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ラスボスが劉璋なのが、オンリーワン?「ルーンマスター 三国英傑伝」

コーエーはいうに及ばず、ナムコの三国志、セガの三国志大戦、カプコンの天地を喰らう etc.日本における人気を反映する様に、昔も今も三国志ゲーは百花繚乱だ。

とはいえ、まだのーみそこねこねも放漫経営もしていないぷよぷよブーム前夜のコンパイルが1991年に発売した「ルーンマスター 三国英傑伝」は、異色といえるだろう。RPG風のスゴロクゲームなのだ。早い話がドカポンと思えば良い。

ゲームはスゴロク同様にサイコロを振って出た目の数に応じて駒を動かします。そして止まったマスによって、戦闘・災害・買い物・武将との出会い・博打など様々なイベントが発生します。こうして駒を進め、最終的にボスとの対決に勝利すればエンディングとなります。

PROJECT EGG 公式サイトから引用

ゲームデザインへの評価は後に置いておく。まずは用意された3つのシナリオを紹介しよう。

黄巾の乱。
妥当な人選。


蜀建国。
スキップされた孫策、涙目。


三国時代。
な ぜ 間抜けヅラな 雍 闓。
な ぜ イケメンな 孟 獲。
そして曹丕と司馬懿は、涙目。

シナリオ毎に選べる主人公は以上、4人のみ。
ちなみに1989年にコーエーがPCでリリースしたSLG三国志2では、6つのシナリオで、現代でもじゅうぶんバラエティに富んだ、以下の主人公を選択できる。孫策や曹丕でプレイもできる。

1 董卓洛陽を騒がし群星起つ(董卓の横暴) 189年
曹操 劉備 孫堅 袁紹 袁術 馬騰 劉焉 劉表 董卓 公孫瓚 陶謙

2 群雄割拠し盛んに覇を競う(曹操の雄飛) 194年
曹操 劉備 孫策 袁紹 袁術 馬騰 劉璋 劉表 呂布 公孫瓚 李傕

3 劉備荊州に潜み脾肉を嘆ず(劉備の雌伏) 201年
曹操 劉備 孫権 袁紹 劉璋 馬騰 劉表 張魯

4 曹操華北を制し天下を望む(諸葛亮登場) 208年
曹操 劉備 孫権 馬騰 劉璋 金旋 韓玄 趙範 劉度 張魯

5 天下三分し関羽荊州を守る(関羽の奮戦) 215年
曹操 劉備 孫権 孟獲

6 魏・呉・蜀鼎立し三國成る(三國の鼎立) 220年
曹丕 劉備 孫権 孟獲

いろいろ言いたいことはあるが、せめて武将人気ピカイチの呂布くらいは捻り出してほしかったところだ。

まあよい。
以下、張魯で蜀建国シナリオをプレイしたログを置いておこう。

戦闘はいわゆるドラクエ1タイプ。
サイコロの目によって技の威力がアジャストされるのが悩みの種。
一対一が最後まで続くので、残体力には気を常に配っておきたい。
敵プレイヤー、画面でいう曹操の戦闘も
一々追いかけることになる。
しかし。敵に個性を持たせたかったとはいえ
なんで妖怪、
それも出典が異なる西遊記の羊力大仙(ようりきたいせん)と戦う必要性があるのかは、知らん。
減ったHPは町のマスに止まると使えるコマンド『ひろば』
要は兵士の募集で補給可能。
序盤は体力に回復する手段に乏しいので
このコマンドが生命線。
…だが、この回復数値もランダムゆえ
志半ばで潰えるリスクも。
本作のもう一つの特徴が、武将登用システ厶。
マップ移動時や特定のイベントに登場してくる在野武将を配下に加えることができる。
武将を配下にして増やすことで、HPやATなど
ステータスをアップすることができるのだ。
仲間にできるのは最大五人まで。
そして、前半と後半で仲間のステータスは
べらぼうな差がある。
早い話が、最初の仲間はおおきづちやドラキーみたいなもんだから、捨ててけ。ということだ。
シナリオ2では、特定マスに一番乗りすると
諸葛亮大先生が登場。
人徳や知力など、ここまで遭遇したイベントで上下した
ステータス次第で、仲間になるかどうかが、決まる。
徐行も霞む、えぐいステータス。
そんなみんなのヒーロー、孔明が
園田三国志や今川版ジャイアントロボばりの
胡散臭さ&邪悪さ抜群の笑みなのは
気にするな!
ラスボスひとつ前のボスが馬超。
演技でも史実でも馬超と張魯が対立することはなかったはずだが、などという疑問は、この後に比べたら些細なものだ。
馬超さえ倒せば、終わりは近い。
いよいよラスボス戦だ。
なんでラスボスが劉璋なんですかねえ…。
倒せばEDだ。
平仮名オンリーなのが、時代を感じさせる。


プレイ後の感想としては

  • シナリオ毎にキャラクターが四名しか選べないのは、寂しすぎる。グラフィックは書き込まれているのだが…。

  • 「在野武将」以外にも、選択次第で吉にも凶にも出る「仙人」や「“み かど”の使者」「助けを求める村人」への遭遇、足止めやHP減をもたらす災害、イベントはそれなりに様々ある方。
    しかし、イベントの数に比してすごろくのマスがあまりに多いため、いつしか二度三度同じイベントを見る羽目となり、結果単調になりがち。

  • ニワカでも知ってる武将のグラフィックは書き込まれているが、徐晃レベルのマイナーメジャーの在野武将となれば即モブ顔。喋らないせいもあり特徴に乏しく、有名武将を集めても達成感がない。

  • 時代考証は滅茶苦茶。史書はともかく、演戯すら読み込んでいないのが丸わかり。だいたいあってない園田三国志がマトモに見えるレベル。

  • これはルーンマスターシリーズに共通するのだが、そもそも目押しができないスゴロクゆえ、出目が悪ければ即敗北。介入できる要素が不足。一生に一度、なんとしても勝たなきゃならねえギャンブルじゃねえか……

  • ドカポンみたいな…と言ったがありゃ嘘だ。敵プレイヤーを妨害する手段はない。癒されぬまま死ぬ・・・孤立のまま消えてゆく・・・!

と、ゲームバランスが優れているからではなく、双六ゆえに最後まで遊べる、という仕様。

以上、当時のコーエースタッフ以上に三国志に無知なコンパイルがお送りした本作。娯楽が多様化する現代、単調さゆえにストレスなく遊べる30年前のゲームに溺れるも一興だろう。振り返れば時間を返せ、という念に襲われるかも、だが。

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