イケメンとネコのコンビって絵になるよね。『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』
イギリスの作家ジェームズ・ボーエンによる同名の自伝を基にした2016年のイギリス製ぬこ映画"A Street Cat Named Bob"(邦題: 『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』)より。
物語は、実在のジェームズ・ボーエンの自伝に基づいている。ジェームズ(演: ルーク・トレッダウェイ)は、過去の薬物依存症から立ち直り、再出発を試みる青年。彼はホームレスとして街頭生活を送りながら、プログラムに参加し更生を目指している、
が、現実は厳しい。
なにせしょっぱなから、ジェームズは、孤独とドラックに毒された弱々しい肉体をさらけ出すのだから。
「ミュージシャン」とは名ばかり、陽気に振る舞う余裕もなく、施しを乞い、ゴミを漁り、夜は冷たい床の上に寝転がり、木枯らしの中時に風雨に身を包む。
ジェームズを診たカウンセラー:ヴァルが「これが最後の更生の機会かもしれない」と呟くのは的を得ていて、「真夜中のカーボーイ」の様に、彼の背後には死神が取り憑いているのだ。
やっとのことで転がり込めたワンルーム。そこで彼は、たまたま迷い込んできた猫を発見する。ほんの一夜だけ宿を貸すつもりが、愛着が湧き、いっしょに過ごす日も長くなって。
この猫には名前がなく、ジェームズは彼を"ボブ"と名付ける。ボブはジェームズの仲間となり、ジェームズのストリートパフォーマンスとともに街角での生活を共有する。
その猫が招いたかのように、ジェームズ自身も次第に、陽の当たる方を見、陽の当たる方へと出ていけるようになる。ジェームズとボブの友情は、彼の人生に希望と変化をもたらし始める。彼らは困難に立ち向かいながらも、お互いの存在が、互いに良い影響を与えていくのだ。
そんなジェームズのボブへの友情?愛情?がうかがえる台詞を引用。
終盤、遂にジェームズは、自分のために、そしてボブのために、体から薬を抜くことを決意する。部屋の外に一歩も出られない1週間。再び彼は、かつてと同じく、「孤独とドラックに毒された弱々しい肉体」をさらけ出す。
胃は食べ物を受け付けず、寒気が骨身を削り、毒のような熱を持って彼の体の中を蠢き回る。ジェームズはベッドの上に寝転がり、耐える。
どうしても耐えられないときは、ボブの名を呼ぶ。そう、彼は一人じゃない。傍にはいま、ボブがいるのだ。
1週間を終えた。ジェームズはベティの前に、かつて浮かべていた「後ろめたい照れ笑い」ではなく、「晴れ晴れとした笑顔」で、すべてが終わったこと、そしてすべてが変わったことを報告する。
ジェームズはボブと街を歩く。ジェームズはボブと言う名のマフラーの中に首をすぼめる。
猫を肩に乗せた姿は、まるで鷹匠の様で、実に凛々しい。肩の上に乗るボブもまた、「長靴を履いた猫」の様にどこか誇らしげで、また可愛らしい。