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雑談のディアローグ:落語と自粛、そして何がしかの力学

                中央線沿線 某喫茶店で 午後2時半頃、何十年来の友人が話し                      ている。コーヒーをすすりながら、話題はいつの間にやら昨今の                    歴史に。

Aさん: 時代は移り変わるものなんだ。過去に目を向けるなら、もっとずっと昔にしようや。例えば江戸幕府の成り立った頃とか、織豊時代。いや、鎌倉もいいね。もっと昔も面白そうで、興味がわくよ。奈良なんかミステリアスな冒険という感じがするし。
 でも、最近のはねぇ。直ぐに今の政治の話と絡まってくるもんなぁ。せいぜい明治維新かなぁ。それだって色んな説があってややこしくなるし、どこか生々しくってねぇ。

Bさん: そんなこと言っていたら、今起きてることに関心がないってことになるじゃないか。そんなのおかしいよ。

Aさん: そんなこと言ってるんじゃない。今起きていることに人並みの関心はあるさ。新聞は時折だけど、ネットニュースだってしょっちゅう見てるし。でも何か今に関わるとイラっとすることが多くってね。ま、早い話いやになっちゃうことってない?今に生きてんだから今のこと知らないわけには行かないんだけど。

Bさん: いま起きている問題にね、鬱陶しさをものともせず、積極的な発言や行動をする人々がいるじゃないか。「昔」も「今」も、人が関わっているんだから、いやがらずに万般取り組めればいい。

Aさん: それがそうは問屋がおろさない。「昔」は歴史で、「今」は違うからね。「今」は「今」だ。政治も経済も社会も教育も生活も、「昔」と「今」とでは、つながりはあるだろう。でも、それはそれで、そう思う人はそうすればいいだけの話さ。

Bさん: それなら「文化」というのはどうだ。これなら、昔も、今も、変わらずに楽しめるし、見たり考えたり聞いたりできる。そうだ、文化の眼を持ったらいい。

Aさん: かもね。でもそれだってねぇ・・・。

Bさん: それだって、何なんだ。大谷翔平だって、世阿弥だって、何だって話題になるし、興味深いしさ。

桜が開花したぞ、負けずにこちらも。表紙と同じ場所で。

Aさん: 君って、人がいいことこの上なし、だな。禁演落語って知ってるかい?

Bさん: えっ、禁煙落語?タバコ吸うのをやめようよってオチの落語?

Aさん: はっはっはっ。違う違う。タバコを吸っちゃいけないんじゃないよ。戦後は「自粛禁演落語」って言うのもあったけどね。

Bさん: どういうこと?

Aさん: 浅草に日蓮宗の本法寺があるんだが、そこに「はなし塚」という立派な石碑が建ってるんだ。知らないだろうけど。

Bさん: 知らないね。自粛って言うのは分かるけど。今なんか、「自粛時代」だもんな。

Aさん: 確かにね。コロナ禍だって、いつの間にか、自粛でなくなったなぁ。専門家たちの言うこと聞いてだろうけど、いついつからマスクは個人の判断にするとか。それを政府が言うんだよ。これって自粛の話とは思えないよ。もっとも国民は、政府の指示も、世間体もあまり関係ない様子だけど(笑)。

Bさん: 自粛してんだよ。国民はそんなバカではないさ。

Aさん: バカかどうか簡単に言うことではないけど、「禁煙落語」は先回りして、番組に載せませんと53種類を選んだっていうことさ。「はなし塚」を建ててね、当代の一流はなし家を筆頭にしてその塚を墓場にしたというわけ。法要まで行ったんだ。立派な石造りの記念碑だぜ。

Bさん: それはあの時代のこと?

Aさん: そう昭和16年。真珠湾攻撃の年だ。落語の内容には卑俗で低級なものを禁止にすると警視庁が通達したのさ。

Bさん: じゃぁ、「明烏(あけがらす)」なんか駄目だね。

Aさん: むろんだよ。「品川心中」も、「後生うなぎ」もダメ。「木乃伊取(みいらとり)」もダメ。

Bさん: いやな時代だったんだってことは知っているけど、落語のことは考えたことなかったなぁ。「自粛禁演落語」が戦後あったということだけど、戦後も自粛って?

Aさん: そこが今につながる問題で、あんまりねぇ。ま、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)だけど、実質的にアメリカの最高司令部。日本の過去を清算して、民主化するためにっていうんで眼にも止まらぬ速さで改革実行をしたことは誰でも知っている。マッカーサーだね。
 もうソ連との冷戦があるから、日本という国を単純に民主化するという考え方に留まってられない。

Bさん: そりゃそうだよ。ソ連というのは社会主義で全体主義国家じゃん。ゴルバチョフが出て、エリツィンの時ロシアになったんだっけ。

Aさん: まぁ、そうだけど、社会主義っていうのはどうかなぁ。あれが社会主義だとしたら、御免こうむりたいね。

Bさん: どうも「自粛禁演落語」っていうのが分からないねぇ。GHQが自粛を命じたのは、軍国主義に関わるもんなら分かる。

Aさん: それなら当然と言えるだろうけれど、暴力的とか荒唐無稽なんて言われると、落語が分かってのこと?と思うものね。27種あったそうだ。

Bさん: 人権や差別に関わるものは、今だって慎重だし、放送自粛だってあるよ。

Aさん: それは分かるんだが、要するに政治の力学に興味を持たないと、今がこうしてあることが、別に考える必要がないってことになる。あっそうだ、コーヒーお変わりする?

      話が佳境に入ったところで、他愛のない昔話に変わった。

私も負けずに!

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