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地球にやさしい心を育てます

 現在、自然がどんどん破壊されて、はたして21世紀に地球に人類が生き続けられるかどうかという瀬戸際まできているそうです。何冊か「環境汚染」に関する本を読みましたが、ほんとにゾッとするような事態が起きています。海も河も空もこの数十年のうちにあっという間に汚れ、虫や魚や鳥ばかりでなく、我々人間の生命にさえ異常が次々に現れているのが実状です。

 経済原理があらゆることに優先し、いらなくなったものを次から次へと破棄し垂れ流しているうちに、こんな地球になってしまいました。46億年の地球の歴史、200万年の人類の歴史を思うと、なんと私たちは愚かなことをしてきたのかと、祖先に対しても子どもたちに対しても申しわけない気持ちでいっぱいになります。

 本気になってこの流れだけは止めなければなりません。子どものおもちゃにおいてもこれは同じことです。飽きたら捨て、飽きたらまた捨てのくり返しでは、垂れ流しの風潮を子どもにも是認させるばかりです。

 一度手にしたものは長く大切に使う、この習慣を子どもたちが持つためには、まず飽きないものを、無駄にならないものを真剣に考えなければなりません。そして、やがてそのものの生命が尽きたときは自然に同化するものであって欲しい。

 そのために童具の制作にあたって2つの目標を立てました。

① いつ与えたものでも、年齢によって違う遊びが広がり、他の童具といっしょに組み合わせて遊ぶことができるもの。

② できうる限り自然素材にこだわること。

 特に①の点については宇宙生命のあり方、つまり、あらゆる生命が関係しあってそれぞれの生命を生かしあっている姿に一致している点で、何にもまして重要です。一部の例外を除いて、収納箱さえも他の童具と一緒に遊べることまで考えてあるものは他にありません。

 子どもは身近にあるものはどんなものでも関係づけて遊ぼうとします。これは自分の創造力を開発するうえでも、なにひとつ無駄のない宇宙生命のあり方を洞察し、共生意識をもつうえでも、生かされていることに感謝の心をもつうえでも、深い意味のある活動です。

 子どもと共にいると、人間の本質、宇宙の本質が見えてきます。子どもが心の底から求めているものを用意すれば人間が心豊かに自由に生きることができる筈なのですが、今までのおもちゃの与え方は、むしろこの子どもの願いを踏みにじるようなことばかりをしてきたのです。

 21世紀の課題は一人ひとりの人間の創造力が十分に発揮される社会にすることと、人間と自然の共生を回復することだとわたしは確信しています。童具はそのための有効な手段として存在します。

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