見出し画像

ちょっと、ほっと、できたら。

お隣には、2さいと3さいの年子の坊やたちが住んでいる。

ちなみに、ふたり揃っておかっぱ気味のヘアスタイルで

大変でかわいい。

もうすぐクリスマスということで、わたしは部屋のドアに

クリスマスの飾りを付けていた。

飾りと言っても、キラキラした雪の結晶やリースなどではなく、サンタ帽をかぶった素朴な表情のナマケモノくんである。

ある晩、帰りがお隣さん親子と一緒になった。

お互いの部屋に入る前に少し挨拶していると、

お母さんが

「『サンタさんがいるね。』って話してたんです。」と

ナマケモノくんを指しながら教えてくれた。

「え、それなら良かったです。」

マスクの下のわたしの口元がキュッと上がる。

かわいい坊やたちの話題に登場できたなんて、

やったねナマケモノくん。

弟くんは、まだ小さいのでどうか分からないけれど

お兄ちゃんはクリスマス、きっと楽しみにしてるかな。

その翌日、家を出るとき

わたしはナマケモノくんの位置を低く低く直した。

ぜひ、彼らの目線の世界に、と思ったので。

保育園に行く前に

ちょっとでも立ち止まって見てもらえたらいいね、ナマケモノくん。

そんなくだらないことを考えながら、

わたしはすごく幸せな気持ちになった。

思い出す。ああ、わたしってこういうことが好きだったんだよなって。

大きなことは出来ないけれど、

自分の行動や自分から出てくる言葉で、

誰かの心をちょっとでも和ませられたら

それが喜びで。

だから、どうしたらそれが出来るかを

ちょっと想像してみたり考えてみたり。

そんな時間に心が満たされる。

仕事の中でも、大きなモチベーションは

そういうところにある。

その人の世界を想像して、こんなことしたら

ちょっと寄り添えるかな、ないかな、って。笑

コロナでしばらくお仕事が減って、

そういう時間が少なくなってしまっていたの。

わたし自身が、仕事の中から

心の元気をもらっていたんだよな、と

しみじみ気付く。

久しぶりに思い出させてもらった、この感覚。

わたしにとって大事なので。環境が変わった今では、意識して大切にしていかないと。

また、次の日。

帰宅がお父さんと重なった。

挨拶を交わした二言目で、

「移動したんですか。」と
ナマケモノくんのことを聞いてくれた。

聞いてくれた、と言うより

ツッコんでくれた、と表すほうが適当かも知れないと思うような

元気で人懐っこさの溢れる話し方をされる方だ。

マスクの下で、ふふっと笑ってしまう。

「見やすいほうが、良いかと思って。」

お父さんと和やかなおしゃべりが続く。

今年は、色々、例年通りにはいかなかったし、残りの冬もいかないのだろうけれど、
優しい気持ちで過ごせたら、と。
クリスマスも新年も、みんなが優しい気持ちで迎えられたらいいな。

会いたい人に会えない人たちもいるはずだけど、

会えるようになったときに

いっぱい会えば良い。

そう言い聞かせながら、

家族に会えない冬を、

自分の心を自分で大切にしながら、

近くにいる人の気持ちを
ちょっと、ほっと、出来たらいいな、出来ないかな、なんて気持ちで過ごそうと思います。

皆さん、良い冬を!

#ほっと #おとなりさん #ぼうやたち #クリスマス #冬 #2020

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?