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#360 接客技術について【第12回】

◆この記事は飲食店の接客方法に興味がある飲食店の皆さんにおすすめの記事です。

 ✔ 飲食店でこれから働く方・働きたい方

 ✔ 飲食店でアルバイト・パートをされている方

 ✔ 飲食店の店舗リーダー

 ✔ 飲食店スタッフのマネージメントを学びたい方

 ✔ 飲食店従業員

 ✔ 飲食店経営者

 ✔ 飲食店店長

 ✔ 飲食店関係者

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こんにちは!皆さん。いつもご愛読ありがとうございます。今回は、飲食店のメニュー設計に役立つ心理学のテクニック「プライミング効果」についてお話ししたいと思います。これをうまく活用することで、お客様の注文を自然に増やすことができるんです。
#プライミング効果

プライミング効果とは?

プライミング効果とは、マーケティング心理学の法則のひとつで、人がある言葉や音などを見聞きすると、それが次に見聞きするものの知覚や認識に影響を与える現象を指します。相手の無意識下に働きかけイメージのすり込みを行うことで、こちらがとってほしい行動に導く心理的効果です。

「意識のうち9割は無意識である」と言われるように、実際は顕在意識が働かないところで意思が決定されています。そのため、気づかないうちに自らの意思が決定されるということが起きるのです。飲食店では、この効果を活用してお客様の注文を促進することができます。

プライミング効果の代表例:10問クイズ

プライミング効果として代表的なものの一つに、10問クイズがあります。10問クイズとは、プライミング効果を利用した言葉のひっかけクイズです。子どもの頃の思い出として、記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。

10問クイズの例
質問者は回答者に「〇〇と10回言って!」と伝えます。回答者は指示された言葉を10回繰り返すことで、誤った回答へと導かれてしまうのです。

例を紹介します。Aが質問者、Bが回答者です。

A:「“なす”と10回言ってみて!」
B:「なすなすなす…なす!」
A:「病院で診察するのは?」
B:「ナース!」
A:「残念!正解は“医師”でした!」

10問クイズでは同じ言葉を繰り返すことで、言葉が頭にこびりついた状態になります。もし10回も「なす」と発言することがなければ、すぐに「医師」という正しい答えが出てくるでしょう。
#10問クイズ

プライミング効果の代表例:コカコーラの広告戦略

プライミング効果は、連想ゲームのようなものです。有名な事例として、コカコーラの広告戦略が挙げられます。

1931年、コカコーラはある広告を始めました。その広告の特徴は「赤と白のサンタクロースを広告に使ったこと」です。今ではサンタと言えば、赤い服と帽子を身につけて白い大きなヒゲをたくわえたあのイメージを誰もが思い浮かべるかと思います。しかし、このイメージは1931年のコカコーラが作り出したものなのです。

コカコーラは「サンタは赤と白のイメージ」→「そして、赤と白といえばコカコーラのデザイン」といった連想ゲームを大々的に行いました。それが大成功し、現在でもクリスマス(サンタクロース)といえばコカコーラと繋がるイメージが多くの方にあります。

さらに、コカコーラは赤色といえばコカコーラ、パーティーといえばコカコーラ、ハンバーガーやピザといえばコカコーラといった連想ゲームを浸透させていきました。この話が「プライミング効果」のわかりやすい成功事例としてよく紹介されています。
#コカコーラ

カフェにおけるプライミング効果の活用

ここでは、架空のカフェ「Ciel Étoilé(シエル・エトワレ)」を例に、プライミング効果の活用方法を紹介します。

視覚的プライミング

視覚的プライミングとは、視覚的な情報がその後の行動や判断に影響を与える現象です。例えば、美味しそうな写真や目立つデザインを用いることで、特定の料理を注文したくなる効果があります。

具体例: Ciel Étoilé(シエル・エトワレ)のメニューには、美味しそうな料理やデザートの写真をふんだんに使用します。例えば、チョコレートケーキのページには、濃厚なチョコレートがとろける瞬間の写真を大きく掲載し、見るだけで食べたくなるようにします。

効果: お客様の食欲を刺激し、特定のメニューの注文を促進します。

ポイント: 高解像度の写真や視覚的に魅力的なデザインを使用することが重要です。

テキストプライミング

テキストプライミングは、言葉やフレーズが無意識に行動に影響を与える現象です。メニューの説明文に魅力的な形容詞や具体的な表現を使うことで、お客様の期待感を高めることができます。

具体例: Ciel Étoilé(シエル・エトワレ)のメニュー説明文には、単なる情報提供以上の力があります。例えば、「美味しいステーキ」よりも「柔らかくジューシーな和牛ステーキ」と記載することで、お客様の期待感を高めることができます。このように、食欲をそそる具体的な表現を使うことで、お客様の注文を誘導することができます。

効果: 読者の想像力をかき立て、料理の魅力を伝えます。

ポイント: 具体的かつ魅力的な形容詞やフレーズを使用し、お客様が料理を想像しやすくすることが重要です。

音楽プライミング

音楽プライミングは、背景音楽がその場の雰囲気や行動に影響を与える現象です。店内で流れる音楽を工夫することで、お客様の気分をリラックスさせ、長時間滞在したくなるようにします。

具体例: Ciel Étoilé(シエル・エトワレ)の店内ではリラックスできるジャズ音楽やボサノバを流し、居心地の良い雰囲気を演出します。この音楽は、お客様にリラックスしてもらい、長時間滞在する気分にさせます。また、これによりデザートやドリンクを追加で注文しやすくなります。

効果: お客様の滞在時間を延ばし、追加注文を促進します。

ポイント: お店のコンセプトや雰囲気に合った音楽を選ぶことが重要です。

匂いプライミング

匂いプライミングは、嗅覚による刺激が行動に影響を与える現象です。特定の香りを利用してお客様の食欲を刺激し、注文を促します。

たとえば帰宅中、どこからか漂ってきたカレーの匂いを嗅いだとします。その後「夕飯にカレーを食べる」という行動を取った経験はないでしょうか。これは匂いによるプライミング効果です。

具体例: Ciel Étoilé(シエル・エトワレ)では、コーヒーの香りや焼きたてのパンの香りが店内に漂うようにします。特に、エントランス付近には焙煎機やパン焼き機を配置し、入店した瞬間に香ばしい香りが漂うようにします。これにより、入店したお客様の食欲を刺激し、コーヒーやパンの注文を促します。

効果: お客様の食欲を直接刺激し、特定のメニューの注文を促進します。

ポイント: 自然で心地よい香りを提供し、店内全体に均一に広がるように工夫することが重要です。

配置プライミング

配置プライミングは、視覚的な配置やレイアウトが行動に影響を与える現象です。メニューの中で目立つ位置に特定の料理を配置することで、お客様の選択を誘導します。

具体例: Ciel Étoilé(シエル・エトワレ)のメニューの左上や中央に、利益率の高いシグネチャーメニューや季節限定のおすすめメニューを配置します。例えば、季節限定の「ストロベリーショートケーキ」は、メニューの中央に大きな写真とともに配置し、目立たせます。また、カウンターやテーブルにもおすすめメニューのポスターやカードを設置し、視覚的に訴える工夫をします。

効果: お客様の視線を誘導し、特定のメニューの注文を促進します。

ポイント: 視線の動きを考慮し、目立たせたいメニューを適切な位置に配置することが重要です。

実践的なアドバイス

Ciel Étoilé(シエル・エトワレ)のように、自店のメニューにプライミング効果を取り入れるための具体的なステップをご紹介します。

1.魅力的なメニュー説明文を書く
具体的で美味しそうな表現を使うこと。

2.視線の動きを考慮する
目立たせたいメニューは左上や中央に配置し、写真や囲み枠を使って強調する。

3.実験と改善を繰り返す
メニューのデザインや配置を変えて、どの方法が最も効果的かをテストする。

まとめ

プライミング効果を理解し、メニュー設計に効果的に活用することで、店舗の売上を向上させることができます。

重要ポイントのまとめ

プライミング効果を活用することで、Ciel Étoilé(シエル・エトワレ)のようなカフェは、お客様にとってより魅力的な空間を提供でき、売上の向上も期待できます。以下が今回のポイントとなります。

視覚的プライミング:美味しそうな写真やデザインを使用し、食欲を刺激。

テキストプライミング:具体的で魅力的な形容詞やフレーズを使い、期待感を高める。

音楽プライミング:リラックスできる音楽で居心地の良い雰囲気を演出。

匂いプライミング:コーヒーや焼きたてのパンの香りで食欲を刺激。

配置プライミング:目立つ位置に利益率の高いメニューを配置し、注文を誘導。

これらの手法は実践的であり、すぐに取り入れられるものばかりです。ぜひ試してみてください。

次回も、新しいテーマでお話ししますので、ぜひお楽しみに!
#飲食

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