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(2日目)真っ白な気持ちでビートルズのアルバムを1日1枚づつ聞いた感想

2日目は「ウィズ・ザ・ビートルズ」(1963年11月)
ビートルズのイメージとして記憶に残っている、シャドウの強い白黒写真のジャケ写。ライブ感満載で荒削りな前作に比べて選曲や楽器バランスがとても良くて、ちゃんとプロデュースされてる感がします。
将棋で例えると1作めが定石の角道あける歩の一手だとすると、2作目で勝負が見える飛車の移動のような。例え分かりづらいですね。

売れるバンド3作目までの法則というのを勝手に考えてまして。3作目まで当たればずっと生き残れる。
1作目はとにかくやりたいことを全力で注入し、2作目は1作目を洗練させて、3作目はその集大成ということです。
音楽に限らず何でもそうですね。

曲の方を聞いてみたいと思います。バックグラウンド情報抜きにして映画「YESTERDAY」の観客の気分で書きます。

A面1曲めから脳天直撃ポップの「イット・ウォント・ビー・ロング」。
もし自分がこの時代にいて、レコード屋でこれ見つけて「試聴していいですか?」と大人っぽくヘッドホン付けて落ち着いて聞いたとしても。この曲聞くだけで「これ買うに決まってる」とレジに直行するはず。このA面1,2曲目のジョン・レノンの歌声きくだけで、「探してたのこういうことだよ!」と腑に落ちる、それくらい迷いのない未来を感じます。

3曲目の「オール・マイ・ラヴィング」、6曲目の「ティル・ゼア・ウォズ・ユー」の大人っぽく甘い声のポール・マッカートニー。これで21歳はすごい。そして7曲目が「プリーズ・ミスター・ポストマン」でジョンの心に刺してくる声。若さと勢いにR&B経由の哀愁がある。
ここまで聞いただけで、才能魅力全部ある。ビートルズが普通のバンドじゃないことが分かります!(決して世界で大成功している後付けでなくて、もしこのアルバムで解散していたとしても、間違いなく必聴アルバムです)

カバー曲も入っていて、モータウンのカバーが渋くてかっこいい。
B面1曲目のりのり「ロール・オーバー・ベートーヴェン」をジョージ・ハリスンがシャウトする。ノーベル賞にポピュラー音楽ジャンルあったらチャック・ベリー絶対受賞。楽譜には出ないノリを発明した。

5曲目「デヴィル・イン・ハー・ハート」のコーラスもバンドっぽくて艷やか。同時期のビーチボーイズのコーラスのほうが上手いが、考え方は最初から違うのが分かる。
B面ラストは「マネー」で抑圧と怒りを匂わせながら終了。

「ウィズ・ザ・ビートルズ」ビートルズの魅力をバラエティある曲のバリエーションで見せたアルバム。2枚のアルバムはめちゃくちゃイギリスで売れてずっと1位で、この時点でトップグループを確立したそうです。恐らく普段ポップスのアルバム買わない女の子やティーンが買い始めたからマーケットの確変が起こったのだと想像します。
そんなご機嫌ソング満載のアルバムです。同時期にこういう音楽と巡り会えた人々は幸せだと思います。
ただ大瀧詠一さんが言ってましたが1960年代の日本でビートルズ聞いている人は実は少ない。圧倒的に舟木一夫の方が影響力大きかった。後世で歴史を捻じ曲げてはいけない。

1963年といえば南ベトナムのアメリカ軍事介入が揺れていて、その後11月にケネディ大統領がダラスで暗殺されています。歴史的には戦後繁栄と冷戦期ですね。20代前後は第二次大戦の記憶が共通体験であり。誰も現状維持がいいと思ってなかった時代。高齢者が人口の半分をしめて政治文化のイニシアチブを持つ、現状維持が精一杯の今の日本とだいぶ違いますね。

この時代の曲どこもそうですが短い!3分も無い。
こんなにメロディがキレイだから、サビを何度も聞きたくなる。
でも大体の曲構成が、BPM90位でブルースの12小節2回で大体2分ちょっとでやることやっちゃってます。今の感覚からしたら途中間奏ソロ入れてサビもう一回聞いて最低1.5倍の尺は欲しくなる。


(つづく)


キャラは明るく事件は本格なミステリー書いてます。ご一読賜われれば至福です!



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