“どんな弁護士も、踏み越えようと思わなかった一線を踏み越えてしまうのだ。”_“The Rainmaker (1997)”
弁護士とかけてサメととく、その心は?
フランシス・フォード・コッポラのかっちり撮れた佳作「レインメーカー」より。原作はジョン・グレシャム。
凱旋当時の某オカダ・カズチカも「金の雨が降るぞ!」と息巻いていたが、まさしくその通りで、原題は「何も無いところから裁判沙汰によって金を捻り出す」弁護士の存在意義を突いた名句。
テネシー州メンフィスに住むルディ(マット・デイモン)は、パートタイムで給仕をしたりしながら法律を勉強。
ロースクールでどう勉強したか? 彼はこう振り返る。
間もなく司法試験という段階だが、職と金が必要なので、無料法律相談で扱った訴訟(事件)のいくつかを法廷闘争に持ち込もうとする。
ルディは白血病の青年に保険を勧誘しておいて、いざとなったら支払いを拒否した事案の訴訟を選び、原告代理人となる。迎え撃つは、保険会社の代理人である老練な弁護士のデック(ジョン・ヴォイト)。
ルーディの法廷のしきたりにも疎い駆け出しである初々しさと、デックの自信たっぷりな狡猾さ。二人の丁々発止のやりとりが魅力
結論を言ってしまえば、ルディは訴訟に勝って勝負に負ける。
初めての経験の中で彼が勝ち得たもの、
それを映画の最後に振り返る台詞から引用しよう。
どんな弁護士も、少なくとも一度の訴訟を通して、踏み越えようとは思っていなかった一線を踏み越えている自分に気づく。たまたま起こって仕舞えば、十分すぎるほど踏み越えることをすれば、その一線は永遠に消えてしまう。そして、弁護士間のジョークで言う「澱んだ水の中に潜むサメ」以外の何者でも、なくなるのだ。
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