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音楽雑記 21世紀のジャズ

俺たちは21世紀のジャズを聴くべきだった

街の小さい本屋にもあるようなこれを聴けといったような本で取り扱っているのはマイルスとかジョンばかりで21世紀のジャズについてはかなり話題を避けられている
女子大生のカスが槍部屋でワルツ・フォー・デビイを聴いている様にもちろん良いものは普遍的に良い訳だが現在進行系のものに一切目を向けないのは間違いなく停滞しているので、俺も最近21世紀のジャズを聴き始めた

結論から言うとまだ自分の感性の歯車は噛み合っていないし、名前の枠こそ同じだがクラシックとされる60年代のそれとは別枠で捉えている
何から聴くべきかまだまだ掴みきれていない
そんなに数聴けていないしリスペクトに欠けている自覚もあり大変申し訳ないが、率直な感想としてファーストインプレッションを纏める

①全体:音質
昔の音質のモコモコ感とかが好きだったので全体として音質が良すぎて逆に滅菌感高く没入しきれなかった
仮説1に音質が良いのはテクノロジーだけでなくここで挙げてるトップのみならず奏者全体の技術水準向上によるものも大きいと思う
仮説2にピアノメインが1個現代人のトレンドとして好まれるのが要因な気がしていて いや分からんたまたま自分がピックアップしたのがピアノ率高いだけかもしれないけど、現代人はジャズに対してリラクゼーションを期待している傾向が高いのは間違いないことなので綺麗さの水準が高めにならざるを得なかったんじゃないかと思う

②全体:緊張感
良くも悪くもその人固有の音楽になっていて個人的に期待していたクラシックジャズ全体で共通していた様式美みたいな緊張感は無かった

③Robert Glasper
現代ジャズの王とされていて多作で正直全部追いきれていないけど、現状知ってる範囲だと他ジャンルの吸収/発展は1個成功させていて押しも押されぬ王で間違いないと思う
ジャンルの吸収はとても良いことだけど出力としては単純並列すぎる気もしていて単一ジャンルで限界が見えた結果の市町村合併みたいで正直寂しい
一方で同年代他ジャンルと積極的に混ざるのは元々好きなコラボ先だと相当聴き応えがあってレディへニルバーナを風アレンジじゃなくてちゃんとジャズに出力されているのは今まで聴いたことなくて正直食らった

ヒップホップRBと本格的に混ざる前の初期?の素朴なCanvasが一番好みだった
Black Radioも勿論良いけど情報が深すぎて咀嚼しきれていなくて評価が下せない
ジャズは良い意味で何周も何周もしないと咀嚼しきれない名盤が多くてBlack Radioは過渡期のアルバムなので間違いなくその傾向があった

④Kamashi Washington
個人的に一番期待していたクラシックの緊張感に近いし現代音楽と混ざった正統進化で暫定ど真ん中と言える答えなんじゃないかなと思う

⑤Go Go Penguin
Kamashi Washingtonより現代寄りで滅菌感が高く隣接ジャンルとの境界のキワをかなり攻めている気がする
俺は結局優れた音楽の最上位レイヤーはアンビエントであるべきだと思っているので、21以降のこれら音楽の中でもジャズというジャンルへの本来の期待云々関係なく一番繰り返し聴いてるかもしれない
身も蓋もないけど最終的に聴きたいものや気持ちいいものを聴ければいいしジャンル傾向なんて結論に至るまでの補助輪でしかない

⑥Flying Lotus
これとかThundercatは21世紀云々考える前から普通に聴いていた
ウェブの記事とかミュージックマガジンから高名なのを拾って聴いているんだけどFlying Lotusの名前がかなり上がっていて、背景としてはガッツリ関連はあるけどジャズかと言われたら何か違うくね?Flying LotusはFlying Lotusじゃね?と思っている

⑦Squarepusher
これも10年聴いてるけど言われてみればジャズかもしれん
先行研究がそもそも存在しないも同然なのでキャリアの流れとか解説を一切見てなかったけど仮記事みたいなのを見たら明らかにジャズの時期がある
というか自閉空間ながらSquarepusherから出力される緊張感は元々ジャズに期待していた非日常の鍔迫り合いそのものとしか言えない

⑧ミュージックマガジン
ウェブのゴミ記事は全く信用できないので先行研究は専らミュージックマガジンを参照していたんだけど、この雑誌ヤバいわ
これ毎月かは知らんけど年に何冊も出てるのかよ?
俺の図書館利用ページの予約上限が全部これのバックナンバーで埋まってる
今の中学生とか最近のゴミしか載ってないジャンプに見切りつけて普通にこれしか読んでない奴多いと思う
どう考えても年額ジャンプより安いし別に本屋行けばどこにも置いてるから立ち読みできるし
理論上サブスクだけでも一応ディグは出来るもののこういう地図がないと本来話にならん
無限に読めるけどこれ買い出して家の本棚に置きだしたらもう倒壊するだろうな

⑨書くことない
総括すると21世紀のそれはパブリックイメージや定義上のジャズかと言われたらどれも相当怪しいけど、歴史の連関としてぶつ切りになってしまうし良質な音楽には間違いないから公立の図書館に置かないといけない

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