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死ぬ直前まで太陽に近付く男

隼雄は別にそこまで好きではないけど歴史の審判に選ばれるに足る本物なのは間違いなくて件の新作もかなり楽しみにしていた
タイトルと鳥人間以外内容を一切伏せているという鋭すぎる前提が素晴らしいし、
そもそも内容を知っている状態でも面白いものを作れるような鬼才が情報ゼロで見てくれと提示してるから本当に楽しみで2週間前からソワソワしていた
作り手が自信を持っている時必ず拘りを提示してくる 内容はどうあれ自信あるものは是非見るとも
作り手が推奨するからには、最大限楽しむ上で公開前提示してきた情報は全て確認するべきだ
知的欲求や好奇心はヒトのかなりプリミティブな快感で特に自分だけの体験に結びついたならそれは計り知れない


前日からネットやTVを一切見ずにずっと本を読んだりして過ごしてそれは別に何も苦じゃなかったけど、映画を見る当日特に映画館のある町に来てからとにかく人と危険が多すぎて気が気じゃなかった
当日になったら観たやつが現れて情報が漏れて作品が作品じゃなくなる…TVでも広告解禁してるかもしれない やっぱり前情報無しで映画が観たい どんなに内容がつまらなくてもこの異常な体験を全うできれば全てに納得できる
周りの席で喋ってる奴等を全員かなり威圧していた 俺は孤独で惨めで人生がつまらなさすぎるからこういう楽しみしか残ってないのに、頼むから情報を流し込まないでくれと切実に思った

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ここまでが映画館の席に着いて脳の外情報を必死に遮断して書いたnoteだった
時は現在に
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俺ペル君、記録をありがとう
映画館での率直な期待が文面で残っていて嬉しかった
最近隼雄がまた新作を作り始めているというニュースを見る 複数回見た
間違いなく人生最後の作品だからこそ出せる外連味やテーマ性があり、確かな積み重ねがあればこそそれが際立った作品だったのだが全然最後じゃないらしい
とはいえ歳が歳なので間に合うかというおそれもあるが

未完になったら途中まででも出してくれるのかな?
これで終わりです、で綺麗に終わりっぽいテーマのものを出して幕引きは纏まりすぎていて少しカッコ悪い
最後まで無様に一歩でも太陽に近付き続けるイカロスこそ傾奇者と言える
正直よくある流れとはいえここまで予定調和だとは思っていない
隼雄の年齢や命の危うさはどうしてもRealで作品を出した後の反応が再び火をつけたのなら嬉しい

作品は作り上げて終わりか?という問いを見たことがある
個人的に鑑賞者に見られて完成だと思う
ちゃんと説明出来ないが発表即ちコミュニケーションであるべきだし自己満足じゃなくて作品という線引がされている以上反応は大事だ テクストが作り手から離れみるみる怪物になる過程はどうしても必要だ


脳が大きな生き物は本当に面白い

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