルボナーラの味は、今でも忘れられない。僕のイタリアン愛は、この恩師の影響が大きい。今でもカルボナーラをみると当時を思い出す。

兄弟子の背中


もう一人の恩師は、僕の初めて勤めたバーでの先輩で、兄弟子でもあった。彼からはカクテルの技術やバーの仕事について多くのことを学んだ。仕事からプライベートまで、いつも一緒にいたような気がする。しかし、後から聞いた話によれば、兄弟子は最初、僕に対してあまり良い印象を持っていなかったらしい。"どうせすぐにやめるだろう"と思っていたそうだ。

兄弟子は当時、地元のバー業界でも若手のホープとして活躍し、数々のカクテルの大会で受賞するなど、多くの成功を収めていた。彼に憧れた僕は、カクテルの大会に挑戦することを決意する。朝から晩まで練習に打ち込む兄弟子を見ていたからこそ、僕も負けじと頑張れたと思う。その経験が、今でも新たな挑戦に臆せず立ち向かう力となっている。

兄弟子はその後独立し、僕の地元でバーを経営している。落ち込んでいる時や悩んでいる時、彼はいつも連絡をくれる。僕を理解してくれる大事な恩師だ。

恩師たちの存在は、僕の人生に深い影響を与えた。彼らから学んだこと、感じたことは、今も僕の心に生き続けている。カルボナーラの魔法と、兄弟子の背中を見て、僕は自分の人生を変える勇気を持つことができた。この道を進む中で、恩師たちの教えを胸に、新たな夢に向かって歩み続けている。そして、これからも彼らのように、後輩たちにとっての良き恩師でありたいと願う。

恩師たちに感謝を忘れず、彼らの教えを次代に継承し、飲食業の未来に貢献していきたい。ありがとう、恩師たち。あなたたちのおかげで、僕の人生は豊かで充実している。
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