“祈るのよ、祈るのよ、祈るのよ。”_Carrie(1976)
ブライアン・デ・パルマ監督「キャリー」である。真っ赤が流れる。真っ赤に燃える。
今なお斬新。
なんといっても、舞台に立つ前後の暗転、狂気、爆発、後悔・・・につきる。
プロムパーティー当日。母親の反対を押し切り、自作のドレスでやってきたキャリー。喜びと不安の気持ちが入り混じる彼女を、トミーは優しく励ます。自分に自信を持ったキャリーとトミーは、パーティーのベストカップルに選ばれた。今までに無い幸せを感じながら、ゆっくりとステージ上に上る二人。
この栄光の瞬間に唾をかける。「上げて、下げる」の基本。
天井に吊るされたバケツから大量の血がキャリーに降り注がれたうえにトミーの頭上にバケツが落下、トミーは舞台上で失神する。
その場に居た生徒たちだけではなく信頼していた先生からも嘲笑される。
キャリーは、悲しみと怒りの極限となり、秘めていた超能力を解放し、落下、感電、とありとあらゆる手段でこれまでいじめていたクラスメイト達を含むプロムの参加者の大多数を虐殺、街に破壊と恐怖をもたらす。
そんな中、惨劇の一部始終を目の当たりにしたクリスとビリーは恐怖で狂乱しながらも、プロム会場から逃げ出したキャリーを殺そうと自動車を使って体当たりを強行するが、返り討ちに遭い死亡する。
むしろ恐ろしいのはここからかもしれない。主に母のせいで。
自宅に戻るキャリー。自分のやらかしを母マーガレットに告白するキャリー。なしたことの恐ろしさに気づいてか、嗤った周囲に責任転嫁するキャリー。
キャリーは母にただ自分自身を受け止めてほしい。ただ自分自身を抱きしめてほしい。自分自身が、どんな悪い子だったとしても。どんなワガママだったとしても。
だが母は、恐ろしい告白をする。
get down on one's knees ひざまずく、正座する
backsliding 信仰後退者
悪魔がやってきた。だから祈ろう。罪が拭われるように。
「We'll pray」を御呪いのように呟きながら、キャリーを“汚れた娘”として罰しようとするマーガレット。
母からも忌まわしいと突き放されたキャリーに残された選択肢は…言うまでもない。
カタルシスの後に突きつけられる罪と罰。最後まで恐ろしい映画だ。
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