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映画の名セリフ、、引いてみた。

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甘い言葉がある。辛い言葉がある。英語だとわかるニュアンス、日本語の方が腑に落ちやすいフレーズもある。 そんな映画の英語の名セリフを、拙訳と共に引いてみる。 目標は和田誠の「お楽し…
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2022年6月の記事一覧

最後までケムに撒きやがって、ほんと嫌い! ALFIE(1966)

マイケル・ケイン演じる「アルフィー」は、定職も持たず次から次へと女性遍歴を重ねる口八丁手八丁の色男。彼が狙うのは、看護婦、入院患者の妻、有閑マダム、家出少女と、どちらかというと弱い立場の女性たち。 いやあ、モテない男が見ると、このモテ男、非常に腹立ちますわ!すきあらば(第4の壁を乗り越えて)自分語り、理屈っぽく己の行為を正当化するのが、ほんと嫌い! そんな彼も、結局はどの女もゲッチュすることができず(ザマア)、しかし、へこたれずに通りがかった犬とワルツを踊りながらのたまうモ

“二重否定よ、(下品よ)ね?””そう!(下品!)”_”Born Yesterday”(1950)

邦題は「ボーン・イエスタデイ」。記憶を喪失したCIAのトップ・エージェントの活躍を描くシリーズの次回作じゃないよ。 当然、マット・デイモンの出番もないよ。 『マイ・フェア・レディ』の名匠(←ここ重要)ジョージ・キューカー監督作品。要は「ピグマリオン」をスクリューボール・コメディにしたもの。 結論から言ってしまうと、教育を受け自分の意志を持つようになったビリーは、デブった加齢臭するおっさんハリーの思うままにならなくなり、黒縁メガネでイケメンのポールと手に手を取っておさらばする

“謝りたい、でも誰に?”_”In Cold Blood”(1967)

1959年、刑務所で知り合ったペリー(ロバート・ブレイク)とリチャード(スコット・ウィルソン)は、同房で知り合った男から聞いた話を元に、カンザス州の豪農の一家を襲撃することにした。 そこには43ドルしかなかった。 突然、ペリーとリチャードは何かに取り付かれたかのように一家四人を惨殺し始める。 「なぜ2人の青年は、理由もなく4人の人々を殺したのか?」 とことんまでドライな視点で描かれた映画「冷血」は、『ティファニーで朝食を』のトルーマン・カポーティが6年の歳月を費やして書き上

“撃っただけだ。銃弾が殺した。”_”Collateral (2004)”

「トップガン」「ミッション・インポッシブル」「ラスト・サムライ」「ジャック・リーチャー」・・・ヒーローばかりを演じるトム・クルーズが、正体不明の悪人を演じた稀有な作品「コラテラル」。  宇宙服、パワードスーツ、バイクスーツ、サムライの鎧、ミリタリーファッション。 何を着ててもイケイケになってしまうトムが、一見地味に見えるグレーのスーツに身を包んで、落ち着いた格好をしているのも、異色だ。 あらすじはこうだ。 ヴィンセントが殺害した被害者がマックスのタクシーの屋根に落下する。

決めたら強情でわき目もふらない。キリストが十字架から降りようが、彼は知らん顔で決めた道をまっしぐらだ。_“Raging Bull”(1980)

マーティン・スコセッシ監督「レイジング・ブル」は、例によって、ロバート・デ・ニーロがのめり込むようにボクサー:ジャックの絶頂と転落を演じきった快作。 ハングリーな主人公がのし上がって終わる、サクセスストーリー「ロッキー」の数年後に、同じくUnited Artistsが配給を行ったのは、何か皮肉めいたところがあるぞ。 八百長試合を仕組む組織の大物・トミーからの誘いに対し、あるときは生返事、あるときはやんわりと、拒み続けるボクサー:ジェイク・ラモッタ(ロバート・デ・ニーロ)。何

いつも無表情のスゴいヤツ。”Seven Chances”(1925)

アメリカ・サイレント映画を代表するコメディアン バスター・キートンの「セブン・チャンス」。今回の彼に待ち受けるのは、諸星あたるばりの災難。 破産寸前の青年実業家ジミー(バスター・キートン)。彼の前に一人の弁護士が現れるが、裁判所からの呼び出し命令かと勘繰り、ずっと避けていた。そして、遂に弁護士から話を聞かされることになったのが、「27歳の誕生日の午後7時までに結婚すれば700万ドルの遺産相続ができる」という話。ちょうどその日が、ジミーの27歳の誕生日だった。 慌てて結婚相手

“人間が一度誓ったら両手でしっかり支えるのだ。指を開けば 自分を失ってしまう。”_ A MAN FOR ALL SEASONS(1966)

知られざる60年代フレッド・ジンネマン監督の傑作。原作はロバート・ボルトの戯曲。あらすじはこちら。 1528年、テューダー朝(1485年 - 1603年)時代のイングランド王国。時の国王ヘンリー8世(ロバート・ショウ)は、王妃の侍女アン・ブーリン(ヴァネッサ・レッドグレイブ)との再婚を望んでいた。そのため王妃と離婚するに当たり、離婚に反対したローマ・カトリック教会から英国教会を独立させ、自身が英国教会の頂点に立ち離婚を正当化しようとする。その行為に対して、時の大法官トマス・

「アンタのような悪党と手を組むのは、ごめんだね。」_”Pick Up on South Street”(1952)

サミュエル・フラー監督&脚本の「拾った女」は、とあるスリが地下鉄車内で「あるもの」をスったことから大陰謀に巻き込まれる、暴力的でスピーディなフィルム・ノワールだ。 主人公が河にぷかぷか浮かんだ小屋の上で(夜はハンモックで)寝起きしているのも異色だし、スリで事件が始まりスリで事件を終わらせるのも異色だし、ネタバレすると、ハッピーエンドに終わるところも、異色と言えば異色。 リチャード・ウィドマーク演じる主人公:スキップは、スリなのに悪役とは言い切れない、ってところが曖昧なキャラ