映画の誕生から半世紀以上にわたる長い間、西部劇は「白人」の専有物であった。1947年生まれのNBA殿堂入りプレイヤー:カリーム・アブドゥル=ジャバーは、自叙伝でこう語っている。
「ハーダー・ゼイ・フォール」は、奴隷制の暗い過去を感じさせる「ブラック・ライダー」や「ジャンゴ」と違い、そんなことはオクビも感じさせない、ただ黒人ガンマンたちが、Hip-Hopやブルースに乗って「ローン・レンジャー」のように痛快に暴れ回る、痛快作だ。
市長も保安官も市民もガンマンも囚人もならず者も皆、黒人。主人公が復讐を行う仇も、黒人。ブラックパワーで完結しているのが、潔い。
洒落たセリフも転がっているのが、素晴らしい。
「サザエさん症候群」をアメリカで訴えるなら、ぜひ、使ってほしい言い回し。
夜の焚き火、 平原や荒れ地での馬の疾走、派手なガン捌き、メロドラマ、最後やってくる必然としてのショウ・ダウン(決闘)。西部劇のランチャーストーリーに必要な要素は一定数揃っている。
憂鬱になりかける日曜日、サウンドトラックに没入しながら、ぜひ見てほしい佳作だ。