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藝術はさほど面白くない

『わぁ!これぞ藝術だ』なんて
賛美する言葉がある。

その中にこそ、その人が感じた藝術があり
コレは藝術です!…と紹介された途端に
興醒めしてしまう。

美術館は好きで足を運んだが
美術を楽しむ場所は本来美術館ではない。

例えば、奈良美術展があったとして
奈良のお寺から集められた美術品を
観れるというのは本当にありがたい。

しかし、本来それらの藝術や
美術品としての価値を楽しめるのは
貯蔵されている現地の寺の中でみる
仏像や美術品であって
美術館の中に並べられ演出された物は
その本来の『藝術性』を感じる事は出来ない。

藝術品と云うのは
その土地や家屋の中に長年在り
その空間の中に溶け込んだ
日常のような中から見出せる光明の様な
キラリと光る佇まいを云うのであって

その物単体で『藝術』と括られる物ではないと
私個人は、そんな風に捉えている。

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【アンチ芸術】

私が大好きな作家の一人が岡本太郎氏。

『藝術は爆発だ!』のフレーズでも
知られる日本を代表する藝術家だ。

しかし、私は実は岡本太郎氏の
絵画作品においては、あまり興味がない。

岡本太郎の作品で言えば
圧倒的に立体物の方が好きである。

地底の太陽〜毎日新聞より〜



この立体物においては、先に挙げた
奈良展の仏像の様に
その場所に置かれてその土地に住む人と
時を共にして在り続ける中で
『価値が育まれて』やっと藝術品になる。

つまり、岡本太郎氏の
作品だから藝術なのではなく
その土地に住む人、その土地に訪れた人が
その作品を藝術の域に育ててくれるからだ。

また『これは藝術である』とは
あくまで個人の感想でしかない。

つまり、アナタが『藝術だ!』と
思ったその瞬間に、藝術は誕生する。

だから、藝術だとかアートだとか言って
立派に見せる演出など私からすれば
実にくだらない見せ物のハッタリでしかない。

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名嘉睦稔なかぼくねんの版画】

かつて、徹子の部屋でゲスト出演された
沖縄の版画家の名嘉睦稔さんの作品に
圧倒されて、展覧会を見に行った事がある。

圧巻だった。
巨大な版画を唖然と見上げながら
ひたすらに圧倒された。

本人に逢いたい‼️
そう強く思いました。

そのチャンスは、ほどなくして現れて
新聞の見開きに大きな広告が打たれ
展示即売会とトークが楽しめる催しが企画された。

私は、名嘉睦稔氏への手土産をぶら下げて
ワクワクしながら会場へと向かった。

名嘉睦稔作〜流廻〜



展示即売会と云うこともあり
作品の大きさはどれも部屋の中に
飾れるくらいのもの。

徹子の部屋で紹介された作品群とは
スケールが全く違うのは致し方ない。

とは言え、心にグッと刺さる作品を
ただの一枚も見つけられなかったのだ。

そのことにガッカリと項垂れていると
背後から名嘉睦稔さんご本人が来られた。

憧れの逢いたくてたまらなかった名嘉睦稔さん。

しかし、私はあろうことか

『ここに飾られた絵の中に、
心打たれる作品は一枚もありません。

私は、作家の名前で作品は見ません!

一枚の絵と対峙して心打たれた作品が
私にとって大切な絵です』

…と豪語した。

すると、名嘉睦稔さんは
会場内に響き渡る程と大声で笑い
私の肩をガッツリと抱き

『そうだ‼️その通りだ‼️
君の言う通り絵とはそういう物だ‼️』

とたいそう喜ばれ

『君の話を聞きたい‼️』

と、トークショーを控えているにも関わらず
会場の真ん中にパイプ椅子を向かい合わせに
置いて、前のめりになって私の目の前に居る。

ガタイが良く、大きなギョロっとした目は
ギラギラと眼光が鋭かった。

私は、その目を見て更にわくわくした。

私は、咳を切ったように
家を出てから此処に来る迄のエピソードなど語り、また少し前に行ったはじめての海外旅行の
無人島での9日間の話。

また、その無人島開拓者や島のエピソードなど
アレコレと話まくったのでした。

名嘉睦稔さんは、私の話をさえぎることなく
最後まで聞き通して、また大きな声で

『おもしろい!君の話は実に面白い
文章を書きなさい!』とアドバイスをくれた。

それから、トークショーが始まるまでの時間
マネージャーさんとも仲良く歓談させて頂いた。

私は、その時の名嘉睦稔さんの言葉

『文章を書きなさい❣️』の一言から

文章を書くことを
やめる事なくずっと続けている。

名嘉睦稔さんは、
私の中の偉大な藝術家の一人だ。

名嘉睦稔さん



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【真の藝術に逢いたい】

こうした魂を震わせる藝術には
なかなか出逢えない。

何も藝術である必要すらない。

私は私の心を掴んで離さない
圧倒的な物に出逢いたいのである。

そして、そんな作品を
死ぬ迄に一枚描くことが出来たなら
どんなに良いだろうと思う。

私の様に実に熱苦しい人間は、
そんなに多くないと自負している。

そんな私が、そんな作品を遺さずに
この世を去るのは、勿体無い。

その為にも、本物と付き合う❣️

そこに、有名無名もない…

SoulFlower Kamuy

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