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『バチェロレッテ・ジャパン』シーズン3と「櫛田」の問題

さて、昨晩ついに完結編が配信された『バチェロレッテ・ジャパン』シーズン3について語りたいと思う。

前々回の記事で書いたように、今回のシーズン3は実質的な辞退者が続出し一人の女性たちを男性たちが奪い合うというゲームが、ほぼ崩壊していた。

「準決勝」的なステージである残り3人に絞られた男性のうち北森聖士(経営者)は自ら辞退し、残り二2人のうち櫛田創(物理化学者)はたとえ自分がファイナルローズを受け取っても(最後の一人に選ばれても)いきなり付き合うのではなく「友達からはじめよう」と提案し、これも実質的な辞退ではないかと視聴者の間では囁かれていた。

そして決勝で、3代目バチェロレッテである武井亜樹は実質的辞退を申し出た櫛田ではなく、坂口隆志(内科医)を選んだ。しかしその後の経過を伝えるエピローグ的なトーク番組の中で、二人は帰国後すぐに「話し合い」の末に円満に別れていたことが判明した。辞退者の続出、そして最終的に結ばれたはずの坂口とのスピード破局というかたちで、このシーズン3は前代未聞の結末を迎えた。

では、どうすればよかったのか?

まあ、二人の気持ちの問題なので、外野がつべこべ言っても仕方がないのだが、僕は亜樹さんはやはり、櫛田と結ばれるべきだったと思っている。今日はなぜ、僕がそう思うのかを以下に書き記そうと思っている。

僕は最初の数話を観た時点で、これは最終的に坂口と櫛田の一騎打ちになり、そして亜樹さんは櫛田を選ぶだろうと予測していた。それはなぜかというと、櫛田だけが亜樹さんと「対等に」話すことができていたからだ。たしかに地頭の良さや学歴では、亜樹さんに釣り合う男性は多かった。しかし専門性のレベルというか、知性の方向という意味で亜樹さんに「近い」のはやはり櫛田だったと思う。僕の見立てでは、彼女はかなり早い段階で、見た目的には坂口、内面では櫛田に絞っていたはずだ。そして本命は終盤まで櫛田だったのではないかと思っている。

なぜそう思うのか。僕が櫛田本命説を確信したのは、例の「普通」事件だ。これは序盤のツーショットデートで亜樹さんが櫛田に「意外と普通」だと言われたと勘違いして大騒ぎした事件だ。このあと亜樹さんは櫛田本人のいないグループデートの最中、他の3人の男性の前に櫛田に「普通」だと言われて傷ついたと少し「嬉しそうに」話していた。つまり、本人が居ないところで嬉しそうに異性の悪口を言っていたのだ。これはどう考えても「気のあるサイン」だ。だから僕はこの時点で櫛田が本命だと確信した。

一方の坂口は緒戦で「ファーストインプレッションローズ」を獲得し、亜樹さんからも明確に外見がタイプだと宣言されていた。おそらく、本当に見た目的には1番タイプだったのだろう。

こうして考えると、不可解と言われていた亜樹さんの選択が合理的に説明できる。つまり彼女はかなり序盤から坂口(外見が好き)と櫛田(内面に興味あり)を最後の二人に残すことを想定して、あとは「番組的に」盛り上がる選択をしていったのだと思う。一人だけ体育会系の梅本、「いい人」さが異常に際立つ(世界への善意で目がガンギマリしている)飯野などを前半にしっかり残し、見せ場を作っていたのはそのためだ。

しかしここで予想外の事件が起こる。セバスチャンの「辞退」だ。

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僕はもはやFacebookやTwitterは意見を表明する場所としては相応しくないと考えています。日々考えていることを、半分だけ閉じたこうした場所で発信していけたらと思っています。

宇野常寛がこっそりはじめたひとりマガジン。社会時評と文化批評、あと個人的に日々のことを綴ったエッセイを書いていきます。いま書いている本の草…

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